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約束の一週間後まで、やることは多かった。
部活のストーリーも簡単なプロットまで仕上げて、部長に提出。
それと彼に教える為に、いろいろと準備をする。
いつも試験勉強はアキちゃんとするし、人に教えるのははじめてだし、教えるのが彼だから、とても緊張するなぁ。
「なあタク、バイトしばらく休むこと、仕事場に報告したか?」
「うん、一ヶ月前に」
流石に試験一週間前と試験最中はバイトには出られないので、前もって店長には伝えてある。
「でも二週間も出られないのはキッツイね。まあ試験休みにたくさん働けるけどさ」
「この時期、新作が多くでるしな」
季節の変わり目にはたくさんの新作が出る。
だからある程度貯金はしておいて損はない。
…でもやっぱり二週間分のお給料が出ないのは、正直辛い。
まっ、連休とかに頑張れば良いか。
それにあんまり買いすぎると、全く家から出てこなようになるしな、僕。
「でも龍雅に勉強を教えるの、大丈夫か? 何なら俺も一緒に付き合おうか?」
アキちゃんは勉強を教えるのが上手。
僕もしょっちゅうお世話になっている。
ちなみにアキちゃんの順位は1番か2番。
…3番以下は決して取ったことがない、とても優等生。
運動神経は学年トップで、運動部に声をかけられるのはアキちゃんの方が多い。
二人ともこんなだから、女の子達からは勿体無いと惜しまれる。
「う…ん。まあ大丈夫だと思うよ。彼も留年はしたくないだろうし」
プライドの高い彼が、留年をみすみすすることはしないだろう。
留年するぐらいならば、僕に勉強を教えてもらった方が良いと思うんだろうな。
「そっか。んじゃ、頑張れよ」
「うん」
僕達は家の前で分かれた。
今日は部活の最終日、いろいろ部室で片付けた後、図書室で本を借りて、帰りが遅くなった。
だから携帯電話をチェックするのも遅くなってしまった。