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金髪と魔剣と冒険とカイルのハーレム!!  作者: オジsun
四章 アクアラの水魔剣士
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三十二 聖女の起こした奇跡

 カイルの必死の制止により、なんとかユウナが正気に戻った事により、教皇チクスールドから、《暗示》の情報を聞き出すことに成功した。


 しかし、教皇はユウナのごうも......尋問で力尽き、話を終えると眠るように気絶した。

 それでも教皇を叩き起こそうと煽情的に笑うユウナが、再び覚醒しようとしたので、カイルが急いで羽交い締めにした所で、ぜぇーぜぇー息を切らせながら青い顔色のアンナが駆け込んできた。


 そして、部屋を見て闘いが終わっていることを確認してから、カイル達に近づいていく。


 「終わったのか? ユウナ殿が急に目覚めて、『カイルが泣いているわ!』って飛び出して行ったから来てみれば......何をしている?」

 「気にしないで......色々、あったんだよ。儀式は止めた......」

 「そうか......」


 ユウナの事を敢えて説明しなかったカイルはそれだけ言って、


 「まあ......こっちは大した事は無かったけどね。レンジ達が心配かな?」

 「大した事は無かった......か」


 アンナが部屋を見ると、そこかしこに鉄や氷の残骸、そして、大きく剥がれた石版、何故か焼け焦げている場所等など、この部屋での死闘が明らかだった。

 特に、カイルの手が砕けていて、ユウナを掴んでいる服が血で紅く滲んでいるのだが......


 それでも、カイルは心からそういっていた。


 「とにかく! シルフィー......後は任せるよ? 戦争を......皆の暗示を解いてあげてくれ、それで戦いは終わるから」

 「はい......カイルさん......」


 シルフィーは金色の杯を胸の位置で持ってカイルに物憂げな表情を見せる。

 それで、カイルはシルフィーが、剣のことや、寿命の事、それに二人の事、そういった事を聞きたいんだと気付く。


 「シルフィー......君は今からミリス聖教の聖女だよ? わかるね?」

 「......はい」

 「もちろん、後で話くらいはするから、ね?」

 「......はい。ではその時まで......私は公人になりましょう......カイルさん、必ず、ですよ......?」

 「約束は護るよ。だからシルフィーも、ね? さあ! 俺は流石に疲れたから、少し休むよ。行って」

 「......はい」


 カイルが、シルフィーに、もう......カイルとシルフィーの関係は終わりなんだと、釘を刺すと、シルフィーはとても悲しい気持ちなって、瞳が潤むのを必死に堪え返事を返し、ゆっくりと外を一望出来る展望デッキに向かった。


 そんな二人の謎なやり取りに、アンナが「ふむ」と顎を抑えながら静かに見守って、ユウナはカイルの腕を取った。


 「《気》で分かるわ。レンジ達は無事よ?」

 「そう......っえ? 何それ凄くね......!?」

 「カイルにも出来るわよ。まあ、気や魔力が、高い人限定なのだけどね」

 

 それでも十分凄いと思うカイルは、因みに気の扱いが出来ないので、分かる訳も無く、そろそろ、《気》とか言う概念に手を出そうかと考え始める。


 そこで、カイルの身体の力がガクッと抜けてしまう。

 シルフィーがいなくなったことと、状況が、落ち着いた事で、緊張がとけ、《鉄刀丸》と《炎龍丸》二降りの望叶剣を使った代償が、身体を蝕んで行く......


 ぼふっ


 そんな倒れたカイルを、ユウナが柔らかい腕と小さな膨らみの胸で受け止めて、


 「カイル。疲れたなら、私の膝で休みなさい」

 「......うん」


 と言って、足を畳んで床にお尻をつけるとカイルの頭を膝に丁寧に載せてあげる。

 そのまま、まどろむカイルの頭をユウナは優しく撫で始める。


 そんな、カイルとユウナにアンナが、


 「悪いが怪我の回復は魔力が戻るまで待ってくれ、それとカイルよ、シルフィー殿は何をするのか私にも教えろ」

 「あ? ああ......ユウナ、説明してあげて」

 「カイルのお願いなら聞いてあげるわ。私の気持ちを分かってるいい子なカイルのお願いならね」

 「......気持ち?」


 機嫌の良いユウナに首を傾げるカイルは、自分がユウナに何を言ったかを覚えていなかった。

 例え......覚えていたとしても、ユウナの勘違いだったりする。


 因みに、ユウナが機嫌の良い理由をアンナは察しているので、カイルをジト目で睨んでおいた。

 コレは、後で面白くなるかもなと、悪戯心も少しだけ芽生えて......


