#153僕の作戦
接近されないように戦う………
考えることは出来ても実際の行動に移せる自身はない。
「いざ、尋常に勝負!」
相手の黒騎士はそう一言言うと走り始める。
接近されないように中距離をキープし続ける!
そして相手のユニークスキルがわかったらその対処方法を考える。
「我が手に稲妻を、我が手に一線の雷光を!」
僕は真っ向から向かってくる黒騎士に真っ向から雷魔術を放つが……
「あまい!」
黒騎士は雷のビームを横に交わす。
やっぱり読んできていたか。
まぁ、口調からして相当な手練れだと予想していたから回避してくるのは予想できていた。
「我が心は炎、炎は火球となりてやがてすべてを飲み込む焔の星となれ!」
広範囲の火炎魔術。
ただこの魔術は相手に当たると相手を包み込むようにして爆発する。
そのため視界が少し悪くなるため敵の捕捉ができなくなるが、それは敵も同じ。
こっちが何をしているのか分からなければ攻撃が仕掛けやすくなる。
僕は直径50メートルにの火球を正面に勢いよく放つ。
この魔術も回避してくるだろう。
だからここで距離を保とうとしているように思わせる。
これが重要だ。
相手は多重人格だという話をきっと半信半疑で聞いているだろう。
そして僕が魔剣士だと言って魔術を使っていること。
ここは信じている。
このことを信じるということは多重人格という可能性があると考え始める。
相手は魔剣士だ。
さっき戦った黒いのは剣士だった。
つまりさっきの剣士以上の剣技を使用してくることはないと考えているだろう。
「氷柱よ、生えよ!」
今度は氷魔術。
黒騎士がいるであろう位置に向かって地面から氷柱をたくさん生やす。
何かを弾いている音。
おそらく剣で生えてきた氷を防いでいる音だ。
「剣技エアースラッシュ!」
僕は斬撃を数発放つ。
今だ!
「セット」
この隙に足元に設置系魔術をセットする。
重力魔術、グラビティフィールド。
本来は指定したフィールド内に指定した重力加速度を加算して相手の行動を制限する。
これはその応用。
重力魔術と罠作成スキルを使って作った罠で対象が罠を設置した地面を踏んだ瞬間、発動するように設定しておいた魔術が発動する。
重力魔術自体、使用する魔力量が大きいから範囲は極力最小限。
そして余った魔力で重力加速度をさらに強くする。
これであいつはここを踏めば行動不能になる。
けどこれにかからなかった場合、僕は確実に敗北する。
さっきの乱発した魔術で僕の残りの魔力量はほぼゼロだ。
あとは剣技に頼るしかなくなってしまう。
だから僕がここで限界まで斬撃を飛ばしていれば接近してくる。
その時に一歩、後ろに引けば相手は一撃を入れようと踏み込んでくる。
そこを狙えば……いける!
「貴様の実力はその程度か!」
ズバーン……
すごい風圧だ。
剣を一振りしただけで炎を消し、氷柱を全て粉々にしてしまった。
「次はこちらから行かせてもらおうか!」
来た!
「貴様との格の違いを教えてやろう。エアースラッシュ!」
黒騎士は走りながらエアースラッシュを放つ。
振っただけで風が吹き荒れる……
この力の差は天と地の差みたいだ。
けどこの時点ではまだユニークスキル還元を使用しない方が良いかもしれない。
ここで切り札を出すと警戒されてしまうだろう。
だからここは……
「白金流剣技、斬撃斬り!」
斬撃斬り……
それは相手の斬撃の中心に向かって斬撃を放って斬撃の中心の威力を弱める。
斬撃の中心の威力が弱まったことによって斬撃の両端が内側に向かって行き、自然と斬撃が消滅するという技。
「なに、我のエアースラッシュを打ち消すだと!」
きっと黒騎士は加速し、僕に急接近してくるだろう。
その時が僕の勝ちだ!
作者より
最近投稿されなかったりした日があってすみませんでした。
ちょっと私情で遠くに出かけなくてはいけなかったので投稿できませんでした。
これからはしっかり執筆していこうと思います!
それでここからは少し宣伝なのですが、12月後半に猫愛好家がVRMMOに猫を連れてきました!のまとめ読みきり版を投稿しようと思っています。
まとめ読み切り版は一区切りついたら執筆って感じです。
なので楽しみに待っていただけると嬉しいです。
あと冬と言ったら冬のイベントがありますよね!
去年は参加し損ねてしまったので今回は改稿して参加しようと思います。
ほんわかとした平和な物語なのでグロが嫌いな人やケモっ娘が大好きな人はぜひ読んでみてください!という宣伝です。
長々と綴りましたが、これからも一生懸命執筆させていただきます!