過ぎ去る日々
―その後、マンガ作りの為に部室にこもり、アキちゃんと一緒に過ごす時間が増えた。
休み時間や昼休み時間、登下校や家に帰ってからも顔を合わせることが多い。
僕は自然と、彼を見る時間が減っていることに気付く。
…でもほんの一瞬だけ、彼が僕の眼に映る瞬間がある。
その時がとても愛おしく、そして切なくなる気持ちを抑えて隠し、僕は彼から顔をそむける。
そうして一ヶ月が過ぎ、無事に完成した原稿を投稿することができた。
その後、アキちゃんと松原くんと千波くんの三人で映画を見に行った後、ファミレスで食事をすることになった。
「とりあえずアキとタクはお疲れさん」
「良い結果が出ると良いな」
「そうだな」
「頑張るだけ頑張ったし、後は結果発表を待つだけ…なら良いんだけどね」
すでに次の作品作りのことで、部活は盛り上がっている。
「結果発表はいつなんだ?」
「二ヶ月後だ」
シーフードドリアを食べながら問い掛けてきた松原くんに、ミートソーススパゲティを食べるアキちゃんが答える。
「でもさ、もしデビューってことになったらどうするんだ?」
「ん~。まあ僕もアキちゃんも別に少女マンガを書くのがイヤってワケじゃないし、プロの目から見てやっていけそうと言われたら、考えるかな?」
千波くんが生姜焼き定食を食べながら問いかけてきたので、僕はハンバーグセットを食べながら答える。
「まあ俺とタクの目標は趣味で食っていくことだからな。ジャンルは別に特にこだわりは持っていないし、やれるだけやってみる」
「アキはストイックなのか野心家なのか、時々分からなくなるな」
「そうだな」
二人は苦笑しながらアキちゃんを見る。
「まあアキちゃんは元々、どんなジャンルの絵でも描く実力を持っているんだ。逆に内容の方が問題なんだよ」
僕の言葉を聞いて、松原くんが首を傾げながらアキちゃんに視線を向ける。
「アキはストーリー作りの方は?」
「俺は話を作るのは苦手だ」
「…何となく分かる気がする」




