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二話 『英雄との邂逅』

 ――三年後。

 十三歳になったカイル、レンジ、ユウナの三人は、《聖剣祭》に参加するため、学園都市、旧名、メルエレン王国に赴いていた。

 ……ブレイブの導きに従った形だ。


「うわぁぁ……人がいっぱいいるね……具合が悪くなりそう」

「カイル。具合が悪いなら、私の胸に吐きなさいっ! 受け止めてあげるわ、優しく背中をさすってあげるわ」

「拷問は止めて」

「どういう意味よ」


 三年で成長し、二十セルチほど背丈が伸びたカイルが、大量の雑踏に苦言を漏らしていると、ユウナが、全く成長していない胸を提供しようとする。

 ……一応、身長は、十セルチほど伸びている。


「ほら、カイル。ユウナ。しっかり、手をつないでいろ。迷子になったら探し出すのは至難だからな」


 身体は成長しても、精神年齢は全く成長していない、二人に釘を刺すのは、二十五セルチほど身長が伸びたレンジだ。


「ふっ。何よ、レンジ。別に手なんか繋がなくたって、愛の力で、カイルが私を見つけてくれるわ」

「迷子になるのは前提なんだね」


 もし、迷子になられたら、謎の力で見つけなければいけない無茶ぶりをされたカイルは、そっとユウナの手を取った。

 ……ムリに決まっている。


「あわわわわッ! た、助けてくださいっ! そこのかたっ」


 そんな風に、三年経っても、固い絆は変わっていない三人は、《聖剣祭》の目玉、《聖剣の選定》が行われている場所に向かっていた。

 そこで、聖剣に選ばれることが出来れば、晴れて、《勇者学校》に入学できるのだ。

 勇者学校、唯一の入学試験、みたいなものだが……その合格倍率、一万分の一。

 ……非常に狭き門。


「助けてっ、助けてくださいっ。私、悪い人に、追われてるんですぅぅ」


 突破する大体のひとは、カイルたちと同じように、最初から選ばれると知っている、スカウトされた人達だ。

 ……デモンストレーションと言う奴である。


「居たぞっ! あそこだ。捕まえろっ!」

「ヒィィ~~ッッ! お助けおぉぉぉ~~」


 どさっどさっどさっ。


 四角い岩の家が建ち並ぶ街頭で、突然、ガラの悪い男達に囲まれた。

 ……十人近くはいる。


「おい、ガキども、その女をこっちに引き渡すんだ」

「あわわわわわわ……助けてっ。助けてっ」


 男達の狙いは、カイルに半狂乱ですがりつく、青い髪の少女のようである。

 見た目から、年齢は、同世代だと解る。


「助けて……助けて……助けてくれないと、わたし、あんなことや、こんなことをされたあと、奴隷にされちゃいます」


 男達に追われ、よほど怖かったのか、少女は半べそをかきながら、カイルの背中を盾にする。


「ねぇ……ユウナ。俺の背中って、盾にでもみえるのかな?」

「そこを使って良いのは私だけよっ! 退きなさいっ!」

「そうじゃねぇぇよ!」


 そんな少女に張り合おうとするユウナを止めて、カイルは、少女の肩を掴んで優しく微笑んだ。


「よし。助けてあげるから、手を離して」


 ……もちろん、家族でも、金髪でもない人間を、助ける気などサラサラない。

 安心して、手を離した瞬間、男達に引き渡す、そういう算段だ。


 ぎゅっ。


 と、悪巧みを働かせるカイルの背中を、少女は更に強く掴んで言う。


「嫌です。離したら、引き渡すって顔に書いています」

「ハハハっ。何を言ってるんだか。引き渡す訳ないじゃないか、俺を信じて、手を離すんだ」

「嘘ですっ。絶対嘘です。昔、私の事を騙した詐欺師と同じ顔をしています」

「意外と愉快な人生経験だな。――ちょっと助けたくなちゃうけど、やっぱり離せ!」

「嫌です。貴方はいい人です。ここで私を見捨てられない顔をしています」

「その、如何にも、助けられる気しかないって所が! 余計に助けたく無くなるんだよ! 人の善意につけ込もうとするな」

「ああっ! 認めたっ! ほら、やっぱり、私を引き渡すつもりだったんじゃないですかぁぁ~~」

「うるせぇぇ」


 カイルと少女の攻防が続く。

 そんな攻防を待ちきれなくなった男達がいきり立つ。


「クソガキっ! さっさと、渡せって言ってんだろ!」

「誰がクソガキですって!?」


 そんな男達の言葉に、ユウナが激怒。

 言われたのはカイルだが。


