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その後

その日の夜、松原くんと千波くんからそれぞれ電話をもらった。


あの後、無事に地元まで帰れたらしい。


そして僕とアキちゃんの関係を問われ、いろいろ話して夜遅くなった。


今度アキちゃんのことも紹介すると約束をして、電話を切った。


残りの2日間の休日は、バイトや部活のストーリーの構成をして、あっと言う間に過ぎた。


そして連休明け、廊下には30番までの順位表が先生達の手によって貼り出された。


「僕は2番…か。まあいつものことだな」


1番はアキちゃん。これまたいつものこと。


「麻野、今回も頑張ったな」


表を貼り終えた担任が声をかけてきた。


「はい、でも1番にはなれませんでしたが…」


「いやいや、あの龍雅の勉強を見ながら、よくやってくれたよ。アイツもやればできること、証明したしな」


担任は後ろの順位を顎でさす。


僕はゆっくり見ていくと、29番に彼の名前があった。


「あっ…」


少し離れた所では、彼と彼の友達が順位が上がったことで盛り上がっていた。


良かった…。


「でもスゴイな。アイツをここまで上げさせるなんて」


「龍雅くんは元々、頭良いですよ。ただコツを掴むまでが大変みたいですけど」


担任と僕はあくまでも小声で話をする。


彼のプライドを守る為に、僕が勉強を教えたことは秘密だった。


だから離れている彼には聞こえないはずだったんだけど…。


「うん…」


視線を感じて振り返ると、彼と眼が合った。


けれど彼はすぐに視線をそらす。


もしかして名前に反応したかな?


それとも順位を見られていることに気付いたのかな?


どっちにしろ、彼は居心地悪そうな顔をしているし、話は打ち切った方が良いだろう。


「それじゃあ先生、次も頑張りますね」


「おうっ! 期待しているぞ。今度は石津を抜けよ」


無理難題を…。


「努力はします」


けれど作り笑みを崩さず、僕は答えた。


けれど彼の視線を感じたのは、それ以外にもあった。


教室で僕の席は窓側の一番後ろ、彼は真ん中辺りだった。


だから授業中、どうしても黒板を見ようとすると彼の方を見てしまう。


その時に何度も眼が合っては、そらされる。


そして体育の授業の時、体育館でバスケの練習試合をすることになった。


僕はいつもの趣味仲間と5人のグループを組んで、彼も友達と組んだ。


僕が出る試合中、何故だか彼の視線が突き刺さるように感じた。


…まあ本当に僕が担任が言った通り、運動神経が良いのか気にしたのかもしれないけれど。


でも彼は自分の試合中も、何かと僕のことを見てきたりして、ミスが多かった。


結果、練習試合とは言え、僕のチームが優勝、彼のチームは最下位になった。


――その後も視線を感じると思って振り返れば、彼がいる。


…何だろう?


もしかして順位が上がったお礼を言いたいとか?


……でもそれはこの間、一緒に遊びに行ったことがソレだろうし……。


「う~ん…。分かんないなぁ」


「行き詰ったか?」


「あっ…ああ、うん」


いけない。


僕はアキちゃんと共に、部室に来て作業をしている最中だった。


部長から試験前に提出したプロットをストーリーにすることを言われ、途中まではノートパソコンで書いている。


でも内容が……僕と彼の間にあったことを元ネタにして書いているのが、ちょっと気まずい。


まあ松原くんと千波くんから聞いたことだけど、彼はあまりマンガやアニメに興味がないらしい。


全く無いことはないが、気が向けば見るぐらいだそうだ。


ゲームも対戦系とかが好きで、恋愛シュミレーションみたいなのは嫌いだそうで……。


だから絶対に趣味のことは、彼の前では話さない方が良いと言われた。


逆に二人は趣味のことで深く語り合える仲間が増えたことに、スッゴク喜んでいたっけ。


仲間というのは、もちろん僕とアキちゃん。


アレから何度か四人で遊んだりしている。


あの二人、ウチの高校に受かってたら、絶対に親友になっていただろうな…。


でもあの二人も恋愛マンガはあまり読まないらしい。


僕も読まないけれど、今は資料として読んでいる。


しかしイマイチ感情移入できなくて、結果……彼と僕のことを書いてしまっていた。


主人公は僕と同じオタク趣味の『女の子』で、学校でアイドル的存在の『彼』に片思いするストーリー。


…自分で書いててなんだけど、確かに純愛系と言える作品なんだけど、……古いというか甘酸っぱい。


こんなの現代の女の子にウケるのかなぁ?


最後はやっぱりハッピーエンドにしたいな…。


僕はダメだったし、せめてマンガの世界では成就したい。


…問題は万が一にでも、彼の眼にこの作品が触れないか、だ。


まあマンガ雑誌も読まないと言っていたし、少女マンガなんてもってのほかだろう。


それにあの二人にも、今どういうストーリーを書いているのかは秘密。


これは部の規則でもある。


だから投稿して何か受賞しても、彼らにバレることはない。


それに受賞しても、作品自体が雑誌に載るなんて滅多にないことだし。


「ん~。妙なジレンマと悩みだなぁ」


自分の作品を雑誌で見てみたい気持ちはある。


けれど奥が一、彼にバレると激しくマズイ。


…まあ僕の気持ちが知られるよりも、モデルにされたことに気付くだろうしなぁ。


「悩みというのはこの間のことか?」


アキちゃんが言っているのは、不良達のことだ。


アキちゃんのお兄さんは警察官で、後でコッソリ教えてくれた。


あの不良達は何かと前科が多く、今は自宅謹慎中らしい。


僕達にボッコボコにされたけれど、流石にカッコ悪いと思っているらしく、重く口を閉ざしているみたいだ。


それにちょぉーっと警察と相談していることもあり、不良達が僕達に仕返しに来ることはないだろうと言われた。


でも一応注意しとくようにと言われたので、僕はアキちゃんと行動することが多くなっている。


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