2
だけど何故か僕は彼に惹かれた。
いっつも楽しそうに、明るく朗らかに笑う彼から、眼が離せなくなっていた。
「だけど見ているだけで、気持ち悪いと言われちゃなぁ…」
がっくり項垂れるしかない。
「ん? タク、何しているんだ?」
「ああ…アキちゃん」
暗雲を背負う僕に声をかけてきたのは、幼馴染の石津、彰人。
ちなみに僕が今いる場所は、校舎の裏側。
今週は掃除当番で、教室のゴミを捨てに来た時、たまたまこちらに歩いてきた彼に真正面から言われた。
「まだゴミ捨ててなかったのか? さっさと捨てて、早く部活に行くぞ」
アキちゃんは僕の手からゴミ袋を取ると、さっさとゴミ捨て場に置いた。
アキちゃんは家が隣同士で、昔っから仲が良かった。
そのせいか見た目は和風の美青年なのに、趣味は僕と同じだった。
…なので何度女の子達から睨まれ、恨まれたことか。
アキちゃんは今まで何度も女の子達から告白されているのに、
「趣味のことで忙しいから」
と断ってきた。
「どうしたんだよ? 魂が抜けた顔をして」
…アキちゃんだったなら、彼もああいうこと、言わなかったのかな?
アキちゃん、背も高いしカッコ良いし、メガネ男子って今人気高いし。
「おい、タク」
「あっ…ああ、うん。何でもないよ。早く部活に行こう」
僕はアキちゃんの手を引いて、校舎に向かった。
部室は特別棟にあって、マンガ研究会は二階の端にある。
「こんちわ~」
「…こんにちわ」
アキちゃんと僕が入ると、中にいる部員達が気軽に声をかけてくれる。
ウチの部は上下関係が厳しくなく、ゆったりとしているのが良い。
ちなみに活動内容は、マンガを実際に描いて投稿すること。
だけど全部一人ではやらない。
部活動なので、マンガを作る作業を部員達で分担しながら一本の作品を作り上げる。
それで結果が出たら、先生達に報告する。
ウチの部はなかなか良い成績を出していて、高校在学中や卒業後にマンガ家デビューする人もいるぐらいだ。