 そんな、アンナにユウナは鼻歌交じりに、説明を始めた。


 「そこのデブが、ブヒブヒ言いながら、吐いたのよ。《暗示》は《聖杯》によってかけているってね? シルフィアが持って行ったのが《聖杯》よ」

 「ほーう、《特殊魔道具》か、しかし、外の十数万人を、人格崩壊させるほどの強い暗示だ、それだけでは無いだろう。他に大規模な暗示装置があるはずだが?」

 

 《魔道具》は特殊な技術で造られる魔力を持った道具で、多種多様なものがある。

 それも、現代技術で、解明不能なものも何故かある。おそらく大昔に滅んだ文明が開発したんだろうと、魔道具学者は分析している。

 そういう魔道具は《特殊魔道具》と呼ばれ、殆ど《ダンジョン》から排出される。

 アンナは話を聞いて聖杯をそれだと思った。

 

 が。


 アンナは、ミリス聖教教徒や聖教軍合わせて、数十万人以上もの暗示をかけていたミリス聖教がちっぽけな《聖杯》一つで終わらないと予測した。

 それは単純に、聖杯一つで、その規模の暗示をかけれるなら、世界中が大混乱になっているということだ。


 そんなの最早、《魔道具》等ではなく《神具》と呼んだ方が良いレベルの希少性になる。

 普通に考えて、そんなのあってはいけないものだった。


 「あれだけよ......」

 「は?」


 ユウナは一言、そういって、飲み込めていないアンナに説明する。


 「あの聖杯は、一つだけで大陸全土に暗示をかけれるのよ」

 「有り得ん」

 「......良いから聞きなさい。聞かないなら、教えてあげ無いわよ! カイルが教えてあげろって言うから話してるのに!」

 「......分かった。続けてくれ(むぅ......ユウナ殿は扱いが難しいから困る。カイルも大変だろな)」


 アンナの否定したい心情は分から無くも無いので、ユウナは一度だけ許すことにし、話を続ける。


 「ミリス聖教、教皇に代々受け継がれてきたのが聖杯よ。時の教皇達は、その力を使って自分のやりたいように、法を敷いたんでしょうね。でも、自分達はお構いなしだった......何の事か分かるかしら? 今だって残ってるものよ?」

 

 薄くバカバカしそうに笑って問うユウナに、アンナは恐る恐る、答えた。

 有り得ないと否定しつつ、気付いてしまった。


 「......異端か?」

 「そうよ。まあ、あれだけ自分達だけ禁忌を無視しているのだから当然よね」

 「っ!」


 確信を持ってユウナは即答した。

 そのまま、


 「私も......異端に対しては忌避感が有るのよね。たとえば、呪い持ち、とかね」

 「まさか!」

 「そうよ。おかしいと思うことも無い所まで暗示なのよね。でも言われて、気づいて、見たらこの世界は明らかにおかしいことだらけよね? 何故、移りもしない呪い持ちを忌避する必要が有るのかしらね? 何故、あったこともない。行ったこともない。魔大陸を私達は怖いと思っていたのかしらね? 他にも色々あるでしょ?」

 「......っ!」


 ユウナもカイルも教皇の言葉を最初は妄言だと思った。

 だが、話を聞くうちに、妄言じゃない事に、自分達の考えの方が可笑しいことに気付いてしまった。

 

 そして、それはアンナもだった。

 否定したいが、否定することは出来ない。


 「アンタが行こうとしている魔大陸って......一体、何があるんでしょうね?」

 「......」

 

 ユウナはなんでも無いようにただ、予想だけを言ったのだが、アンナには衝撃が強すぎた。

 閑散とした場所でユウナの声はカラカラと響いていく。


 「話がズレたわね。つまり、聖杯の力は、大陸全土に行き渡る強力な暗示装置で、私達は大陸にいる以上その効果を受けて異端を忌避するようされている。でも、今、重要なのは、その力で、ミリス聖教全てが洗脳に近い暗示を受けているって事よ?」

 「......」

 「通常、教皇に受け継がれるスキル持ちにしか使えない聖杯を、女神の寵愛を受けている。シルフィアは使えるらしいのよ。だから、あの子は暗示を解いて、戦争を終結させる。カイルの目的である、あの子の救済は教皇勢力を潰した事で、コレで終わるし、ちょうど良かったわ」

 「......」

 「ちょっと! 聞いてるの? 戦後処理はアンタの仕事よ? カイルを煩わせるのはやめてよね?」


 衝撃の事実にアンナが口を開く事が出来ずにいると、それを見兼ねたユウナがカンカン怒り出す。

 それで、アンナも思考の迷宮(ダンジョン)から抜け出した。


 「あ、ああ......。シルフィア殿の今後は、私が責任を持って地位を確立する。問題ない」

 「そう」


 ユウナは素っ気なくそういって話は終わりよと、優しく丁寧に、ウトウトし始めているカイルの、黒に銀色が混ざった頭を撫でてあげる。


 そして、ユウナは......


 「ねぇ? カイル。アンタ......私に大事な事、隠しているでしょ?」

 「......」

 「その消耗の仕方、異常よ? ......でも、私に言いたくないのよね?」

 「うん......ユウナ......ごめん」


 いくらユウナでも、いや、ユウナだからこそ、カイルの隠し事はすぐに分かる。

 そして、それが、カイルのとても重大な秘密だと言うことも......

 カイルもユウナに隠し事を隠し切る事は出来ないと、素直に認め、それでも言えないと謝った。


 (ユウナだけには、俺の命が一年と少ししか無いなんて、言える訳が無い。きっと凄く......誰よりも悲しんで......何するか分からないし......)


