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#1迷子

 私は猫沢ねこさわ)美由紀(みゆき)。今年、東京の高校に入学するために4月1日に引っ越してきた。

「今日から一人暮らしだ!これからはお母さんにバレずにゲームできるぞ」

 私が東京に引っ越してきた理由。それはVRゲームをするためだ。

 私が住んでいた村ではwifi環境が最悪でとてもオンライン型VRゲームができる環境じゃなかった。

 私はVRゲームの存在を知った時から、やりたいと思った。

 そのためだけに勉強を頑張って中学3年生の時は定期テスト全教科1位、そして東京の私立高校を首席で合格した。

 東京でアパートを借りて、今家具を入れていたところだったがもうすぐ終わる。

 1人だと大変だったな…私は疲労を感じながらも私はケージから偉大なる相棒を解放した。

「出でよ!ミケ、片付け終わったからくつろいでいいぞ」

 ミケはケージからあくびをしながら出てきた。

 やっぱ猫は可愛い。

 ミケは私が勉強をやっていた時に支えてくれた相棒なのだ。

 ミケは黒色のオスの三毛猫でとっても可愛いのだ!

「ミケ、お腹すいたでしょ。煮干し食べる〜」

 私は煮干しを片手にミケに抱きつく。

 ミケは私の抱きついた腕から抜け出して煮干しに食いつく。

 可愛い…癒される。

 特に手を舐められるのがたまらん。

 これで明日の朝は頑張れるぞ。

 明日の朝はVRのゲーム機と最新ゲーム『世界の地平線』が発売されるのだ。正式名称は『worlds horizon』というゲームだ。

 このゲームは今までにないシステムを採用しているらしい。

 今世紀最大のゲームと呼んでもいいほどゲーマーたちやオタクからは共通用語となっている。

 普通の人でも知らない人はほとんどいないらしい。

 ミケに癒されたからリュクを背負って行くか。

今は発売日前日の午後6時だ。

お一人様2点までだから2点買おう。

そのために私は紙袋を2つ持った。

何で2つ買うかというと、もう1つミケの分を買いたいからだ。

ミケにだって与えてあげないと私だけ楽しんでたらダメだと思うし……それにVRゲーム機を二つ買うと3割引きというイベントをやっている。

それだったら買ってきた方がお得な気がする。

 それに私の暮らしでは猫と人間は対等!

