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「あれぇ? 翔じゃん」
「ホントだ」
「ああ、お前ら」
5人の僕達と同じ歳ぐらいの少年達が、彼に親しげに声をかけてきた。
「何? 今日のツレってコイツだけ?」
そのうちの一人が、僕を興味深く見てくる。
「ツレってーかパシリだろう?」
…ちょっと否定できない。
「ウルセー。文句があんなら、近付くな」
彼が不機嫌そうに言うので、少年達はちょっとビックリした後、とりつくろうように笑う。
「あ、悪い悪い」
「初対面だったからさ。ところで翔と同じガッコ?」
「えっと、はい…。龍雅くんと同じクラスの麻野拓海です」
「敬語なんて使うなよ。コイツらとボク達、同じ歳なんだし」
彼は未だ怒っている様子。
「コイツらは同じ中学でさ、会うのは久し振りなんだけど」
そうは言っているけど…何か不機嫌。
でも少年達は彼と話をしたくてたまらないようだ。
「そうそう。翔、久し振りなんだし、一緒に遊ばないか?」
「モデルの話し、聞かせろよ。可愛いコ、いっぱいいるんだろう?」
何だか僕が入れない空気になったので、一歩後ろに下がると、すぐに彼にバレる。
「麻野、どこ行く気だ?」
「えっと……ちょっとトイレに行ってくるね」
本当は空気を読んで帰ろうと思ったけど、彼から出る空気がそれを許さないと言っているようだった。
僕は逃げるようにトイレに向かう。
「ふぅ…。ゲームコーナーから遠い場所にあって、助かったかも」
トイレは隅の方に設置されているので、広いゲームコーナーからは距離がある。
少しぐらい戻るのが遅くなったって、言い訳できる。
「…考え方が暗いよ、僕」
トイレに誰もいないことを良い事に、独り言を呟いた。
「あっ、と。麻野くん、だよね?」
そこでトイレに、先程顔を合わせた少年達が入って来た。
2人は僕をじっと見てくる。
「そうだけど…何、かな?」