 そんな、カイルの態度にユウナはぐぐーっと拳を握って、


 パコン。


 デコピンをした。

 

 「良いのよ。男の子だもの、隠し事の一つや二つ必要よ。謝るんじゃないわ」

 「......ユウナ。うん。......(やっぱり、俺はユウナが好きなんだな......でも、ユウナはレンジが好きだから......)」

 「それで良いのよ。(両思い! なんだからいずれ分かるもの♪)」


 因みに、一歩離れた場所で、アンナがくつくつ笑いながら、二人の食い違う心をほぼ正確に読み当てていた。


 「カイルも罪な男よな......ハハハハハハハハハハハハハハっはーーっ!」

 「「煩い」」

 「うーむ!」


 カイルとユウナに同時に怒られて面白くないと唸るアンナだった。


 一方。


 展望デッキにでたシルフィーは、聖杯の力を使い、教皇がかけた暗示を解いていた。

 《女神の移し身》を持つシルフィーには、聖杯を触るだけで、その使い方のすべてが分かった。


 この時、アンナとの約束通り、呪い持ちを異端とする概念も消してしまう。


 この瞬間。

 ミリス聖教軍で、悪逆非道な指揮を取っていた、ランスロットが、自分の過ちに気づいて震え上がった。

 そんな兄の背中をガンスロットがさすりながら言った。


 「兄じゃ......もう降伏しよう」

 「ああ......済まなかった。......全ての責は私が取る。兵達。今すぐ白幡をあげろ! 抵抗しなければローゼル軍は我等には何もしない筈だ!」

 「「は......っ!」」


 こうして、ランスロットは教皇の指示を無視して降伏を宣言した。

 朝日が輝く早朝の事だった......。


 ■■■


 暗示が解かれたアクアラ大祭殿に集う、十万人の教徒達は、ミリス神聖国の大半の国民だった。

 皆一様に、口を開けて何故、自分がこんな時間にここにいるのか、ここで、何をしていたのかを疑問に思う。

 そんな時、教徒達の一人が、大祭殿の展望デッキに悠然と立つ、どこか神々しい白い少女を見上げた。

 一人が気付いた事により、また一人、もう一人、それは全ての人に伝染した。


 誰もが目を奪われた、少女が凛と心に染み渡る声色で自分が《聖女》で、女神の生まれ変わりだと宣言した。

 そして、教皇チクスールドに洗脳されていたと、そう......語った。


 「嘘だ!」「教皇様がそんなことするはず無い!」「誰だ! この! 嘘つき女め!」


 教皇チクスールドは教皇として国民達や教徒達の信頼が厚かった。

 シルフィーは避難の視線に晒される。

 ひどい言葉を沢山かけられる。十万人の悪意は並大抵の恐怖ではない。

 それでも、シルフィーはその言葉を全て受け入れ、教徒達を諭していく。


 それが、シルフィーが、聖女として最初に越えなければいけない壁だから......

 しかし、シルフィーの心にはどんなに辛い状況でもけして諦めないカイルの姿が、焼き付いていている。

 だから、シルフィーは一から十までゆっくりと、十万人の教徒達に臆す事無く立ち向かえた。


 勿論、ローゼルメルデセス女王、アンジェリーナもそれを手伝った。その場で、シルフィーの《アナライズ》の解析結果も織り交ぜて、二人の言葉は徐々にだが確実に教徒達に届いていった。


 そんな、全てが順調に進んで行くのをカイルはユウナに膝枕されながら、見守っていた。


 (......やっぱり、シルフィー......君は、沢山の人の光になれるんだ。凄いよ。俺だけのシルフィーにはなれないよ、君はもっと凄い人と結ばれ無いとダメだ......ごめんね)


 カイルは心の中で、シルフィーとの暖かく幸せだった時間を思い出しながら、静にシルフィーとの関係性を断つ決意を固め直していた。


 「ねえ。カイル。私の気持ち知っていたのよね?」

 「うん? ......ああ! 分かってる、分かってる。レンジが好きなんだよね? 大丈夫。俺に出来ることはなんでも協力するよ。俺も二人には結ばれて欲しかったし......(レンジとユウナがそうなるなら俺は、多分喜べる)」

 

 カチリ。


 ユウナの身体が凍り付いた......

 そして、ふつふつと熱い感情が、溢れだし爆発した。

 次の瞬間にはカイルを担いで、力一杯投げ飛ばしていた。


 「全然っ! 分かってないじゃないのぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお

ーーっ!」

 「な、何がだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーっ!!」


 カイルは壁に激突し、力尽きた......

 ユウナは、ぴくぴく四肢を動かすカイルを見て、頬を膨らませると、舌を出して、


 「もうっ! カイルのおバカ! 大嫌いよ! べー!」


 と、言ったのだった。


 その時。

 カイルもユウナも、気絶していた、教皇が目を覚まし、魔法を発動しようとしている事に気付かなかった。

 二人とも、完全に油断していた。


 「《雷の精霊よ・裁きの弾丸で・憎き聖女を貫き給え!!》」

 

 教皇の魔力が、膨れ上がった事で、カイルとユウナ、そして、シルフィーとアンナもようやく気がついた。

 

 「止めなさい!!」

 「ハハハッ! 死ねえええええええええええええええええええ!! 《ライトニング・バレッド》」


 ユウナが、、瞬動脚で、近付き教皇の腕を切り落としたが一歩遅かった。

 教皇チクスールドが、放った魔法はまっすぐシルフィーに向かって飛んで行く。


 「シルフィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!」

 「カイルさん!」


 カイルも跳ぶように起き上がり、シルフィーに全力で、かけた。

 シルフィーもカイルに手を伸ばした......


