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――それから一ヶ月。
松原くんと千波くんに勉強を教えつつも、部活やバイトに明け暮れていた。
二人も真面目に勉強をしたかいがあったようで、試験後、手応えがあったとメールをくれた。
遊びに行こうかと誘われたけれど、今度は入れ違うように僕達の学校で再び試験が始まる。
僕は以前、彼に勉強を教えたことがあった。
でも流石に今回は無いみたいだ。
まああの結果で、彼もやる気になればできる人だって分かったしな。
けれど少し…寂しい。
相変わらずごくたまに、彼を見続ける日々は続いている。
まあ同じ教室にいるんだし、見てしまうのはどうしても避けられないことなんだけど…。
…見てしまう気持ちに、なかなか変化が訪れないのはちょっと辛い。
いつまでも抱えていてもしょうがない気持ちを、僕は持ち続けていた。
彼は前のように僕を見ることはなくなった。
それとなく視線が合うこともあるんだけど……しばらくすると、どちらかともなくそらしてしまうし。
が、そんな日々もまた、一変する。
「どっどうしてこんな結果に…」
僕の学校の試験結果が出る頃には、松原くんと千波くんの結果も出ていた。
二人ともかなり順位が上がったらしく、特に松原くんは涙を流しながら喜んでいた。
お礼だと言って、二人にはご飯を奢ってもらった。
その時はアキちゃんも一緒で、楽しく食べれたのは良かった。
そして僕とアキちゃんも試験勉強を頑張った結果、今回アキちゃんが1番で、僕は3番。
でも僕は自分の順位が下がったことがショックなワケじゃない。
彼の名前が…順位表から消えていた。
そりゃあ前回もギリギリだったワケだけど、今回、答案用紙を先生達から返された時、明らかに不機嫌だった。
そして僕は担任から呼び止められ、生徒会室に一緒に行った。
「龍雅、今回は全ての教科が赤点だ」
「ええっ!?」
「前回は麻野に教えてもらったおかげでもあっただろうが、まさかこんなに下がるとはな…」




