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3

「…妙なところで鍛えた結果を出すんだな」


「その言葉、そっくりそのまま返すよ」


アキちゃんだってゲームにハマれば連日徹夜続きをする。


それでも顔色一つ変えずに登校するんだから、お互い様だ。


しかしアキちゃんはどこか疲れたため息を吐く。


「でもさすがに、まだこの歳から栄養ドリンクに頼るのはどうかと思うがな」


「ううっ…!」


マンガ研究会は部費で栄養ドリンクを買う。


理由は…ずっと元気でいたいから。


趣味を楽しむ為に……。


「あっ、僕の肌は手入れしているからだから。別に趣味に没頭しているからじゃないよ!」


そこは一応変えておく。


「手入れ? また何で?」


心底不思議に思ったんだろう。


アキちゃんは絵を描く手を止め、僕の頬に触れる。


細いけれどしっかりしたアキちゃんの手の温もりに、くすぐったくって身を竦める。


「本当にスベスベだな」


「あっ…この間、龍雅くんに肌の手入れをしろって言われて、いくつか化粧品を買ったんだ。そのおかげかな?」


「龍雅はそういうところが得意分野だからな」


アキちゃんは優しく笑って、僕の頬を軽くつねったり撫でたりする。


「あははっ。アキちゃん、くすぐったいって」


軽く笑っていると、ふとアキちゃんの表情がかたまった。


見ると視線を僕ではなく、外に向けている。


「アキちゃん、どうか……うわっ!?」


僕は驚いて立ち上がった。


この特別棟の向かいは、校舎がある。


そしてその二階は…僕の教室があった。


教室の窓から何故か彼がこちらを睨んでいて……僕は立ち上がったまま、硬直する。


すると彼は背を向け、教室を出て行った。


「まっまさか全部見られてた?」


「だろうな。俺が気付いた時には、すでに睨んでいたし」


ああ……また彼に『気持ち悪い』って思われているんだろうな。


こういうスキンシップ、普通の男子高校生はしないだろうし。


「なあタクはコンタクトにしないのか?」


イスに座り直していると、アキちゃんがおかしなことを言い出す。


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