「うふふ……ぶっ潰してあげる!」

「なんだと……やる気かッ! このチンチクリン!」


 カチリ……。

 ユウナの理性が外れた音を、カイルは確かに聞いた。

 ……こうなったユウナは、もう、止まらない。


「カイル……ってしまいなさい」

「え? まさかの他人任せかよっ」

「さぁ、私の事を侮辱した、そいつらの目玉を抉り出してやりなさい!」

「バイオレンスなことを人にやらせようとすんな。自分でやれ」

「乙女に何をやらせる気よ?」

「お前は、男の子に何をさせる気なんだよ」


 ぐぬぬぬ。

 今度は、ユウナとカイルの間で攻防が起きる。


「兄貴、どうします?」

「もういい、女以外は殺せ」


 遂に、痺れを切らした男達が、剣を構える……。

 狙いはもちろん、


「俺だよね……だって、目的の子が、俺に絡みついて離れないんだもんね」


 一斉に動き出す男達……の前に、


「おい……俺の家族に何か用か?」


 烈火の憤怒を表情に出す、レンジが立ちはだかった。

 その風格は、絶対強者の獅子を思わせる。

 レンジがひと睨みするだけで、男達は軒並み足を止めてしまったほどだ。


「兄貴ィ。なんかアイツ、ヤバそうです」

「アホ、なにビビってやがる。人数はこっちの方が上なんだ。集団で囲って凹々にしちまえっ!」

「はっ! 合点承知っ!」


 それでも、男達が引き下がる事は無く、乱闘へと発展する。

 たくさん、周りに居たはずの、周囲の一般人は、厄介ごとに巻き込まれたくないと散り散りに逃げていき、既に街路はがらんどうだ。


「あわわわわ。どうしましょう? 私のせいで、黒髪の怖い人が死んじゃいますぅ~~って。アレェ? そういえば、なんで、貴方たちは逃げなかったんですかぁ」

「お前が掴んでいるからだろう」


 カイルがピシッとツッコむが、たとえ、少女に捕まれていても、本気で逃げようとするなら、いくらでも逃げることは出来たはずである。

 そもそも、少女にしても、関係ないカイル達を本気で巻き込むつもりなんて、なかったのだ。

 ……それなのに、何故?


「ふん。良い度胸だ」


 少女が困惑を極めるが、状況は進行していく。

 攻勢に出ようとした、男達に先んじてレンジが動いた。

 駿足の一歩で一人に近づき、拳で顎を打ち上げる。


「くはっ……」


 一撃で意識を刈り取った、


「ふざけやがってぇぇッ!」


 仲間を倒された男達が激昂し、レンジへ一斉に襲い掛かる。


「おいおい、今時、魔物だって連携するぞ」


 しかし、レンジは慌てずに、始めに襲い掛かって来た男に足を掛け、転倒させると、その身体で後続を断つ。

 一斉攻撃を防いだ後は、キレのある体術で直実に男達の意識を奪っていく。


「あわわわ。な、なんですか、あの怖い人ぉっ! 滅茶苦茶、強いじゃないですかぁぁっ。しかも素手って」

「五月蠅い。耳元でさわぐんじゃねぇ……というか、分析力たけぇぇな」


 レンジの奮闘を見て、少女が青い瞳をキラキラ輝かせ、身を乗り出して激しく興奮する。

 それでもまだ、カイルの背を盾にするのは止めないらしい。


「ちっ! お前らッ、あの男を押さえている内に、女どもをやっちまえ」

「へいッ!」


 周囲から兄貴と言われる男が、レンジを倒せないと見て、狙いをカイル達に絞る。

 助けに行きたいレンジだが、何分。敵が多く、手が空かない。


 ――だが。

 レンジは一瞬も、焦らせずに、誰に聞かせる訳でもなく呟いた。


「いいのか……あっちは、俺よりも容赦がない猛獣だぞ」


 音も無く。

 カイルの前にユウナが出る。

 レンジとは違い、表情は、薄い。


「ねぇ。知っている? カイルに手を出して良いのは……」


 ――が、次の瞬間。


「私、だけなのよ! 《吹き荒れなさい》!」


 春の嵐の如く、ユウナが激昂。

 右手の平を男達に向けて突き出すと、そこから烈風が螺旋を描いて発生した。


「えっ……上級風攻撃魔法、《トルネード・ノヴァ》? しかも、《改変詠唱》してますぅぅ~~っ」


 そう、この三年で、ユウナが身につけた《魔法》の力。

 烈風が纏めて男達を吹き飛ばし、背後の石壁に衝突させた。


「「「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……がくりっ」」」


 壁に頭を打ち、意識を失う男達に、ユウナが悠然と近い付いていき……


 バシッ!