 ズドン!


 「っ......!」


 しかし、教皇が、放ったのは魔法の中で最速のバレッド系で、殺傷力の高い雷属性だった。

 カイルがいくら早く走ろうと、シルフィーが避ける事もカイルが間に合うことも不可能だった。

 

 雷の弾丸は、シルフィーの心臓を光速で貫いて、シルフィーの心臓の位置に大きな穴が開けた。

 そこからシルフィーの命の源がボトボトこぼれ落ちる......


 「......か............いる......さん......」


 シルフィーは、心の底から愛おしいカイルに手を伸ばすが心臓を貫かれた事により、ゆっくりと後退し、そして、展望デッキから身体を落としてしまう。

 

 「シルフィー!!」


 高さ三百メトル以上ある、アクアラ大祭殿の最高層から真っ逆さまに落ちていくシルフィーをおってカイルも迷わず跳んだ。

 

 「馬鹿者! カイル! 死ぬ気か!」


 アンナが叫ぶが、もう遅い。

 カイルは、空中で血をばらまき長良川目を閉じているシルフィーに手を伸ばし......掴んだ。


 そのまま腕で胸に抱き寄せる。そのシルフィーの身体の冷たさをカイルはよく知っていた。

 死人の身体......もうシルフィーは......認めない! 認めるもんか! カイルはそう思い、シルフィーの冷たいカオヲ触って、頭を切り替える。

 

 「シルフィー......クソッ!」


 このまま、落ちればカイルもシルフィーも地面にたたき付けられて死んでしまう。

 カイルが先ほど、跳んだ時は鉄刀丸の鉄を足場に戻って来れたのだが、武具を外し休んでいた。そこで不意をつかれたことにより武具を手にする暇も無かった。


 高速で落下しながらカイルは頭を全力で回し、そして、


 《鉄の剣よきたれ!!》

 

 錬成剣を錬成した。

 そのまま、アクアラ大祭殿の壁に剣をおもいっきり差し込んだ。


 ガガガガガガガッ!


 火花が散るほど石の壁を切り裂いて、アクアラ大祭殿の中心近くでようやく止まった。

 ぶらんぶらん空中に浮いたカイルは、そのまま腕の中のシルフィーに叫ぶ。


 「シルフィー! シルフィー!! 嘘だろ......死なないで......返事して、シルフィー! 《癒しの精霊よ・聖なる光で・シルフィーを治し給え》《癒しの光で・シルフィーを......》クソッ!《癒しの......光で》」

 

 シルフィーは心臓を貫かれた。

 カイルには分かっている、そんなことされたら即死だ。

 いくら回復魔法をかけても死んだ人間は生き返らない......

 

 それに、カイルの魔力ももう残っていなかった。

 それは、激闘を演じた、アンナもユウナも同じだった。


 分かっていた......

 

 「頼むよ......起きてよ......シルフィー」


 もう、シルフィーが......


 「なんでも! 俺。君の願い全部......全部聞くから! もう断ったりしないからぁ! 頼むから起きてよ! たむよぉお......シルフィー!!」


 ポロリとカイルの涙がシルフィーの顔に落ちた。

 そこで、心臓を貫かれたシルフィーはとてもとても暖かいものを感じて、死の淵から目を開けた。

 息も出来ない苦しみの中で、カイルの願いを聞き届けた。


 「カイル......さん......泣かないで......」

 「シルフィー! 良かった! 今! 今助けるから、死んじゃダメだ! 絶対ダメだから! 俺がなんでもするから、こんな絶望......こ、こ壊すからぁ......だから!」

 「......カイル......さん」


 ボロボロ無くカイルに、死の淵のシルフィーを救う手段は勿論無かった。

 だからこそ、涙が止まらない。

 シルフィーはそんなカイルににっこりと微笑んで、


 「......カイルさん。私......カイルさんと......結婚したかった......」 

 「する! 今すぐしよう! すぐしよう! だから! もうっ......なんで! なんで! なんで!

こんなぁあ!」


 カイルは気づいた。シルフィーの瞳にカイルの姿は映っていない事に......

 カイルの胸に激しい悲しみと苦しみの絶望がぐちゃぐちゃに混ざり合っていく。


 「俺が! 君の願いをちゃんと......ちゃんと! 聞いてあげれれば! 君はもっと、ちゃんと!」


 シルフィーのこの瞬間を、「結婚したかった」なんて言葉を言わせた事をカイルは、狂う程、後悔していた。

 

 「カイルさん......どこですか......寒い......です......凄く......寒い」

 「ここにいるよ......シルフィー......俺はここにいるから、ちゃんと......いるから」


 ボロボロとカイルの涙がシルフィーの顔を濡らす。

 シルフィーはヨロヨロと迷いながら手を伸ばしてカイルの頬を触った。


 「カイルさん......?」

 「ああ。俺だよ。シルフィー。君が好きって言ってくれた俺だよ」

 

 シルフィーはもう、カイルの声が聞こえてなかった。

 真っ暗な寒い場所で、一人だった。けれど、手を伸ばした所にカイルがいる気がした。

 だから、


 「カイルさん......キス......してください」

 「......分かった」


 カイルは、もう、迷わず冷たいシルフィーの唇と口づけを交わした......

