4
部長と話をしたところ、彼の追試が終わるまで来なくても良いと許可を得た。
まあ今の僕の仕事はほとんど無いと言っても良い。
前回、投稿したマンガの結果が出るまで新作は取り掛からないことが部のルールでもあるから。
もう今の投稿作品は原作担当者と絵の担当者だけで、充分になっていた。
まあ絵の方はアシスタントが何人か必要だから、アキちゃんはまだしばらく部にいるみたい。
僕は3日間の連休中、ずっとバイトに出ていたワケだけど…。
頭の中は週明けから始まる彼との勉強会のことでいっぱいだった。
前回は赤点よりも上と、割とハードルは低かった。
でも今回は70点以上と、ハードルが高い。
まあ一度やったテストだし、考え方をちょっと変えれば良いだけだから、ある意味、楽と言えば楽なんだけど…。
「問題は彼のやる気、だよな」
僕は自分の答案用紙を見ながら、ため息を吐く。
バイトを終え、自分の部屋で彼への教え方を悩んでいる最中だ。
でも前回のことで思ったんだけど、彼はコツさえ掴めば、後は早い。
なのに何で今回の試験は、ダメだったんだろう?
前回の試験からそう間も空けていないのに、どうして……。
「…問題内容も、そう難しくは無かったと思うんだけど」
…でも僕は順位を落としたし、彼を責める立場ではないな。
「とりあえず、今回の試験の内容をちゃんと理解させるところから…」
改めてテスト用紙に視線を向けた時、ケータイが鳴った。
「えっ? 龍雅くん?」
彼からだった。
「もっもしもし?」
『麻野? もうバイト終わったのか?』
「うっうん。夕方には店、閉まるから」
『そっか。それでちょっと聞きたいところがあるんだけど…』
話の内容は試験内容。
良かった…。やる気はあるみたいだ。
『う~ん…。でも声だけだと分かりづらいな』
電話越しに一生懸命説明するけれど、いまいちコツをつかめないようだ。
「ゴメン…。僕がもうちょっと説明が上手かったら良かったんだけど」