「ぐひゃんっ!」


 男の股間を全力で踏みつけた。

 ……あれは、いくらなんでも酷い。

 気絶していた男も飛び起きる。


「うふふ……アンタ達。まさか、私に手を出して、五体満足で帰れるとか、甘いこと、思ってないわよね?」

「ご、ごめんなさい。許してくださいぃぃ~~そこは、そこはだめぇぇ」

「うふふ。素直ね。素直な人は大好きよ」

「じゃあ!」

「取り敢えず、アンタらのゴミクズ遺伝子が後世に残らないよう、睾丸を潰すだけで許してあげる」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁぁ――っかくり……」

「くすっ……私って、なんて優しいのかしら♪」


 にこりっ。

 ひまわりの様に美しく笑うユウナだが、間違いなく、薔薇のトゲを秘めている。

 ……むしろ猛毒だ。


「クソっ! なんて、ガキどもだ! なんとしてもっ! あの女だけは捕まえてやる!」


 レンジ、ユウナが離れた隙に、兄貴が青髪の少女、もとい、少女が抱きつく、カイルを狙う。


「あわわわ。来ました。来ましたよ。親分っぽい方が。カイルさん。貴方も強いんでしょう? なんとかしちゃってください。お礼なら、なんでもしますからぁぁぁッ!」

「色々とツッコミどころはあるが、取り敢えず……金髪じゃない女の子に何をされてもうれしくねぇ」

「へ? きんぱつ?」


 仕方なく、カイルも剣を抜いて、対応する。

 ピレオ村をでる前に、ユウナと購入した愛剣、ロングソードだ。

 ……ユウナの分も購入させられて財布は空になったのだが。


「それと……期待させて悪いが、俺は、あの二人ほど、化け物染みて強くはないぞ。むしろ、一番弱い」

「……え?」


 カイルの言葉に、少女が時を止めて思う。

 ……助けを求める人、間違えちゃったかも、と。


「その女をわたせぇぇぇぇッッ!!」


 男が、両刃の剣を抜刀し、一振り。


 がぎぃぃんッッ。


「くぅぅっ!」

「きゃぁぁぁッッ!」


 ロングソードでカイルが受けるが、衝撃をいなせず、少女ごと吹っ飛ばされた。

 ごろごろと石で舗装された地面を転がって、立ち上がる。


「なんて膂力だよ……強烈だな」

「はぁっ! なんだ。普通に弱い奴も、いるじゃねぇぇか!」

「別に弱いと言われるほど弱くもないだろ……お前が強いんだ」


 ユウナたちに及ばないとカイルは言ったが、カイルも成長している。

 いまでは、三年前に倒せなかった、《ラビット》も、単独で討伐出来るほどだ。


「ああっ。そうさ。俺は、かつて、《上級剣士》の称号を持つ、《冒険者》をやっていたからな!」

「《上級剣士》……っ!? カイルさん! ヤバいですよっ! 逃げましょう」

「巻き込んだのはお前だろ。黙って見てろ。そして、俺の名を気安く呼ぶな。疫病神」


 少女が驚き畏れる《上級剣士》とは、剣士の力を示す、地位のこと。

 剣士として認められれば、《初級剣士》。

 剣士として実力があれば、《中級剣士》。

 剣士として頂点に上れば、《上級剣士》。

 つまり、兄貴は剣士としては頂点まで、極めているということだ。


「運が悪かったな。クソ餓鬼。格好付けて、英雄のまねごとをするから、死ぬハメになるんだよっ!」


 上級剣士の剣は、時に鉄を切り裂く、下位の剣士には防げない。

 そんな兄貴の剣が、カイルに迫るっ。


「か、かいるさぁぁぁぁんっ!」


 ――斬っ!


