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#14ミヨーンの顔が凄い伸びた!

「お腹空いた」

 ミケが起きた…お腹が空いたから目が覚めたのかな

 公園には灯りがあるが灯りがないところはとても暗い。時間は…夜の8時だった…私は転移の設定がし終わったところだ。あのあと聞いたけど転移するには触媒が必要らしい。触媒は様々なものがあって血や灰などがある。それぞれ儀式に用いる触媒は違うらしい。だから儀式をする前にあらかじめ素材を準備して置かないといけない。途中で不足していると儀式失敗になってしまうらしい…

「ペルちゃん…お腹空いた」

「僕もお腹が空きました。そろそろ食事にしませんか?」

「それなら向こうの方からお魚の良い匂いがする!」

 ミケがベンチから飛び降りて走っていく。

「ミケ待ってよ!」

 私はミケを追いかける。ココくんが後ろから

「二人ともおいてかないでくださいよ!」

 私とココくんはミケを走ってついて行った。


 公園を出るとミヨーン大通りを走って行った。ここの名前がなんでミヨーン大通りなのかは不思議だった…ミヨーン通りの人気のない路地裏に入って迷路のような路地裏を抜けると、路地裏の中に…

「路地裏の中に…野原が…」

 狭い路地裏を抜けると野原があった…なんでこんな所に野原が…しかも意外に広い。その中にはあの屋台があった。

「あそこからお魚の良い匂いがするよ!」

 ミケが尻尾を垂直に立てている。

「ペルさん…あの屋台がミヨーン焼きの屋台ですか?」

 外見はこの前と同じ…多分同じかな…

「多分そうだと思う…」

 私とココくんはミケの後を歩きながら

「とりあえずあそこで食べようか…」

「はい!」

 ココくんは笑顔で返事をした。


「らっしゃい。こんな所までお客が来るなんて珍しい」

 店主のおじさんは驚きながら、手元でミヨーンの串刺しを作っていた。

「ミヨーン焼きをお願いしていいですか?」

「何本だい。今日でこの屋台は最後だからサービスさせてもらうよ」

 この屋台が最後…それは…

「それはどういうことですか?」

 ココくんがおじさんに聞く。おじさんは小さく息を吐いていう。

「わかった…サービスだ。ミヨーンの丸焼きでも食べながら聞いてくれ」

 私たちは椅子に座ってミヨーン焼きを食べながら話を聞いた。

「俺には妻がいたんだ。妻は雷の魔法が使えて、俺が前衛で剣を振って、嫁さんが後衛で戦っていた。とある日、ミヨーンを釣りに行ったんだ舟を一隻買って海に釣りに行ったんだ。俺の妻はミヨーンが大好きだったから」

 おじさんは生きたミヨーンの入った水槽を上に出した。ミヨーンは生きていると口からゆだれが出ている…

「ミヨーンのどこが好きだったんですか?」

 ココくんが聞く。おじさんは水槽に手を入れて、ミヨーンのほっぺを引っ張りながら

「こいつはほっぺが凄い伸びるから好きだったそうだ。そこが女性や子供に人気の一つなんだよ」

 やばい…すごい伸びる…ブスカワイイ。話は戻って

「ミヨーンは結構釣れたんだが帰りに…」

 おじさんは急に黙る。何かあったのかな?

「帰りに妻が魚人族に連れていかれたんだ」

「魚人族…ですか?」

 ココくんが恐る恐る聞いた。

「魚人族は海の中に住んでいる。帰りに急に襲われたんだ。俺と妻は抵抗したが…俺は守れなかった。俺は魚人族から毒を食らい、妻は連れてかれた。俺はもうそろそろ毒で死んでしまう…けれど妻と釣ったミヨーンは量が多すぎて一人では食えなかった。だから屋台を開いたんだ」

「ミヨーンを売ることもできたと思うのですがなぜ屋台を?」

「売って金にしても、もう時期俺は死ぬ。だから妻との夢だったミヨーンの屋台を開いたんだよ」

 おじさんは涙を流しながら語ってくれた。相変わらずミケはミヨーンを食べていた。

「ぼ、僕たちに何かできることはありませんか?」

 ココくんがそっと聞く。おじさんは…

「妻を…最後に見たい…死ぬ前に妻を見たい」

 しばらく沈黙が続く…

「ごちそうさまでした!」

 ミケの元気な声が沈黙を掻き消す。私はそこでやっと言い出せた。

「わかりました。私たちが魚人族から救います」

 話を聞いて私は、何とかしたいと思った。この人が死ぬ前に妻に会わせたい。

「本当か…本当に妻を救ってくれるのか?」

「はい。救い出します…私たちがおじさんの妻を救います!」

「おじさんのミヨーンの丸焼きもっと食べたいからおじさんも助ける!」

 ミケが隣で元気よく言う。

「ぼ、僕もせ、精一杯頑張ります!」

 ココくんも大きな声で言う。

「お前ら…ありがとな。最後のお客が君たちで良かった」

 おじさんは泣きながら言った。


 屋台で食事をした後。静かになったミヨーン大通りを通っていた。ミケは食べ過ぎて眠たくなって、私の腕の中で寝ている。

 私はココくんに聞く。

「ココくん…まだ大丈夫?」

「はい。ペルさんに電話する前にお父さんがお母さんに説得してくれました」

「わかった…なんか巻き込んじゃってごめんね」

「いえ、大丈夫です。僕も言いたかった事なので…」

「ありがとね」

「い、いえ…僕はそんな何もしてませんよ」

 ココくんの顔が少し赤くなっていた。

「こ、これが終わったら話したいことがあるのですが良いですか?」

「うん。良いよ…」

「お願いします」

 話しながら私たちは大通りを歩いて、海に向かった。

次回予告

次は魚人族の本拠地に侵入!するはずだったが…中に入れなかった…

ミヨーンが泳ぐ海をどう攻略するかが見どころ…いや、読みどころ!

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