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「でも麻野は運動神経、良いんだろう?」
「ボーリングはまあ…でもクラブは行ったことない……と言うか、苦手って言うか」
「じゃあお前がいつも行く場所は?」
「うっ!」
切り返された…。
「僕はその…本屋とかゲーセンかなぁ?」
思いっきり彼から視線をそらしながら、ぼそぼそと言う。
…本当はアニメイトとかゲームソフトの販売店ばっかりだけど……それを言うと、また『気持ち悪い』って言われそうだったから、言葉を変える。
「ん~、本屋ってあんまり興味ないしなぁ…。あっ、映画は?」
…アニメや、原作がゲームとかマンガのだったら興味はあるけど。
「ふぁっファンタジーものなら…」
でもやっぱり変える。
「ああ、外国のか。ボクは見ていてすかっとするアクションものしか見ないしな」
…とことん合わない、僕達。
何だか泣けてくるなぁ。
「じゃあショッピングモールは? あそこならいろいろあるだろう?」
なっ何も無理に行かなくてもいいと思うけど……彼、意地になっちゃっているし。
「うん…分かった。そこで良いよ」
「よしっ! じゃあいつ空いてる?」
「明日なら大丈夫かな」
「それじゃあ明日、駅の前で待ち合わせな。ショッピングモールも駅の隣で良いだろう?」
「うん…」
「じゃあ決まりな!」
彼は嬉しそうに笑う。
眩しい笑顔なんだけど…。
「あの…いつまで手を……」
恐る恐る持ち上げると、彼はハッとしたように、手を振り払った。
「わっ忘れてただけだからな!」
「うん…。それじゃあ明日、十一時に駅前でね」
「あっああ! 忘れるなよ!」
顔を真っ赤に染めた彼は、そのまま走り去った。
何と言うか…可愛らしい反応だなぁ。
でも彼と明日、お出かけか。
嬉しいんだけど……話し、合うかな?
そもそも間が持つだろうか?
いろいろ不安があるけれど、一日だけと自分に言い聞かせる。
…そう、これで多分、おしまいだ。




