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脱オタク、かぁ…。


きっと彼はいたって真面目だったんだろう。


『それでいろいろタクを振り回したみたいでさ。結果、タクが迷惑をこうむったんじゃないかと思って』


「あ~…まあ趣味に合わない所ばかり行ったけど、でもそれはそれで新鮮で楽しかったから良いんだ」


どうやら千波くんは心配して連絡してくれたようだ。


『そうか? オレ達もそれとなく止めれば良かったんだけど、あんまりにも翔が楽しそうに語るからさ。きっとタクのこと、気に入っていたんだな』


「そっそっかな?」


『ああ。だからもっと一緒のことを楽しみたくて、脱オタク計画を立てていたんだと思うし』


…後半の計画は余計だったな。


『まあ決別宣言をタクの方からしたなら、もう関わってこないと思うけど、もし何かしてきたらオレや松原に言ってくれよ?』


「うっうん…。でも大丈夫だと思うよ? きっと前みたいに、関わってこないと思うし」


『なら良いけど…。まあとにかく、マンガの方頑張ってくれよ。アキと組んで書くならきっと良い賞を取れると思うしさ!』


「あはは。期待にそえるよう、頑張るよ」


『ああ。それじゃあな』


松原くんも千波くんも良い人だな。


何だかんだと、僕と彼のことを心配してくれている。


僕は自分の胸に手を置く。


…大丈夫、もうすぐきっと、この胸の痛みも消える。


彼と一緒にいる時間は凄く楽しくて、眩しい物だった。


もう二度と過ごせなくても、思い出だけで充分だ。


「―さて、期待している人もいるんだし、ストーリーを頑張ろう!」


そして僕はパソコンに向かう。


…熱くなる眼に、歪む視界。


それでも歯をくい締め、僕はキーボードを震える手で打ち始めた。


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