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3

「コイツっ、なめんなよっ!」


不良の一人が、彼の胸ぐらを掴み、拳を振り上げた。


「翔っ!」


何人かは声をかけるが、体が硬直して動けない。


そして彼も固まったまま、悔しそうに歯を噛み締めた。


 どかっ!


「ぐはっ!」


しかし彼を殴ろうとした不良は、蹴られて5メートルほど吹っ飛んだ。


「ふう…。久し振りに体を動かすと、クルなあ」


僕は振り上げた足をブラブラと振る。


「………えっ? 今の、麻野が?」


その場にいる誰もが、呆然とし、僕に視線を向ける。


…あんまり見られるのは慣れていないんだけど。


「まあ、ね」


僕はかけているメガネを外し、彼に渡した。


「終わるまで持ってて」


「あっああ…」


メガネを外すとロクに見えないけれど、技を使うのには邪魔になる。


彼はメガネを受け取ると、手を離した。


僕は一歩、不良達の前に出る。


「さて、遊んでほしいんだったね? 僕で良ければ相手になるよ」


髪をかき上げ、挑発するように不良達に笑いかけると、ハッとしたように不良達は我に返る。


「てってめぇ!」


一人目は細身の長身だけど、今向かって来るのは大柄な男。


殴りつけてくる手を避け、その腕を掴み、裏膝に蹴りを入れる。


「うおっ?!」


体勢を崩したその背に、軽く飛び上がってかかと落としをくらわした。


「ぐはっ!」


二人目は地面に顔からぶつかり、動かなくなる。


「ヤロウ…!」


三人目は何と、サバイバルナイフを取り出した。


「あっ麻野っ!」


「大丈夫、動かないでね。邪魔になるから」


心配げに声をかけてきた彼に言葉をかけると、今度は僕から動き出す。


三人目はナイフを横に構え、真っ直ぐに突き出す。


けれど動きが大雑把な為、視力が悪い僕でも軽く避けられた。


ナイフを持っている手首を捻り上げ、ナイフを離させる。


「ぐあっ!」


いくら体格が良くても、人間の体にはいくつもの弱点がある。


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