 ……銀色の剣線が描かれた。


「ぐふっ!?」

「あわわわわわわわ……わ?」


 大惨事を予想し、瞳を瞑っていた少女が首をかしげたのは、いつまで経ってもカイルが倒れないから。

 確認のため、恐る恐る、瞳をあけると、兄貴の脇腹に、カイルのロングソードが打ち当てられていた。

 ……峰打ちだ。


「え……どういうことですかぁ? なんで《上級剣士》を倒しちゃってるんですかぁ!?」

「いや、俺も《上級剣士》だし……俺よりは格上とはいえども、油断しまくった同位の剣士に負けるかよ」

「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええ――ッ!」


 そう、カイルも十三歳にして、《上級剣士》の称号を貰っていた。

 因みにだが、ユウナは、カイルより一つ上の、剣士の限界を超えた剣士と言われる《超級剣士》。

 レンジは、ユウナより、更に一つ上、大陸中探しても、数百名といない《王級剣士》である。

 カイル達は、子供の憧れではなく、本気で《冒険者》を目指して修行していた。

 その上で、《魔人》と出会い、《勇者》より強くなるため、三年間さらに修行を重ねた。

 そこらへんの《一般剣士》とは、剣に掛ける覚悟が違う。

 負ける道理はなかった。


「――うふ。あら、カイル。そっちも終わったのね。よく頑張ったわ。って、怪我してるじゃない!」

「まぁ、ちょっと、手こずったからね」

「早く言いなさいよ!」


 ちょうど、男達の子孫繁栄を潰し終えたユウナが戻って来て、カイルの状態を看る。

 初手で強烈な一撃を入れられ、地面を転がった為、擦り傷だらけだ。


「もう……ダメよ? 怪我するくらいだったら、すぐに私を呼びなさいって言ってるでしょ!」


 ユウナはまるで、自分が怪我したかのように、カイルの傷を労り、そのからだを抱きしめた。


「流石に……男としてのプライドが」

「なら、つぶした方がいいわね」

「何を!?」

「その祖ちんを、よ!」

「やめてぇぇぇっ。俺の家系が潰えちゃう……あと、俺、でっかいよ?」

「くす……っ。どうせ潰えるでしょ。使う相手も居ないじゃない。未来永劫……(ぼそっ)目の前にしか」

「居るよ! きっと、未来には、俺の伴侶になってくれる、金髪の女性がいるよ!」

「……」


 ぎゅぅ。


 ユウナが無言で抱きしめる力を強くした。

 そして、


「《癒やし給え》……《ヒール》。カイルはずっと、私の側にいて。そうしたら、ずっと、私が守ってあげるから」

「……うん」


 ユウナの心がこもった優しい詩で、回復魔法、《ヒール》が発動し、カイルの傷を癒やしていく。


「今度は、《一節詠唱》っ! ユウナさんって何者ですかぁぁ!」

「五月蠅いッッ!! アンタ、誰よ!」

「あわわわっ、そうでした。私は、マリン、マリン・マリッジですっ」

「どうでもいいから! 私とカイルの会話に入って来ないでっ!」

「あわわわ……ごめんなさいぃぃっ」


 とは、言いつつ、ユウナはさりげなく、マリンの傷も治している。

 ……優しい女の子だ。


「マリッジ……貴族名じゃないか。なんで貴族の娘が、奴隷狩りなんかに襲われているんだ?」


 数十人近くの男達を無傷で無力化したレンジも戻って来て、会話に混ざる。

 ちょっと、不満げな顔をするユウナだが、レンジには、怒らない。


「えっと、私の家、父が仲間に裏切られ、不当な大量の借金を抱えることになったんです。父は処刑され、名前だけはなんとか残っていますが、殆ど没落しています」

「さらっと重たいことを言うんじゃねぇ」

「ああ、父が死んだのは自業自得なので、特別、気にはしていません」

「いや、気にしてあげようよ……ちょっとはさ」

「ただ……母と二人、これからどう生きていけば良いのか……」

「やっぱり重いじゃねぇぇか……」


 ともかく、そんな話を聞かされた所でカイルに出来る事は、なに一つない。

 ……マリンの幸せを祈るばかりだ。


「そんなどうでも良い話で、カイルを口説こうとしてないで、さっさと離れなさい!」


 ユウナの言葉はトゲが強い……が、それは、不幸自慢で競うことが、どれだけ無意味か知っているからだ。

 そもそも、ユウナやレンジ、カイルは、五歳の時点で、天涯孤独の身になっている。

 身寄りのない子供達を引き取って育てていた教会には、マリンに劣らぬ不幸話がいくらでも転がっていたのだ。

 ……そういう正論を敢えて口にせず、つんとした態度を取るのもユウナの優しさである。


「ともかく、ひとまず、難は退けた。俺達は、《聖剣の選定》を受けに行く予定だから、そろそろ、カイルのことを離してやってくれ」

「あわわわ……《聖剣の選定》」

「カイル。お前も、《親切》はそれぐらいにしておくんだ」

「……ぅ。解ったよ」

「……親切? ……はっ、やっぱり!」


 レンジに言われ、カイルは立ち上がり……マリンの手から抜け出した。

 そこでマリンが気付く、カイルが最初から、マリンの拘束から逃れようと思えば、逃れられたということを。

 それは、つまり、

 ……この人は私を助ける為に?


「あぅ……カイルさん。待っ――」

「――ダメよ? カイルに惚れちゃ。カイルは私のモノ、なんだから♪」


 ユウナがくすりと笑って言い残し、三人が雑踏の奥へと進んでいく……


「待って……待って……くださいよ……」


 その後ろ姿をマリンはただ見送るしかない……と、誰もが思ったが!


