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「はっはい」
青年が行った後、僕は彼の方を見る。
彼は待合の場所でマンガを読んでいた。
「結構僕みたいな年頃のコ、多いな…」
周囲をキョロキョロ見回すと、高校生か大学生ぐらいの人が多い。
…もっともタイプは彼みたいなのが多いけど。
浮きまくっているなぁ、僕。
「お待たせしました」
若い青年が来て、僕はそのまま髪を現れた。
そして再び受付の青年が来て、僕の髪をカットしてくれるようだ。
「翔から聞いたんだけど、好きにして良いの?」
「はい。特に希望はないので…」
「ふぅん…」
青年は僕の髪をふきながら、いろいろと考えている顔をする。
「パーマとか染めたりするのは?」
「えっ!? いや、さすがにそこまでは…」
「まあこの黒髪、結構立派だし、もったいないか」
ハハッと苦笑を浮かべているけれど、目が笑っていない!
こういう所で働く人って、結構冒険心が強いのかなぁ?
「じゃあ短くしつつも、少し段差をつけて良いかな? 特別な手入れも必要ないし、髪の流れを変えれば目立たないから」
「はい、それでお願いします」
青年は早速切り始める。
手際も良いみたいだし、流石彼の紹介だな。
「あのこう言うと失礼だけど、麻野くんってオタク?」
「あっ、分かります?」
僕は平然と即答した。
「まっ、人の髪に触れると、何となく分かってきてね。気分悪くした?」
「いえ。まあ見た目でもそう言われることは多いですし、本当のことですから」
「そうなんだ。でも翔のツレにしては珍しいタイプなんだよ。だからちょっと確かめたくなったんだ」
…彼のオタク嫌いはここまで知れ渡っているのか。
「…うん、でも磨けば光るタイプだ。翔が気に入っているのも分かるよ」
しかし青年の口からは、予想外の言葉が出た。
「えっ? 彼が僕のことを?」
「じゃなきゃ、ここには連れて来ないよ。何せ秘密のお気にだからね」




