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二人っきりの勉強会

その後、2日間はバイトと勉強会の準備に追われて、あっという間に過ぎた。


「また龍雅と勉強会か」


「うん。だから帰る時は一緒になれるかも」


アキちゃんは部活で、僕は勉強会で遅くなるから、帰る時間が合うかもしれない。


そのことを火曜日の朝、登校している時に言うけれど、何故かアキちゃんの表情は暗い。


「あの、アキちゃん? どうかした?」


「…いや、お前が大丈夫なのか心配なだけだ。お前は格闘技もそうだが、腕はあるのに優しさからトップに立てないからな。アイツに何か言われても、言われっぱなしじゃないかと」


…アキちゃん、後半はともかく、前半で僕の弱点をグッサリ刺さないでほしい。


確かに僕は気弱で、相手が特にアキちゃんだと力が抜けてしまうところがあるから…。


「だっ大丈夫だよ。彼、真面目な部分だってちゃんとあるもん。じゃなきゃ、ウチの学校、入れないよ」


「まあそうだな。そんじょそこらの根性じゃあ入れないもんな」


僕とアキちゃんはマンガ研究会目当てに、必死で勉強した。


そのかいあって、アキちゃんは主席合格。


僕は次点で、先生達の覚えも良い。


彼は私服校だからと友達に言っているのを聞いたことがある。


…私服で登校できるから、必死で受験勉強したんだろうな。


「…何か傷付けられることを言われたら、言えよ。タクがイヤな思いをしてまで、やることじゃないからな」


……そうなると次は絶対にアキちゃんに教師役の指名が入るだろう、担任から。


そしたらまた一悶着あるんだろうな、必ず。


「うっうん…。慰めてね」


「断れ」


あっさり言うなぁ。


でも彼から終わることを言い出しても、僕は有り得ないだろう。


…彼とは一分一秒でも、長くいたいから。


「あっ、そうだ。松原から連絡があってな。来週の日曜日に予定していた映画を見に行かないか誘いがあったんだが、再来週に伸ばしてもらうか?」


あっ、マンガ原作の映画、結局延期になっていたな。


「そう…だね。待っててもらえるなら、再来週が良いな」


彼の再試験の日程は長いから、再来週まで僕も余裕が無いだろうな。


「待つだろう? 松原と千波にとっても、関係ないことじゃないからな」


…確かに。


僕よりも彼と付き合いが長いしな。


「二人には俺から連絡しとく。お前は勉強会を頑張ると良い」


「うん。じゃあ終わったらメールで連絡するから、帰れそうな時は一緒に帰ろう」


「ああ」


僕とアキちゃんは教室の前で別れる。


そして教室に入るんだけど…。


「ひっ…!」


教室に入った途端、思いっきり冷たい眼をする彼と視線が合い、思わず一歩後ろに下がる。


しかし彼はすぐに顔をそむける。


なっ何で僕、睨まれたの?


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