または猫の方が立場が上なのだ。

とりあえずカバンの中に菓子パンとおにぎりを入れて私は家を出る。

「ミケ行って来るよ」

「ニャ 〜」

 ミケが鳴き声とともに縦に尻尾をパタパタして私を見送った。

 ミケよ、しばしの別れよ〜


 私は最寄りの御茶ノ水駅に向かった。

今は午後6時半。

この時間は帰宅ラッシュで人がたくさんいたが私は人の間を抜けて秋葉原に行く電車に乗るつもりだった。

 駅のホームの椅子に1人の子供が泣きながら座っていた。

子供はフードを被っていて茶色い長い髪が見えた。

 女の子かな…その女の子が自然と迷子だと思った。

 私はそっと女の子の横に座って話しかけた。

「君、なんで泣いているの。もしかして迷子?」

「迷子じゃない」

 私は顔を覗き込んだ。女の子…じゃない男の子だ。私が女の子だと思っていた子は男の子だった。

「お母さんかお父さんは、どこかに行ったの?」

「雪姉さんがどこかに行っちゃったの…」

 うん、迷子だ。

「じゃあ私が雪姉さんが戻ってくるまで待っててあげるよ」

 男の子は何も言わなかった。

私はカバンから菓子パンを出して、男の子と一緒にホームで待っていた。

あれからどれくらい経ったのだろう。

私は時計を見る。

11時54分、この男の子のお姉さんはどこに行ってしまったのだろう。

男の子は私に寄っかかって寝てしまった。

私は黒い髪をまとめていたゴムを取った。

私の髪の毛が風でなびく。

今日は寒いな…VRゲームは諦めて、今はこの男の子のお姉さんを待っていよう。

私は男の子に鞄から出したパーカーをかけてあげた。

私も途中から寝ていたようだ。

私の肩を揺さる感覚。

駅員さんかな……しかしそこには私の予期せぬ存在がいた。

私の目の前に来たのはメイドさんだった。

「すみません。志太(ここた)様を見ていただいて、ありがとうございます」

「いえ、私はただ隣に座って見ていただけですので気にしないでください」

「そんなわけにはいきません。お礼をしたいので家に来て貰っていいですか?」

 私はそのままメイドさんは志太くんをおんぶして、私を車に連れて行く。

車に乗るとメイドさんが……

「ご主人から志太が雪姉さんと出かけて迷子になったと聞いて、使用人全員で探していたんです」

「使用人がいるんですか?」

「はい。雪様が志太様と明日発売のVRゲームを買いに行かれて、その途中で迷子になられたんです。ご主人様はお二人の分は取ってあるとおっしゃっていたのに」

 明日発売のゲーム…もしかしてワールドホリゾン。

取ってあるってどういう事なの……

「もしかしてそのゲーム、ワールドホリゾンではありませんか?」

「そうですけど。どうかしたんですか?」

「取ってあるってどういう事ですか?」

「雪様と志太様のお父様はゲーム会社の最高責任者の白宮(しろみや)幸雄(ゆきお)様です。なのでゲームを取ってあるのです。しかし雪様と志太様は実際に買いに行ってやりたいと…」

 ………っていう事はゲーム会社の最高責任者の息子だったんだ。

メイドさんが続けて言う。

「あなたはなんであそこにいたんですか?」

「私はそのワールドホリゾンを買うために秋葉原に行くところを志太くんを見つけて、誰か知り合いと逸れてしまったのだと思って、私は隣にいたんです」

「そうだったんですか…それはすみません」

 メイドさんは私に謝った。

「あの、なんで謝っているのですか?」

「買いに行くのにそれをなんか邪魔する感じになってしまって」

「別にいいですよ。私は気にしてませんから。それよりも迷子になっている子を見捨てるなんてできませんよ」

 その声を聞いてメイドさんは無言になった。

私は車に揺られ、志太くんの家に連れて行かれた。志太くんのお志太くんのお父さんと志太くんのお母さんに泣きながらお礼を言われた。

「志太を助けていただきありがとうございました」

「そ、そんな頭を下げないでください。そんな人として当然の事をしたまでですから」

「何て優しい人…」

 お母さんが涙をハンカチで拭きながら言う。お父さんは使用人に向かって…

「例の物をこの子に渡してください」

「はい、わかりました」

 歳をとった執事さんが私の前に2つの箱を持って来る。箱のパッケージはVRゲーム機とワールドホリゾンがセットになったものだった。

「これをどうぞ」

 私は執事さんからVRゲーム機とワールドホリゾンのカセットを渡された。これって今日の朝、発売されるワールドホリゾンのカセット…それとVRゲーム機。外見を見る限りこれはそれぞれ2つ入っていた。

 え、何で2つ?私がそれを考えているとお父さんが言った。

「うちの使用人からワールドホリゾンを買いにあの駅にいたという事は聞いている。だから持って行ってください」

「あの…何で2つ買いに行ったとわかったんですか?」

「同じ紙袋を2つ持っていたから、もしかしたら2つ買いに来たんじゃないかと使用人から通達があったので2つ準備しました。もしかして違いましたか?」

 メイドさんすごい。エスパー…エスパーなのかな。すごい洞察力だ。

「合ってます。2つ買いに行こうと紙袋を2つ準備しました」

 けど何でVRゲーム機まで持っていない事がわかったんだろう。

私の身の回りであった七不思議の1つとなった。

 その後、今度改めて家に招きたいと言われて電話番号を聞かれた。

私は特に気にしないで電話番号などを伝えておいた。

そして私は色々あったけど私は晴れて、ワールドホリゾンのプレイヤーとなった。

読んでいただきありがとうございます。

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