 どぉぉぉぉっっっっっんっ!


 マリンは、全力でその背を追い、タレムに背後から突撃したのであった。


「ぐはぁっ!」

「――まってって、言っているんですっ!」


 敵意の無い攻撃ゆえに、カイルは不意を突かれ、痛恨の一撃を受けた。

 マリンにのしかかれる形で、地面に顔面を衝突させる。


「な、なんなんだ。お前はっ! 俺に恨みでもあるのか!」


 カイルの心からの叫びが、路地に反響する。


「わたしっ! わたしっ!」


 そんな声が聞こえないほど、マリンは顔を朱色に染めて、カイルの灰色の瞳をまっすぐ見つめた。


「何を、思い詰めた顔で言おうとしてるのかしら? 勘違いしないで。カイルが、アンタを助けたのは、特別な事でも何でも無い。ただ、面倒見が良いだけなのよ!」


 何故か必死になって止めようとするユウナの言葉も無視して、マリンは、つっかえながらも、その想いを打ち明ける。


「あ、あの……私っ」

「ダメ、ダメって言ってるでしょ!」

「――一緒に行っても良いですか!」


 ……え?


 きょとんとしたユウナの声が漏れる。


「ど、どういう流れよ?」

「え、えっと、私、《聖剣の選定》見た事なくて、でも、ずっと見てみたかったので……という流れです」

「間際らわしいのよ!」

「何がですぅ?」


 ユウナが憤慨するのを、今度はマリンがきょとんと見つめていた。


「――それで、一緒に行ってもいいですか?」


 もう一度、聞かれて、カイルは答える。


「どうでもいいから、俺の上から降りろ! 重いんだよ!」

「わぁっ♪ やった♪ 初めて出来たお友達と、憧れだった《聖剣の選定》を見に行けるなんて」

「……いつ、どのタイミングで、君は俺の友達になったんだよ」

「え? 私たち……友達じゃないんですか?」


 うるっとした瞳。

 この瞳にカイルは弱い。


「……友達だな」

「わぁーい♪ カイルさん、ユウナさんの言うとおり、ちょろいですね☆」

「良い性格してるよな、お前……マジで」


 そんな感じで、カイル達は、マリンと一緒に《聖剣の選定》に向かう事になったのであった。


 聖剣の選定は、学園都市の中央部で行われている。

 カイル達、四人がたどり着くと、それまで以上の人々で賑わっていた。

 ……流石は、《聖剣祭》の本命である。


「うわわ……人がいっぱいいますね」

「えっと……参加者の列は……あ、あっちだ。行こう、マリン」

「へ?」


 最後尾を見つけたカイルが、マリンの手を引いて、列に並んでしまう。

 その列は、長蛇となっていて、前に五千人近くいる。


「か、カイルさん、私は――」

「――カイルっ! 何、勝手に行動しているのよ! 私と手をつながないと、迷子になっちゃうでしょ!」

「あっ、そうだった」


 マリンが何かを言いかけたが、ユウナの声で打ち消された。

 カイルがマリンの手を離し、ユウナと手をつなぐ。

 ……迷子にならない努力をして欲しい。


「ごめん……マリン。なにか、言いかけた?」

「え、えっと……なんでもありません……」


 しっかり気付いていたカイルに、改めて聞かれたとき、マリカはなんとなく、言葉を引っ込めてしまった。


「ふーん。なら、いいんだけど」

「ねぇ。カイル。私を見てっ! 他の女によそ見しちゃダメ」

「あっ、向こうに金髪の人がいる! 結構、俺の理想かも……」

「金髪ぅぅっっ!」

「あっ……いっちゃった」


 どんな時でも、場所でも、ブレのないカイルとユウナがいつも通り、賑々しく、順番をまつが……

 ……二時間まっても、終わりが見えなかった。


「ねぇ……カイル。私、お腹減っちゃったわ」


 そして、ユウナがまた、面倒臭いことを言い始める。

 ……コレに構うと悲惨な目にあうだろう。敢えて無視。


「そういえば、マリン。聞いていなかったけど、何歳?」

「十三歳ですけどぉ~~。それがなんですか~~? あっ、ロリコンさんですかぁ~」

「同い年だよ」


