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「ああ、俺らが昔馴染みだからって、遠慮することないぜ?」
「そうそう。アイツ、自分と合わないヤツにはとことん冷たいし。麻野も無理して付き合うことないぞ?」
「そっそこまで無理はしてないし…」
「まあアイツも高校生になって少しは落ち着いただろうけどさ」
「中学の時は本当にヤバかったもんな」
「…そんなに?」
僕が尋ねると、二人は神妙な顔付きで語りだした。
「まあ…一種の潔癖症?って言うのかな。自分で理解できないものに対しての拒否反応が半端じゃなくって」
「最悪イジメまでやってたもんな。でも少しすればおさまる程度だったけど」
うっ! 結構、暗黒歴史があったんだ。
「でもワガママだけど、人を傷付けることは基本的に嫌いだから」
「でもワガママだからこそ、敵も多かったよなぁ」
二人は当時を思い出してか、深くため息をつく。
「…ウチの高校では大丈夫そうだけど…」
「あっ、そう?」
「麻野くんがそう言うなら良いんだけどさ。昔は絡まれることも多くって。オレ達、あんまり外見に気を配るタイプじゃなかったけど、絡んでくるヤツらになめられない為に、こうなったんだよ」
確かに二人とも、会話内容は僕と合うぐらいなのに、外見は彼と並んでもおかしくないほど派手だった。
服装も派手だし、アクセサリーもいっぱい身に付けている。
「まあ俺らは気に入っているから良いんだけど。問題は翔の方でな」
「アイツ、改めないからさ。高校でも大丈夫かなって思ってたんだけど……。麻野くん、アイツに何か言われただろう?」
…やっぱり付き合いが長いと、思考を読むことにも長けるんだな。
僕は深くため息をつくと、白状することにした。
「『気持ち悪い』って言われた…」
「あちゃー…」
「えっ? でも何で今日は二人で出掛けたんだ?」
「それは……」
僕は仕方なく、一週間、彼の勉強を見ていたことを二人に話す。




