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4

そこを押さえれば、非力な僕だって痛みを与えることはできる。


ナイフを足で遠くへ払い、そのまま地面を蹴りつけ、三人目のこめかみに蹴りを入れた。


ぐるっと白目をむき、泡をふきながら地面に倒れる。


「はあ…。運動不足にはキツイなぁ」


呟きながらも地面に着地するとすぐに振り返り、彼らの元へ駆ける。


「えっ?」


驚いている彼らの横を通り抜け、不意打ちしようとしていた四人目の一人の腹に膝を入れる。


「ぐほっ!」


「はあ…」


「麻野、危ないっ!」


彼の声に驚いて振り返ると、五人目が僕に向かって拳を振り上げている最中だった。


「くっ!」


避けられないことを察した僕は咄嗟に腕でガードしようとした。


「がっ…!」


しかし五人目は後ろから攻撃を受け、地面に倒れる。


「あっ、アキちゃん」


「タク、大丈夫か?」


アキちゃんが五人目の首に手刀を叩き込み、気絶させた。


「うん、でもどうしてここに?」


「買い物。何か騒いでいると思ったら、お前が暴れているのが見えて、驚いた」


そう言いながらアキちゃんは表情一つ動かさず、素早い動きで最後の一人に向かって行く。


「ひっ!」


そして地面を蹴り、六人目の頭に跳び蹴りをくらわした。


六人目は3メートルほど吹っ飛び、意識を手放す。


「やっぱりアキちゃんには敵わないなぁ」


「タクは最近、体を動かしていなかったからな」


「試験最中は無理だよ」


「じゃあ他の日なら、やるんだな?」


「うっ…!」


イタイところを…。


「麻野、それに石津…。お前ら、何で…」


あっ、彼達のこと、忘れてた。


「ああ、僕とアキちゃんが幼馴染だってことは言ったよね? アキちゃんの家って、格闘技を教えている家なんだ」


「格闘技?」


「うん。柔道・空手・合気道・剣道とか、いろいろ」


そう言いながら彼に近付き、メガネを受け取ってかける。


「ああ、やっぱりメガネがあると落ち着くな」


しみじみ思う。


こういう戦いの場では、相手の闘気を感じながらやるから、視力はアテにしていない。


「って言うか、二人とも、強いね」


松原くんが未だショックから抜けきらない顔をしている。


「うん。僕もアキちゃんも、物心つくまえから格闘技やってたから」


「おっオタクなのにかっ!」


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