＃152立ち回りかた
「我にダメージを与えるとは……貴様何者だ？」
この感覚、相手はかなりの物理耐性を持っている。
上位魔神族なのか？
「「「「え？」」」」
「シロお兄ちゃん！」
あ、クロの言ってた通りだ。
ミカンがいる。
他に雪さんやココくん、リックンとポットもいる。
ということはペルさん以外はこの場にいるようだ。
「ミカン、あれはクロさんじゃないんですか？」
「見た目はクロお兄ちゃん、だけど中身はシロお兄ちゃんだよ！」
ミカンが笑顔になった。
「ど、どこで2人を見分けているんですか？」
「えっと……雰囲気！雰囲気が柔らかいのがシロお兄ちゃんで、ピリピリしてるのがクロお兄ちゃんだよ」
それじゃあココくんは納得しないかな……
「雪姉さん！クロさんは今、シロさんなんですか？」
「うん、あれはクロだけどシロだよ」
「雪姉さんはどこで2人を見分けているんですか？」
「雰囲気かな！」
「雰囲気でわかるものなのかな………」
「雰囲気以外だと魔力の違いとか？」
「魔力の違いですか？」
「魔力は人それぞれ性質が違うんだよ。クロとシロの魔力の性質は根本的に違うからわかりやすいよ！」
「雪姉さん、魔力の性質ってどうやって感じ取るんですか？」
「第六感！」
「第六感……」
「そんなことより……さぁ、シロちゃんよ！思う存分かっこつけて暴れちゃいなさい！」
雪さん、かっこつけて暴れはしないかな………
「我の問いに答えよ！貴様は何者だ！」
「僕はシロ。ただの魔剣士だよ」
「魔剣士……魔剣士か………舐めた真似を！さっきまで我に剣技だけで挑んでいたが、それは手加減をしていたと言うか！」
黒騎士は剣を振り回しながら怒りの声をあげている。
「違う」
「何が違う！」
「僕とクロは同じ身体を共有している。身体の使用権限が入れ替わっただけのことだよ」
「多重人格というやつか。だが貴様のそのボロボロな肉体で我に勝てるとでも思っているのか！」
確かに僕のHPは5割を少しきって……
あれ、なんでこんなにHPあるんだ。
「確かに外傷は沢山あるけど、僕のHPはまだ半分以上ある！貴方と十分戦えます！」
「な、なんだと！」
僕も疑問なんだけど、こんなにHPが残っているならクロだけでなんとかなりそうな気がする。
いや、まてよ。
僕とクロが分裂した時、HPや魔力量などが二分の一になる。
僕が元の体に戻ったことによって二分の一になったHPが加算されたということなのか。
「今までの私との戦闘の末にまだ体力が半分以上も残っていると言うのか！貴様の体力は底なしの化け物か！」
底なしの化け物じゃない。
きっとクロが防御を最優先で戦った結果だろう。
「底なしの化け物じゃないよ。それを言ったら僕たちから見たら貴方だって十分化け物だよ」
「それは人間目線の話だろう」
実際、クロが一対一で圧倒する程強い相手なんてただの化け物だよ。
僕の剣技だけじゃ勝ち目はないかな。
「貴様が誰であろうと我のすることは変わらない。ただ貴様らを1人ずつ殺していくのみだ」
「そんなことはさせない！僕が生きている限り、他のみんなに手出しはさせない！」
おそらく相手は黒騎士。
騎士道精神で戦ってくると思う。
騎士道精神であれば単騎同士の戦闘であれば周囲を巻き込むようなことはしないだろう。
つまりこの勝負で僕が1番気をつけないといけないのはみんなを巻き込まないように戦うことだ。
そして相手のユニークスキル。
クロが苦戦していたユニークスキル。
予想できるのは接近戦で強大な力を発生させるスキルと相手を接近させないようなスキル。
接近戦で僕に勝機はあまりないだろう。
けど相手に接近されないような立ち回りをすれば相手のHPを削っていくことができるはず！
次回予告
次回ついにシロとアロイトが戦うよ！
お楽しみに！
