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オタクだけど強くって

結局、彼に電話で呼び出されるまで、僕は松原くんと千波くんとショッピングモールの中を巡っていた。


彼も彼で、三人に連れられていろんな所に行ったみたいだ。


…でもコレで良かったのかもしれない。


僕はやっぱり趣味が近しい人と会話が弾むし、彼もきっとそうだろう。


僕の悪口を言っていた三人も、すっかり僕なんて眼中にないって感じだし。


でも彼はブスッとしたまま。


…まあ、この三人はしつこそうだし。


五人はショッピングモールの裏にあるバス停から、バスに乗って帰るというので、彼とお見送り。


「それじゃあ麻野くん、連絡くれよ」


「今度はここら辺、案内してくれると嬉しいな」


「うん。連絡するね」


「…随分、二人と仲良くなったんだな」


そこへジト眼の彼が声をかけてきた。


その声はとても冷たくて、思わず僕ら三人、その場から飛び上がるほどだった。


「二人はマンガ好きだからなー」


「麻野とも話し、合うんじゃね?」


「仲間ができて、良かったな」


…言葉はともかく、ニヤけながら言うことじゃないな。


後ろの二人から、冷たい空気が流れているし。




――が、そこへもっと冷たい声がかけられた。




「あっれぇ? 翔じゃん」


舌足らずの気持ち悪い声に振り返ると、六人ほどの男達がいた。


何か…一目で分かるほどの不良って、今の時代でもいるんだな。


まあ僕も人のことは言えないけど。


「チッ! 行こうぜ」


彼は険しい顔になると、僕の手を掴み、歩き出そうとする。


「おいおい、久し振りの友達にツレねぇな」


「えっ? 友達?」


「違うっ! ただ同じ中学だっただけだ!」


彼がそう叫ぶので、松原くん達を見ると、顔色が悪い。


…どうやらあまりいい関係ではないらしい。


「ちょうどいいや。ちょっとお金貸してくんない?」


「誰がっ! カツアゲならよそでやれよ!」


…いや、よそでやれれてもな。


呆気に取れれていると、松原くんと千波くんがこっそり僕に教えてくれた。



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