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僕はストーリーの方を、アキちゃんは絵の方を担当している。
月に何本かストーリーを書いて、部長に提出して、良いものだけをマンガにして書いてもらう。
マンガが賞を取れば、賞金や賞品が出て、部の為になる。
だからちゃんとしたストーリーを考えなければならないのに…。
「はあ…」
部に置いてあるノートパソコンを起動させても、重く深いため息がでるばかり。
「タク、スランプか?」
「うっうん…。まあそんなとこ」
僕の隣では、アキちゃんが絵の練習を始める。
数日前に作品を一つ投稿して、次の賞の締め切りまでまだ時間があるので、今はゆっくりできる時間だった。
部員のみんなも、持ち込んだマンガを読んでいるし…。
僕も無理せず、パソコンを開かなくても良いんだけど…。
「次に投稿するのは恋愛ジャンルだからな。タクはファンタジーとか得意なんだから、無理せず書かなくてもいいんじゃないか?」
確かにアキちゃんの言う通り、僕は見るのも書くのもファンタジーが好き。
だけど問題はそういうことじゃなくて、彼のこと…なんだよ。
「うん…。まあ適当にネタ探しとく」
「ああ」
アキちゃんは深く追求したりしないのが、良い。
あっさりとした性格だから、付き合いやすいし。
…でも彼は違う。
いったんダメだと思ったものは、絶対にダメ。受け入れない。
それはずっと見ていた僕だからこそ、分かる悲しい真実。
でも見てはいたけど、別に後を追ったり、隠れて写真を撮ったりはしていなかったんだけどな。
……流石にオタクでストーカーはヤバイと、心の声が聞こえたから。
僕は好きなアニメのサイトを見ながらも、心が浮かない。
「…ふう」
「まるで好きなアニメの最終回を見た顔だな」
…どこまでもオタク思考なのが、ちょっと悲しくなるよ、アキちゃん。
「まあ…似たようなものかな?」
実際、終わった。
彼にピリオドをうたれてしまったんだから。
「相談なら乗るぞ?」
「う…ん」