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「麻野は入学してからずっと、3番以内だ。1番になったことだってあるんだぞ?」
「ウソっ!?」
…僕ってそんなに頭悪そうに見えるんだろうか?
「点数はお前の4~5倍だ。教えてもらうには勿体無いぐらいの先生になるぞ?」
「ううっ…!」
唸り苦しむ彼を見て、僕は首を傾げる。
「でも先生、赤点を取ってても今までは大丈夫だったんですよね?」
「そりゃあ補習受けているからな。だがずっとこのままでは流石に進級も危ぶまれる」
「出席日数は良いんだぞ!」
「自慢になるかっ!」
がんっ!
「いたっ!」
…ああ、とうとう鉄拳制裁が。
でも確かにウチの学校、出席率が良い。
ウチの高校は私服で、アクセサリーなども良いとされている珍しい学校だった。
しかしその分、勉強や運動、部活動には厳しく有名だ。
ある程度の成績をおさめなければならず、マンガ研究会だって良い成績を残しているからこそ、周囲から白い目で見られずに済んでいるぐらいだった。
「それに麻野は運動だってできる。運動部にも何度も勧誘されるぐらいに、な」
そう言われると照れるな。
「まあもっとも、存在が地味だからあまり目立たないがな」
…それは余計です。
「じゃあボクが知らなくたって、不思議じゃないか」
彼は彼で納得した顔をしているし…。
「アホ。お前は同じクラスなんだから、少しは気にかけろ」
「だぁって地味だし、目立たないし」
……確かに教室にいる時は、大人しくしている。
だから彼に物珍しい物でも見るような眼で見られても、しょうがないと思う。
「地味だけど派手ってヤツだな。マンガ研究会でもストーリー部門で好成績をおさめている。龍雅、お前とは全く正反対だ」
「…それってボクが見た目だけで、中身は地味ってこと?」
「地味ってほどじゃないが…。勉強はできない、運動もそこそこ、成績は底をつく。そういう意味で麻野とは反対だって意味だ」
「ご丁寧にどうもっ!」