 シルフィーはそのまま一言......

 

 「あったかい......」

 

 そういって、ガクンと身体の力が抜けた。

 それを見ていた全ての人が、一人の少女の死を目撃した......


 カイルの心は、強い喪失感で真っ暗な止みに包まれた。

 涙が止まらなかった。


 (シルフィー、失ってから......分かったよ。俺、君のことが凄く大切だった......今更......分かったよ)


 物言わぬ、冷たい屍になったシルフィーを見てカイルは思う。

 

 なんでこんなことになった?

 誰が悪い?


 手を下した教皇か? 何も出来なかった自分か?

 いや......こんな理不尽な死を与える世界だ! 


 「ふざけんな! ふざけんなよ! ふざけんなぁあああああああああ!」


 カイルは、激情のままに叫んで、


 「全員......シルフィーを殺した......全員を......俺が! 殺してやる!」

 

 黒い感情が、沸き上がり、黒いオーラがカイルの身体から溢れ出す。

 この時、《鉄刀丸》と《炎龍丸》も黒く染まっていた。


 復讐の化身とカイルがなろうとしたその時。

 十万人のミリス聖教教徒は見た。


 シルフィーの身体が青白く発光し、魔法で貫かれた大きな胸の傷が、癒えて塞がっていくその様を。


 カイルは感じた。


 聖なる光に包まれる中で、冷たかったシルフィーの身体が暖かさを取り戻し、壊れ、止まっていた心臓が、ドクンと強く脈動する事を。


 そして、シルフィーは......その瞬間、目を開いて、身体が求めるままに、カイルの唇を奪った。


 「っえ? シルフィー! 今! 生きて......! 良かった......良かった! シルフィィィィー!」

 

 生き返ったシルフィーにカイルは、涙を止めるまもなく驚き、ただ嬉しかった。身体が求めるままに大切な人を抱きしめた。もう絶対にはなさない、シルフィーは俺が守る! 誰にも渡さない! そう心から誓った。

 そんなカイルに、シルフィーはキスを止めて、微笑んだ。


 「カイルさん......今は......唇を重ねてください。それが、私の唯一の望みです」

 「ん? ......うん。シルフィ......っ!」


 ぬるっ......


 何もかも、よくわかっていないカイルの了承を取ると、シルフィーはカイルの首に手を回して、唇を寄せてそっとカイルの舌を自分の舌で触った。


 とろとろ......ちゅるる......ゴクン。


 「っ!!」


 そのまま、カイルの舌を撫でて唾液を掬いとって飲み込んでしまう。


 「ふふ......カイルさん。もっと......貰って良いですか?」


 その後、悪戯っ子みたいに笑ったシルフィーに、アレ? なんか.....元気じゃね? とようやくシルフィーが、生きている現実を受け入れはじめて、


 「何を!? って言うか......大丈夫なの? シルフィーが、必要だって言うならいくらでもするけど......」


 カイルが、そういうと、シルフィーは小悪魔的に笑って、カイルの胸に額を当てた。カイルもシルフィーを力強く、潰すくらい抱きしめた。


 「......いえ......これは、神の契りのキスですよ......?」

 「え? ええええええええーーっ!! そういうノリだったの!」


 カイルとしては、シルフィーの蘇生にキスが関係あるのかと思ってしていたのだが......シルフィーはただ、神に捧げるキスをしたかっただけだった。

 

 「ふふ、今すぐ結婚してくれるって......言いましたよね?」

 「ちょっ......」

 「十万人の教徒さん達がきっと、祝福してくれますよ......?」


 そこで、カイルが下にいる教徒達に視線を向けると、


 「生き返られた! 神の奇跡だ!」「本物の聖女だ!」「聖女が神の契りを結ばれた!」「あの男が聖女様の......」「これはめでたい!」「聖女様が結婚された!」「「「「「オオオオオオオオオ」」」」」


 ひざをついて崇めていた。ちゃっかり、結婚したことになっていた。

 

 「......嘘だろ」

 「ふふ、もう逃げられませんよ?」

 「うっ......嘘だろ......シルフィー......後で、ちゃんと話そうね。それよりも身体は平気なの?」

 「......はい。今......分かりました。私はおそらく......」


 シルフィーが、カイルに告げる言葉を、上で見ていたアンナが呟いた。


 「そうか! シルフィア殿は! 死から復活する能力を持っていたのか!」

 「どういうことよ!」

 「シルフィア殿は十二年前に、異端として処刑された。それを、聖女を守る教会が、変わり身を用意したことで生き延びた......」


 シルフィーの生い立ちを知っていた、アンナはそこまで言いそして、


 「それには無理があると思っていた。だが、シルフィー殿が実際に処刑されていて、その後で生き返っていたとするならば、全てのつじつまは合う!」


 このあとで、アンナが詳しくシルフィーのスキルにアナライズで解析して分かることだが、


 スキル《女神の移し身》は、祈りの対象に蘇生効果を付与する能力。だけでは無いことが正式に明らかになる。

 むしろ、そっちはシルフィーが、心から想いを寄せる人にしか発動できないオマケの様な物、

 

 本命は、状態異常《死》からの自身の蘇生。


 勿論、無制限では無く、シルフィーの魔力が大量に必要なのだが、今回は死の直前、奇跡的にキスでカイルの魔力を少し取り込む事でぎりぎり、蘇生条件を満たしていた。

 カイルが、ミリナとキスをする事で、魔力を移動しやすくなっていたのと、何より、カイルにかけた《女神の移し身》の加護が、シルフィーと魔力の質を同化する力もあった事が大きい。


 ダン!