 カイルが年齢を聞いたのは、性癖に合っているかの確認では無く、《聖剣の選定》を受ける資格にたっしているのか、確かめたかっただけだ。

 ……同い年なら、問題はない。

 折角、何時間も並んで、年齢制限で引っ掛かったら流石に可哀想というものだろう。


「――ああーーっもうダメっ。お腹が空きすぎて死んじゃうわ! カイル、何とかしなさいっ!」


 カイルが、和やかな気持ちでマリンと談笑していると、我慢の限界に達したユウナが、暴れ出す。

 ガクン、ガクン、ガクン。

 背後から抱きつかれ、身体を揺すられる。


「ゆ、揺らさないで。酔いそう……。ユウナ、今日は、何時もより乱暴じゃない? 身が持たないから、手加減して」

「それは、カイルがマリンばっかり構って、私を全然みてくれないからでしょ! なんでマリンばっかり構うのよ!」

「マリンは女の子だから。女の子には優しくしろってユウナがいったんじゃん」

「私が! 女の子なのよ!」

「……え、そうだっけ?」

「ぶちコロされたいの?」


 ユウナが、ぴったりと密着しているが、女の子の柔らかい感覚はない。

 ……ユウナと絡んでも、役得にすらならないのだ。


「レンジ。ユウナが暴れ出した。なんとかして」

「そう言われてもな、お弁当はもうないし……悪いが、我慢してくれ。カイル」

「我慢するのは、俺なのか……」

「ユウナに我慢ができると思うか?」


 ……絶対にムリだ。

 最後の砦、レンジに見放され、カイルは諦める。


 ちょんちょん……


 と、その時、隣のマリンが控えめにカイルの服を引っ張って身体を近づけた。

 少し、マリンの胸がカイルに当たるが、こちらはしっかりと膨らみがあり、柔らかい。

 ……これが、女の子である。


「カイルさん。私、お弁当を持っていますよ? もし、よければ、ユウナさんに、食べさせてあげてください」


 言って、マリンがゴソゴソと、腰巻きポーチから弁当箱を取り出してみせる。

 ……と。


「……っ!!」


 カイルが何かを言う前に、ユウナが瞳をギラリと輝かせ、マリンの手から弁当箱をかっ攫った。

 ……まるで腹を空かせた野獣だ。

 そのまま、弁当箱の蓋を開け、ガツガツ、むしゃむしゃと食べ始める。


「こら、ユウナ。早食いは身体に悪いよ。ゆっくり、お食べ」

「……っ」


 ぴたり。

 一心不乱にお弁当を貪っていたユウナが突然、顔を上げ、固まった。


「……」

「えっと……もしかして、お口にあいませんでしたかぁ? ごめんなさい……一生懸命つくったんですけどぉ……」


 ギラついたままの瞳は、マリンに向けられている。

 ビクビクしながら、謙虚に謝りつつ、マリンがカイルの背を盾にするが……それは、仕方がない。


「ユウナ。いくら、マリンの弁当が不味いからって、怒るのはダメだよ?」

「……」


 カイルが先に窘めるが、沸々とユウナの肩が揺れている。

 ……これはヤバいかも。

 と、思ったカイルが、レンジを見るが、レンジはいつも通り、ユウナを穏やかな表情で見守っていた。

 ……こんな時でも、ユウナに見惚れてようだ。

 ここは、カイルが対応するしかない。


「ユウナ。ダメだからね! いくら不味いモノ喰わされても、ソレはダメだ。流石に怒るよ!」

「不味い。不味いって言わないでくださいよぉぉ~~」

「……」


 そんなカイルの説得が通じたのか、ユウナは無言で、お弁当をつつき始める。

 今度は、ゆっくりっと……

 ……なんでも美味しい、美味しいって、馬鹿食いするのがユウナだが、そこまで、まずいのか。


「……」


 終始、無言で、時間を掛けてお弁当を食したユウナが、再びマリンを見る。

 ……決闘だ。

 そう思ったカイルが、マリンの命を守るべく、一歩前に踏み出した。


 ――刹那。


 ユウナが動いた。

 細い腕が、マリンに鋭く振るわれる。

 カイルが防ごうとするが、超級剣士の身体能力を阻むことは出来なかった。

 ……マリン死す。……と、思ったが、


「ひゃぁっ!」


 がしっ!


