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そこへ運悪く、二人が来た。
僕は両手と頭を激しく振って、静かにするように促す。
二人は黙って目線を合わせると、僕が隠れている機械の向こうに視線を向けた。
「何だ、あそこにいたのか」
「どうして行かないんだ?」
僕が説明するよりも先に、あちらの会話が進む。
出るわ出るわ、オタクへの暴言。
そしてそれは僕個人の名前で、語り続けられる。
「アイツらっ…!」
「好き勝手言いやがって!」
二人は怒って4人の前に出ようとしたけれど、僕が二人の腕を掴んで止めた。
「麻野くん」
「何で止めるんだよ?」
「…良いんだ。言われ慣れているし、それに龍雅くんとは今日までの付き合いだって分かっているから」
精一杯微笑みながら言うと、二人からは怒りの空気がしぼんでいく。
「…ゴメン、な」
「アイツら、翔に感染してっから。後でちゃんと怒っておく」
「うん…」
――結局、僕と二人はその場から離れた。