 「違うわよ! そこじゃないわ!」

 

 正しく、神の奇跡を見たアンナが、その理由を考察しているのに対して、ユウナは......


 「カイルと......シラガ女が......女がぁ! あれで、け、け結婚! しちゃたって! 嘘よね!」

 「......」

 「どういうことなのよおおおおおおおおおおお!!」


 アンナがユウナからそっと視線を外し、ユウナは絶叫した......

 そして、アンナは一応、言っておく。


 「ユウナ殿。落ち着くのだ。結婚は、別に正式に何かをすれば良いという訳ではない。二人で愛を誓って、同じ屋根の下で、過ごすことを結婚と言うのだ」

 「そ、そうよね!」

 「まあ、その前に、身内や知り合いを呼んで、「私達結婚します」と豪華な食事を振る舞うのが、《結納式》といい、そのあとは結婚した事として認知されるのだがな」


 ギロリ。


 アンナの説明に、肉食獣の如く野生の視線を向けるユウナが、恐ろしく低い声で、


 「何が言いたのよ?」

 「......み、ミリス聖教は、《結納式》の代わりに、神に誓いを立ててキスで契りを結ぶ《結婚式》を行う風習がある」

 「だから!」

 「これだけの人の前で、カイルとシルフィア殿はキスで契りを交わした......「結婚します」とこれだけの人の前で言ったようなものだ、《結納式》としても《結婚式》としても、とれる......これは、もしかすると」

 「うるさいのよ!!」

)

 ユウナの怒りが遂に限界を越えて、剣気の《覚醒状態》......つまり、マシンヒロ戦で見せた状態に覚醒した。


 「お、おい! 止すのだ! 洒落にならんぞ! それは!」


 アンナがユウナを羽交い締めにしようとするが、ユウナの剣気はカイル以外にそれを許さない。

 突風が巻き起こりアンナを弾いた、そして、それを纏ったユウナは、展望デッキから跳んでいた。


 そのまま剣を構え、


 「剣神流一ノ太刀! 《断絶》!! 全て消えてしまいなさい!!」


 竜巻が......巻き起こった。

 その後、色々と暴動が巻き起こったが、カイルはずっと力強くシルフィーの身体を抱きしめていたのだった。

 


 

 《エピローグ》


 ミリス聖教軍が、降伏した事と、シルフィーの生き返りを目撃した教徒達が、シルフィア・ミリスは正真正銘《聖女》だと、認識したことで、《聖女》と《教皇》を巡る一連の全ての戦いに終止符が打たれた。


 終戦会議で、シルフィーは正式に《教皇》として着任し、ミリス聖教のトップに立った。

 それは同時に、ミリス神聖皇国の皇女にもなったと言うことだったのだが、そっちの権力構想は複雑で、全ての実権を握った訳ではなかった。

 これから、時間をかけて、権力争いに理解のあるアンジェリーナがって手をかすことになって話は着いた。

 また、禁忌を使った責任を取ると言って腹切りをしようとする、聖騎士ランスロットにアンナが、「死んで責任を取るなら、その命、私のために使え!」と偉そうに説得して、見事、聖騎士ランスロットの忠誠を勝ち取っていた......



 そして、そんなこんなの後、ミリス神聖皇国の中央病棟で、密かに、アクアラ大祭殿に乗り込んだ七人は治療を受けていた。

 戦争集結から数日開けて、早朝。ちゅんちゅんと小鳥の泣き声が響く病室の中で、黄色い声が高々と響いた。

 

 「カイル様ぁあああああああああああああっ!! ああ! あああっ! カイル様!! の浮気者! ミリナと! ミリナと結婚......してくれるっていったのにぃ!!」


 カイルを見舞いに来た、ミリナがカイルに飛び付いて、くんくん臭いを嗅ぐと絶叫したのだった。


 「浮気って......ミリナ?」

 「......カイル様!! 義姉様と何をしたんですか! いいえ! 聞かなくても香で分かります! 分かるんです! これは義姉様を《極刑》に処す必要があります! はい!」

 「ちょっ! ミリナ! どこ行くの! ミリナぁああ!」


 ミリナは瞳にキラリと狂気の光を輝かせながら病室を出て行った。その手には、銀色のナイフが握られていた......