「美味!」

「……へ?」


 ユウナは、マリンの肩を掴んだだけであった。

 攻撃する意図はないらしい。

 むしろ……


「信じられないくらい、美味しかったわ! 生まれて初めて、食事で生きているって実感しちゃったもの」


 ……マリンのお弁当を絶賛している。


「私、貴女を勘違いしていたようね。貴女って、とっーーっても、良いひとだったのね♪ これからは、仲良くしましょ?」

「は、はい。こちらこそ、よろしくお願いします」


 ……どうやら、餌付けされてしまったようだ。

 だが、プライドが高く、高慢なユウナを一食で堕すとは、マリンも中々侮れないようである。


「マリンになら、カイルを貸してあげてもよくってよ」

「え、えっと……ありがとう、ございます……?」

「俺は、レンタルできる、物じゃねぇよ!」


 二人が固く握手を交わす。

 ここに、ユウナとマリンの友情が生まれた。


「おい。お前ら、何をやっているんだ。もう、順番だぞ」

「「「はっ!」」」


 無意味な三文芝居に気を取られている間に、三人はいつの間にか、列の先頭になっていた。

 声を掛けたレンジは、既に《聖剣の選定》を行う、祭壇に登り、《聖剣》を抜き終わっている。

 ……これで、レンジは《勇者学校》に入学できる。


「ってぇぇぇぇぇぇ! 《聖剣》を抜いちゃってますぅぅぅ~~っ!」


 通常、一万人に一人しか抜くことができない《聖剣》を、抜いているレンジを見て、マリンが瞳を白黒させる。

 ……これが、普通の反応だ。

 周囲の人間も、新たな《勇者候補》の誕生に色めきたっている。


「マリン? 行かない、私が先に行くわよ?」

「え……ユウナさん、まさか……っ」


 動揺が治らないマリンを抜いて、ユウナが登壇し、鞘に入れ直された聖剣を持つ。

 そして……するりと抜く。

 ……これで、ユウナも、《勇者候補》となった訳だ。


「うわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわっっ、まさかの二連続ぅぅぅ!!」


 マリンは大興奮である。


「カイル。マリン。早くしなさい。後ろがつまっているわよ?」

「……ちょっと、まってよ」


 しかし、ユウナもカイルも、冷静そのものであった。

 ここで、マリンは思う。

 ……もしかして、私、凄い人達とお友達になっちゃってました!?


