3
「翔から聞いたんだけど、あの高校のマンガ研究会に入っているんだって?」
「俺達もマンガ好きでさぁ。本当はあの高校に行って、マンガ研究会に入りたかったんだ」
二人の少年は眼をキラキラさせながら、僕を見つめてくる。
「そっそうなんだ…」
「でも俺ら頭良くないから、落ちちゃってさあ」
「良かったら部活動の話し、聞かせてくれないかな? スッゴク興味があるんだ!」
二人の気迫は凄まじく、僕は首を縦に振るしかなかった。
「わっ分かった…。でも戻らなくて大丈夫かな?」
暗に彼のことを匂わせると、二人は互いに顔を見合わせ、唸る。
「まあ大丈夫だと思うよ」
「今残っている三人って特に、翔のファンって言うか信奉者でさ。きっと今戻っても、邪魔者扱いされるよ」
…それは感じていた。
あの三人はどこか敵意を僕に向けてきたから…。
「でもトイレじゃな」
「ここ出たところに休憩場があったから、そこで良い?」
「うっうん…」
「自己紹介が遅れたね。俺は松原」
「オレは千波。同級生だし、これから仲良くしてくれると良いな」
「翔から聞いたんだけど、マンガの原作担当しているんだって?」
「しかも受賞したこともあるって? 良かったらペンネーム、教えてくれないかな?」
二人の眼はとてもキラキラしてて、彼のような侮蔑さは全くない。
これなら素直に話して大丈夫そうだ。
僕は口外しても大丈夫なところだけ、慎重に選んで話す。
彼らも言えないことには、深く追求してこなかった。
「へ~。聞くだけでもヤッパ面白いなぁ」
「うんうん。ぜひ入学したかったぜ」
「でも成績を残さなきゃいけないし、結構大変だよ」
「だよな。…ところで翔のことなんだけど、さ」
「アイツ、言い方キッツイだろう?」
彼の話題になると、二人は急に顔色を変えた。
深刻な顔つきに、僕も思わず真面目な表情になる。
「うっうん…ちょっと」