 「何を勘違いしたのやら......まあ良いや、出ておいでシルフィー」

 「......何故? 隠れる必要があったのですか?」


 カイルのベッドの毛布から、シルフィーが、ゆっくりと顔を出して、カイルの腕を枕に向き合って小さく微笑んだ。


 因みに、カイルの病室には、カイルとシルフィーしかいない。

 ユウナ達も入院してたのだが、回復魔法ですぐに回復出来て、割とすぐに退院していた。

 カイルは、怪我の治療をしても、身体に痺れが残っていて、もう少しだけ入院する事になっている。


 カイルは、相変わらず真っ白で、汚れが無い......無垢という言葉が似合いそうな、シルフィーに苦笑して、ミリナとは絶対に合わせられないと思った。


 「ようやく、落ち着いて話せるね?」

 「......ですね?」

 「色々、話したいけど、先ずは......」


 カイルもシルフィーも終戦後は色々と忙しかった為に、話す機会がほとんどなかった。

 だから、シルフィーが、ミリナを怒らせる事をした話も、今後の事も、今から話さなければ行けなかった。

 そして、カイルは一番最初に選んだ話は、

 

 「あんまり、動かないで、色々と擦れて......」

 「ふふ、また? スッキリしますか?」

 「......シルフィー。とにかく先ずは話をさせて」

 

 突然のミリナの襲来に、シルフィーを布団の中に避難させたは良いが、シルフィーの凹凸のある柔らかい少女の身体にどぎまぎすると言う、しょうもない話だった。


 シルフィーは二度目なので、ニコニコしながら、モゾモゾカイルの身体に手を伸ばした......

 左腕で、腕枕をしているカイルはシルフィーの頭を優しく撫でながらやんわり断ると、シルフィーも腕をカイルの胸に当てて寛ぎはじめる。


 「ふふ......カイルさんが、話したいのは、私の過去のことですね?」

 「うん。シルフィーはシルフィーの代わりに死んだ、人のために生きるって言ってたけど」

 「はい。......そんな方は、いませんでした」


 大祭殿で、シルフィーがカイルに話した、心の奥を蝕んでいた闇。

 でも、シルフィーが、処刑されて生き返ったと言うことが明らかになった今。

 シルフィーの瞳には闇は消えていた。


 だから、シルフィーは前よりも悲しくなく、それでいて前よりも優しさに溢れた安らかな微笑みをしている。

 カイルに寄りかかるこの時も、前よりもっと暖かく幸せを感じていた。


 「カイルさんの言っていた通りになりました......!」

 「うん。良かったよ。シルフィーが、すこしでも楽になれて......」

 「......カイルさん......」

 「ん?」


 きゅっとシルフィーはカイルの胸元を掴んだ。

 そして、


 「神の契り......を、もう一度、今度はカイルさんの意思で......してくれませんか?」

 「シルフィー......俺さ。シルフィーが、死んじゃったとき、もっとシルフィーの気持ちを叶えてあげられればってそう思った」


 シルフィーのお願いにカイルは誠心誠意、できる限り真摯に、気持ちを伝える。

 カイルが、何を思って、どうしたいのかを......


 「......では!」

 「......それでも、シルフィー。俺は......やっぱりミリナの事を救いたい。あの子の絶望を壊してあげたい」


 その上で、カイルは、ミリナの無邪気な笑みを思いだし、そして、救うと誓った約束を尊重したかった。


 「......カイルさんなら......そういうのでは無いかと思っていました......」

 

 ......強い悲しみで、シルフィーは白い息を吐いていた......

 そんな、シルフィーを見て、カイルは、


 「っあ! 誤解しないで、俺は約束を守るよ。一度言った言葉は下げないよ。だからシルフィーの願いも叶える。シルフィーと結婚するよ......俺にとっては役得でしかないしね」

 「っえ?」

 「俺、解ったんだ。シルフィーが、自分の身体の一部様な気がするほど、好き......みたいだ」

 「......っ!」


 少し、恥ずかしそうにしながらカイルは、ハッキリとシルフィーに好意を告げた。

 その瞬間、シルフィーの表情はぱっと明るくなる。


 「えっとね......でも、それはやっぱり、ミリナを救うまで待ってほしいんだ。全てを終わらせた後で残った時間を、シルフィーに......全部あげるよ......いや。シルフィーに全部貰ってほしいんだ。一緒に少しでも居たいって、そう思うんだ。......だから、そこまでシルフィーが待っていてくれてたら、俺は絶対......」

 「待ちます......! 待たせてください......!良かったっ......私......凄く幸せです。カイルさん......カイルさん......!! 大好きです......!!」

 

 カイルの言葉を最後まで聞く必要は無いと、シルフィーはそっとカイルの胸に額を当てて弱い力でスリスリ擦り甘えながら

 あまりの嬉しさでシルフィーの涙が大量に溢れ出す。


 「......良かった。それと、俺はシルフィーを家族みたいに思っているから、助けて終わりなんてしたくない。だから、もう少し最後まで面倒を見ても良いかな?」

 「......?」

 「シルフィーが、新しい生活に慣れるまで、少しの間、君の近くで君を守りたいんだ。......しばらく、一緒にいても良いかな?」

 「はい......! 末永く......」

 「気が早過ぎるよ......」

 「ふふ、カイルさんがその気なら良いではないですか? ミリスの民は、皆さん、私とカイルさんを夫婦だと思っているのですから......少しくらい......幸せの前借りを、せめて......カイルさんが近くにいるときだけでも......」

 「......少しなら......ね」


 シルフィーはカイルの胸に手を添えながら、耳をつけて目を閉じ、トクンとトクンと鼓動するカイルの心臓の事を聞いたのだった。

 暖かいカイルの腕に包まれながら......