「どうする? 次は、マリンが行く? 俺は、最後でいいよ……こういうときは、いつも最後だし」

「……」


 レンジとユウナの通過に触発され、興奮するマリンにカイルが、道を譲る。

 ……だが、


「あはは……」


 マリンは顔から覇気を消し、力なく笑った。


「私はここまでです。見に来たかっただけですから……」

「……」


 シャボン玉が割れる時のように消えてしまいそうな儚い笑顔。

 美しく澄んだ青色の瞳に影が差す。


「マリン……君は……」

「なんとなく……カイルさん達が、《選定》される人たちだってことが解りました……でも、私は、違います」


 カイルが差し出した手を前に、マリンは悲しそうに首を振る。


「私は……カイルさん達、みたいに、キラキラした運命に、生まれていませんから」

「……運命」


 そんなマリンの顔を見て、カイルは思い出す。

 黒龍に襲われ、天涯孤独となった後、レンジと出会うまで、カイルがしていた瞳だから。

 ……運命に絶望した人間の顔。


「今、解った。なんで俺、マリンが気になっていたのか……あの、ユウナが、君と簡単に仲良くなったのか」


 何処かで気付いていたいたのだろう。

 同じ苦しみを持つ同士だと。


「行こう。マリン」


 カイルは有無を言わせず、マリンの身体を抱きかかえた。

 ……お姫様だっこだ。


「か、カイルさん!?」


 そのまま、祭壇に登り、マリンを聖剣の前に下ろした。


「マリン。君は俺をキラキラ輝いているっていったけど……昔は俺も、自分は何も出来ない運命の下に生まれたんだって、思っていた時期があるんだよ」

「……え?」

「でも、レンジが教えてくれたんだ。運命なんて、案外、コロコロと変わるんだってね」


 遠い過去に想いを馳せながら、カイルはマリンに見せ付けるように聖剣を抜いた。

 そして、


「マリン。運命を変えたいなら、先ずは、自分が変わるべきなんだ」

「カイルさん。貴方は……」


 カイルは首を振り、聖剣を戻して、マリンから離れる。

 ……ここから先は、マリンが一人で決断し、行動する事に意味がある。


 ドクンっ。


 カイルの言葉に重みがあったからなのか、憧れの聖剣を目の前にしているからなのか、マリンの心臓が熱く、鼓動した。

 無意識に一歩、前に出て、聖剣に近づく。


「カイルさん……私、何もできない人間です。いつも人に騙されます。……そんな、私でも、本当に、変われますかね?」

「変われない人間なんているかよ……人はみんな少しずつ変わっていくんだ。ソレを劇的にするか、ゆっくりかを、自分で選ぶだけだ」

「……」

「どうしたいかは、君が決めるんだ」


 聖剣の前で、マリンは長く深呼吸をし、カイルに首を縦に振った。

 その顔には、もう、戸惑いはない。

 聖剣を抜けるか抜けないかは、関係ない。

 きっと、マリンが表情を変えたこの瞬間、運命が変わったであろう。

 ……だから、

 聖剣に手を伸ばすマリンに、一つだけ、言っておく。


「まぁ……運命が変わるのと、聖剣が抜けるのは、全く関係ないんだけどね☆」

「……え?」


 すぽんっ。

 カイルの言葉に時を止めるマリンは、反射的に聖剣を引き抜いた。


「って、ぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ――ッッ!!」

「いや、うるせぇぇよ。驚き過ぎだろう」

「うわわわ、抜けちゃいました。抜けちゃいましたよ! カイルさん!」


 教会の子供達のように、無邪気にはしゃぐ。

 そんなマリンを、カイルは微笑ましく感じた。


「……ふっ。ま、良かったじゃん。これで、運命なんて案外簡単に変わるって解っただろ?」

「……っ!」


 その時。カイルの表情を見て。


 とくんっ。


 マリンの心臓が、少しときめいた。

 それから、周囲を見渡すと、まるで世界が変わったかのように、輝いて見える。


(カイルさん……。私、目標が出来ました。いつか、貴方みたいな本物の『英雄』になりたいです)



 聖剣の選定を通った後、そのまま、《勇者学校》へ向かった。

 基本的に勇者学校は、全寮制で、学校内で暮らすことになるからだ。

 因みに、一度、実家に戻ると言い出したマリンとは、既に別れている。


「そっか……、ここから先は、三人一緒って訳にもいかないよな」


 勇者学校に到着すると、その場で寮が決められ、カイル、レンジ、ユウナの三人は別々の寮に配属されることになった。

 ……そこで、初めて思い出す、三人がいつも一緒に居たのだということを。

 目覚めから、お休みまで、片時も離れず暮らしてきた家族、否、もやは、身体の一部、片割れだ。


「ねぇ。レンジ、ユウナ……やっぱりさ、入学するの辞めて、村に戻らない?」

「「……」」


 この段階に来て、カイルが口にしたのは後戻りの言葉であった。

 だが、それは、決して間違いでは無い。

 まだ、何も始まっていない、今、この瞬間が、カイル達が後戻り出来る、最後の機会なのだから。


「なんか俺、嫌な予感がするんだよね……。ここから先に進んじゃったら、もう二度と……俺達の道が交じわることはないような……そんな気が」


 ……それは、直感であった。

 だが、その直感は、正確には、三年前、《魔人》に襲われた瞬間から、感じていたものである。


「カイル……。お前が本当に、戻りたいっていうなら、俺はそれでもいい」

「私もよ」


 ――でも、もう、そんな道は残されていなかったのかもしれない。


「――だが、それで、良いのか? カイル……思い出せ」


 ……後戻りする選択など、三年も前に消えているのだから。


「あの夜。俺達は誓っただろ? 俺は、もう二度と、負けないために」

「私は、自分の意思を貫くために」


 それが、魔人に襲われた後、心に定めた、レンジとユウナの誓い。

 そして、カイルの誓いは、


「この手で、大切な人を守るために……」

「なら、もう、答えは出たな?」

「……うん」


 三年前のあの日、カイル達は気付いてしまった。

 ……このままでは、ダメだと。

 だからこそ、もう、止まれないのだ。


「ふっ……安心しろ。これが今生の別れって訳じゃないんだ。卒業したら、嫌と言うほど、冒険に連れて行ってやるさ」

「なら、最初に言っておく、俺は、『冒険者』なんて、嫌だ」

「嘘だろ? つれない弟だな」


 ぐぎゅ~~っ。

 別れを前に、ユウナがカイルの頭を胸に抱く。

 ……カチカチだ。


「もう……カイルはいつまで経っても、泣き虫ね」

「泣いてはいねぇよ」

「そんなに、私が恋しいっていうなら、仕方ないから、定期的に会いに行ってあげるわ」


 ――別に恋しくはない。

 という言葉は飲み込んだ。

 ……どちらかと言えば、恋しい気持ちもあるからだ。


「最後に一つだけ、約束しよう。 カイル。ユウナ。俺達は三人でここに来た。なら、ここを出るときも三人一緒だ」

「くすっ♪ つまり、誰かが成績不振で退学になったら、全員で帰る事になるってことよ。解っている、カイル?」

「うん……ユウナが、退学になったら、俺も一緒に退学になるよ」

「私のことじゃないわよ!?」


 カタ……っ。

 決まっていた結論が出た所で、三人はそれぞれ、違う方向を向いた。


「……」


 そして、示し合わせたかのように、一斉に歩きだす。

 この瞬間、三人は、初めて、三人以外の世界へ足を踏み入れたのであった。


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