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でも今まで二人で作ったマンガが雑誌に掲載されたことはない。


賞を取っても、作品掲載まで行き着いていないのだ。


「まあお互い恋愛物は得意とは言えないが、それでも精一杯頑張れば成績は残るからな」


そう言って優しく微笑むアキちゃん。


頼りになるなぁ。


「うん、そうだね」


…でもそうだった。


お互い、恋愛の経験があんまりないだけに、不得意の分野でもあったんだ。


なっ何とかアキちゃんでも書きやすいように仕上げなきゃなぁ。


学校へ行く途中、アキちゃんとストーリーについて話し合いながら登校。


そして教室に入ると、先に来ていた彼と目が合った。


…っとと。


彼には見るなと言われているのをすぐさま思い出し、眼をそらす。


そして席に座ると、オタク仲間が髪を切ったことについて話しかけてきた。


チラッと彼を見ると、彼の仲間と楽しそうに話している。


…気のせい、かな?


眼をそらした時、ムッとされたような気がした。


放課後、部室へ行く途中の廊下で、彼に呼び止められた。


「麻野、今度ライブハウスに行ってみないか?」


「えっ? ライブハウス?」


「ああ。ボクの知り合いがやっているんだ。結構ウマいんだ」


と嬉しそうに楽しそうに彼は言うけれど…。


「あっ、ゴメン。ちょっと部活の方が忙しくて、週末も学校に来なきゃいけないんだ」


「…部活?」


ああ、彼の顔が不機嫌になっていく。


「うん…。今度登校するマンガのストーリー、書かなくちゃいけなくてさ」


すると彼は僕から眼をそらす。


「…そっか。分かった」


「ごめんね。それじゃあ」


落ち込む彼をこの場に置いておくのも気が引けるけど、部室では部員達が待っている。


…にしても、ライブハウスかぁ。


前に友人に誘われて行ったけど、うるさいし、目がチカチカして、苦手だと思った。


でも彼はああいう所、好きそうだ。


……そこが彼と僕の違い、なんだろうな。


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