 「それと......俺、ミリナにも全部終わったら、結婚するとか、適当な事言っちゃってるんだけど......怒る?」

 「......」



 カチコチ......


 シルフィーの身体から動きが消えた......

 そして、恐ろしく冷たい声音で......


 「......どうするおつもりなのですか?」

 「......シルフィーが、二妻持ちが嫌なら」

 「嫌なら......?」

 「......約束したの......ミリナが先だし......」

 「先だし......なんですか......?」

 

 氷の様に冷たいシルフィーの視線......!!


 「......さっきの話は無かったって事で......」


 ぺチン!!


 カイルは頬に紅葉マークをつけることになりました......めでたし、めでたし。


 そして、陰からその会話を聞いていた、アンナがニヤリと笑い一人呟いた。


 「ふふふふ、私はまだ! 諦めんぞ! ふふふふ、ふふふふふ、フハハハハハハハハハーー!」


 更に、カイルが結婚するとか、シルフィーが、好きだとか聞いてしまった、ユウナは絶望のどん底で、ミリナよりも黒い瞳で、ぶつぶつぶつ呟いていた。


 「なんでこうなるのよ......カイルは私のなのに......それによりにもよって、白髪じゃない! ......ハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲるハゲる」


 因みに、レンジが、肩を揺らして溜息を付き、有ることを決意し、マリンは「うわわわわわっ修羅場です」と言っていた。


 そんな中、唯一ジーニアスだけが別室で、《魔性剣王》 ペプチルドに「ハァハァハァっああっ!」と迫られて楽しそうにしていた......


 「なんで僕だけ!! こんなんなんだぁあああああっ! ヒィ! 来ないで! 僕に! 近づかないでぇええ!」

 「ジーニアス様ぁんっ! イジメてもっとぉ! イジメてぇぁんっ」


 楽しそうにしていたのだった......


 四章ミリスの聖杯《完》



 

 読んでくれた人ありがとうございます。

 先ずは一言。

 

 やっとかけたぁあああああああああ!!


 いや、ね。結構長い話になっちゃったから.....二十万弱文字位書いた気がします。そんな事も無いか......

 プロット段階ではこんなはずではなかったんですよ?


 何がいけなかったんだろう......

 登場人物が増えてきたから仕方ないかな? って終わらせるのはあれなので、正直に言います。

 《ミリナとシルフィーがカイルとイチャイチャしすぎました》


 あの二人......少し、自重しないと、また怒られる気がします。

 

 はい。反省終わり。


 本編の話なんですけど、実は三章終了時にここまで状況を進めようとしていました。

 その場合は、学園都市のクラスメート達が一緒にたたかってくれます。

 ですが、時間とかを考えたら矛盾が大き過ぎたので、アンジェリーナに頑張ってもらいました。


 ぱちぱち。


 今回の章は熱い男の友情が、書きたかった......んですが、伝わりましたかね?


 そして、ようやく、マリンが戦士として覚醒してくれました。よね?

 アクアラ大祭殿での《制裁者》達との戦いを丁寧に書いたつもりなのですがどうでしょうか?

 緊迫感とか、熱さとかあったかな? 


 どの戦いも結構お気に入りです。

 殆どの戦いに爽快感が無く、泥臭いのは......仕様です。

 まさか、レンジまで、泥臭い戦いをするとは思わなかったんですが。


 でも! 対テヌフーン戦で、テヌフーンの強さがあまりかけなかったことが心残りです。

 原因、シルフィーの未来覗が強すぎました。

 

 本当なら、カイルの覚醒は、テヌフーンにボコボコにされてからする予定だったんですが......

 まあ良いか。


 因みに、シルフィーのアレの能力は、最初から決めていました。

 少し悲しくなってくれましたか?  

 

 まあ、本編に付いてはそんな感じです。

 感想ください。......


 で、またまた、四章最後の展開が、予定と違ってしまったので、どうしよう......

 エピローグって、なんか苦手だな......長々しくする訳にも行かないし......


 えっと。五章に付いては結構考え中。

 ただ、シルフィーとカイルのイチャイチャ見ても、嬉しくないだろうし。

 

 気分的には、そろそろ、ね。レンジ君の話を少しやっても許されるんでは無いかと思っています。

 男キャラだけど、いいよね? 少しやってもいいよね? そろそろ気になるよね?


 五章は、未定ですが、恐らく、事件性の無い繋ぎの話になると思います。

 魔大陸行く前に、皆で、ほのぼのしときたい......


 まあ、テーマがズレない様にバトルは意識して書きますが、カイルのあの台詞は......


 今回の章で、急に出てきた《剣気》に付いては、剣士と魔道士の差別化したかっただけです。

 ドラゴンボー......じゃないからね!

 次の章で少し触れて行きます。


 《また、五章はプロットから練るんで、数ヶ月、更新止まります》


 最後に一言。

 『カイルの寿命がそろそろ......ヤバいですね』


 ......感想。


 

 

 

 

 

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