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実際、アキちゃんに電話で分からないことを聞くと、教えてもらったことはすぐに理解できる。
なのに僕はアタフタと、自分でも下手なことが分かるぐらい慌てていた。
『いっいや、一生懸命に教えてくれようとしていることは分かる』
…情熱は伝わっているみたいだ。
喜んで良いのか悲しむべきなのか、ちょっと悩むな。
「じゃあ改めて、火曜日にちゃんと教えるよ。部活の方はしばらく出なくて良くなったし」
『そうなのか?』
「今は前回送った原稿の結果待ちなんだ。だから新作にも取り掛かれないし、ストーリー担当者は自分以外の仕事ってそう無いから」
絵の方でお手伝いすることはあるけれど、それもよっぽど修羅場の時だけ。
絵の担当者はいっぱいいるし、僕が呼ばれることなんてほとんどない。
今回の投稿も余裕があるみたいだし、しばらく顔を出さなくても大丈夫そうだ。
『そっか。でもバイトは忙しいんだよな?』
「うん…。丸一日入れているから」
約二週間、ほとんど出れなかったんだ。
こういうところで他の人を休ませてあげなければいけない。
『…分かった。じゃあバイト、頑張れよ』
「うん、ありがとう」
電話を切って思い出したけど、彼もモデルのバイトをしているんだった。
僕もちょっとだけしたけれど、ああいうのは気疲れする。
でも彼なら、楽しくこなすんだろうな。
「…どこまでも交わらない、平行線だな」
きっと大学や就職も、自分達の好みに合わせるんだろう。
そうすれば……彼を忘れるんだろうか?
僕は。
「それとも…」
ずっと、追い求めてしまうんだろうか?
「流石にそれは、なあ…」
暗いし、止めといた方が良いとは思う。
…でも彼を追い求める心は、僕の意志を無視して高まりつつある。
あんな最低な言葉を言っても、僕を選んでくれた彼。
まだ希望や望みがあるんじゃないかと…バカな想像は打ち消した方が良い。
彼にとっても、僕にとっても。




