2
でも今まで二人で作ったマンガが雑誌に掲載されたことはない。
賞を取っても、作品掲載まで行き着いていないのだ。
「まあお互い恋愛物は得意とは言えないが、それでも精一杯頑張れば成績は残るからな」
そう言って優しく微笑むアキちゃん。
頼りになるなぁ。
「うん、そうだね」
…でもそうだった。
お互い、恋愛の経験があんまりないだけに、不得意の分野でもあったんだ。
なっ何とかアキちゃんでも書きやすいように仕上げなきゃなぁ。
学校へ行く途中、アキちゃんとストーリーについて話し合いながら登校。
そして教室に入ると、先に来ていた彼と目が合った。
…っとと。
彼には見るなと言われているのをすぐさま思い出し、眼をそらす。
そして席に座ると、オタク仲間が髪を切ったことについて話しかけてきた。
チラッと彼を見ると、彼の仲間と楽しそうに話している。
…気のせい、かな?
眼をそらした時、ムッとされたような気がした。
放課後、部室へ行く途中の廊下で、彼に呼び止められた。
「麻野、今度ライブハウスに行ってみないか?」
「えっ? ライブハウス?」
「ああ。ボクの知り合いがやっているんだ。結構ウマいんだ」
と嬉しそうに楽しそうに彼は言うけれど…。
「あっ、ゴメン。ちょっと部活の方が忙しくて、週末も学校に来なきゃいけないんだ」
「…部活?」
ああ、彼の顔が不機嫌になっていく。
「うん…。今度登校するマンガのストーリー、書かなくちゃいけなくてさ」
すると彼は僕から眼をそらす。
「…そっか。分かった」
「ごめんね。それじゃあ」
落ち込む彼をこの場に置いておくのも気が引けるけど、部室では部員達が待っている。
…にしても、ライブハウスかぁ。
前に友人に誘われて行ったけど、うるさいし、目がチカチカして、苦手だと思った。
でも彼はああいう所、好きそうだ。
……そこが彼と僕の違い、なんだろうな。




