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再びお出かけ

日曜日、待ち合わせの十分前に行くと、先に彼がいた。


「あれ? もう来てたの?」


「ああ。ボクの家の方が、お前の家より近いしな」


確かに彼は駅からバス通学。


僕は電車通学だから、どうしても時間調整は難しい。


「んじゃ、行くか」


「うん」


彼はオフィス街の方に向かって歩き出す。


「ボクの知り合いに声かけたら、タダで切ってくれるってさ。その代わり、職場まで来ることが条件」


「タダで? それは嬉しいなぁ」


…でもオフィス街に職場があるなら、きっと本当は高いんだろうな。


お昼は僕が彼に奢った方が良いのかも。


……まあちょっとはお金、持ってきたし。


「麻野はこういうふうにしたいとか希望あるの?」


「僕は特に…」


いつもそろえるぐらいだし。


「もうちょっと外見に気をつかえば? お前、そんなに悪くないんだし」


彼が心底もったいなさそうに言うものだから、僕は苦笑するしかない。


「あはは、ありがとう」


…でもコレばっかりは、なぁ。


どうやったって、趣味からは抜け出せないし。


やがて彼は一つのビルの前で立ち止まる。


「ここにヘアサロンが入っているんだ」


「わあ…! 大きいね」


確かに窓にはヘアサロンのロゴがある。


ビルも綺麗で立派。


あまり来ない場所だけに、僕は少しおどおどしてしまう。


けれど彼は慣れた様子で中に入り、ヘアサロンまで案内してくれた。


「こんちわ」


「おっ、翔。いらっしゃい。そちらがお友達?」


サロンの受け付けをしている青年が、僕と彼に向かってにっこり微笑みかける。


「そっ。よろしく」


僕の肩をぽんっと叩き、そのままズイっと前に押し出す。


「あっ麻野拓海と言います。今日はよろしくお願いします」


頭を下げると、青年はカウンターから出てきた。


「はい、よろしく。じゃあこっちへどうぞ」


案内されて、一番奥のイスに座る。


「まずは髪を洗うね。担当者を呼んでくるから、待ってて」


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