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8

でも彼自身がオタク嫌いならば、話しは違う。


「僕はキミの嫌いなタイプだし、一緒にいるときっと苦痛を感じてしまうようになる。だからその前に…」


「なっ何を勝手に…!」


「うん、勝手だね。でもキミも周囲に言えないような友達は持たない方が良いよ」


「くっ…!」


彼はとうとう涙をこぼし、僕に背を向け、走って行った。


…昔、親は子供によくこう言っていたらしい。


―友達は選びなさい、って。


コレって、タイプの違いを見極めろって意味もあるんだろうなぁ。


「ふう…」


彼の姿が見えなくなった後、深くため息を吐く。


好きな人を傷付け、泣かせたのに……どこかスッキリしている自分がいることに気付く。


コレでもう、好きなだけ趣味や自分のやりたいことに時間を費やせるのだと…ほっとしている自分がいる。


「最悪、だな…。僕…」


頭を軽く振った後、心配そうな顔でこちらに来る部長が眼に映った。


「あれ? 部長…」


「…ゴメン。立ち聞きするつもりはなかったんだけど、なかなか来ないから心配になっちゃって」


「あっ、もうそんなに経っていましたか…」


部長の顔を見ると、安心するなぁ。


「…ちょっと、休んで行こうか」


部長のススメるまま、僕は休憩場のイスに座った。


部長が缶コーヒーを奢ってくれた。


「すみません」


「いやいや。オタクの風当たりが厳しいことは、知っているからね」


「部長も、ですか?」


「まあ多少は。でも彼の場合、ちょっと酷そうだねぇ」


部長は苦笑する。


確かに彼は感情表現が豊かだしな。


「悪いコではないんですけど……。オタクにトラウマがあるみたいでして」


そこで僕は彼がオタク嫌いになった経緯を話した。


「…ああ、結構そういうの、あるから。まあお互い、大人になれば落ち着くんだろうけどね」


…彼の場合、まだまだ落ち着かないようだ。


「でもああいうふうに切り捨てて、良かったのか?」


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