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#147魂と脳

「みんなは今のあの身体を操っているのがクロちゃんということはわかってる?」

「「はい」」

「現実とさほど変わらないけどこの世界においての魂と脳について説明します!」

「「「「魂と脳について?」」」」

「それって今関係ありますか?」

「大ありだよ。魂と脳がないと肉体は動かないよ」

 脳がないのに動いたらスケルトンと同じじゃん。

「このワールドホリゾンの世界において魂とはその人間を構成するための1番大切な存在。スマホやパソコンでいうところのメモリーカードにあたる存在だよ」

「メモリーカードですか?」

「うん、そして脳がスマホやパソコンでいうところの演算装置だよ」

「つまり私たちはみんな機械だったってこと!」

 そ、そんなことはないはず……

「ミカン、これは例えばの話です」

 ポットがおどおどするミカンを止める。

「あ、なんだ。例えばか〜びっくりした。私が操られちゃったりするかと思ったよ」

 ミカンは微笑みながら言う。

 ゲームで人間の身体や記憶が操られちゃうことなんてありえないよね。

「この世界内だと記憶改竄や肉体支配は可能だよ」

 雪姉さんが笑顔で言う。

 あれ、そんなこと出来ないはず……

「え、じゃあ私の記憶の中でココくんとリックンの情報を入れ替えたらリックンに恋しちゃうの!」

「うん!」

 雪姉さんは笑顔で答える。

 その反応に。

「そうなのか!よっしゃ!」

 リックンはすごい喜んでいる。

「そんな………」

 ミカンはその場に崩れる。

「そんなにがっかりするって……」

「私はココくんしか愛さないから。他の男の子に興味はありません……」

「僕にはモテ要素がなかったんだ……ああ、僕の青春ラブコメはやって来ないのか……」

 リックンもその場に崩れる。

 ミカンの愛するどうこうとリックンの青春ラブコメどうこうはどうでも良いとして、そんなこと出来るはずがない。

「雪姉さん、それ冗談ですよね。ゲームで人間の記憶を操作できるなんて……」

「いや、本当だよ。実際には記憶の改竄ではないけど、それに近いことが精確にできるよ。だってこのゲームの宣伝、『現実リアルよりも自由な現実(リアル)な世界に!』だよ。現実リアルと同じことが出来ないとこの決まり文句は言えないよ」

「つまり……」

「つまりそこらの女子高生の記憶を改竄して恋人にすることも可能だと!」

「そう、つまりリックンのお望み通りのハーレムを作ることも可能!巫女服、ナース服、メイド服、お姉さんキャラ設定でなんでもオッケーだよ!」

「勝った!これでもうこの世界で勝ち組になれる気がしてきた!へい、師匠!」

「なんだい?お弟子さん」

「俺、明日からちょっと記憶改竄系スキルを取得して極めてきます!」

 リックンは満面の笑みを浮かべて言う。

 リックンのこの危ない笑みを僕は初めて見た。

 あれ、もう五年も一緒にいるのにリックンも雪姉さんの変態に毒されている被害者だと気づいてあげられなかった。

 雪姉さん、なんて危険な淫夢なんだ。

「よし、行って来るがいい!ただし極めたらココくんの記憶を改竄して私のことを愛するココくんに変えることが条件だ!」

「了解だ、師匠!ココ、明日から俺疾走する!探すなよ」

「ちょっと待って!なんでそんな会話になってるんですか!」

「「………………」」

 そろそろ止めなければリックンが本当に隠蔽師にでも転職してしまいそうだ。

 いや、友人が性犯罪者になられたら僕も困る。

「とりあえず雪姉さん、話を戻してください!」

「了解!けどなんの話したっけ?」

「人間の魂と脳の関係性です。魂がメモリーカードで、脳が演算装置ってどういうことなんですか?」

「普通のパソコンと同じだよ。演算装置が入っててもデータが入ってなかったら動作しないように、脳が生きてても魂が入ってなかったら動作しないってこと」

 つまり二つが揃っていないと正常に機能しないってことなのかな……

「魂はその人間を構成するための1番大切なもの、主に記憶そのものと言ってもいいかな。記憶によってその人間の人格が形成され、記憶によってその人間の性格が形成され、記憶によってその人間の経験則や予測能力が作られる、と言ったその一人の『人間』という存在を形成するための素体だよ。そしてその中にはスキルも含まれているの」

「スキルものですか?」

「うん、スキルも魂から情報を脳に送信して発動しているんだよ」

 つまり記憶は『僕』という一人の人間を構成する上で1番大切なもの。

 けどそれが何と関係があるんだろう。

「それと脳にどのような関係があるんですか?」

「脳は身体を動かす時、魂というメモリーカードから情報を引き出し、その情報を脳という演算機能を用いて演算結果を出力したり脳のメモリーカードに記録したり記録を改変したりするんだよ」

「つまりどういうことなんですか?クロさんとシロさんにどんな関係があるんですか?」

「パソコンが二人の身体だとするのなら、クロちゃんとシロちゃんはUSBメモリーなんだよ!」

「………つまり?」

「つまり二人は人格を瞬時に入れ替えることが可能となったのです!」

 雪姉さんの説明じゃわからない。

「だから二人の意志で脳を介して人格を瞬時に入れ替えることができるのです!さらに二人の精神が極限状態に至ると両方の人格が表に出るのです!」

「雪お姉さん、それは出来な………」

「おお、なんかかっけー!」

 つまり今は一人が操作しているけど、二人で操作できるようになるってこと?

「多重人格ってそんなに便利なんですか?」

 雪姉さんは首を横に振る。

「多重人格はストレスによって生じるやまい。そんな便利なものじゃないよ」

「じゃあなんで二人はそんなことが出来るんですか?」

「それは二人が仲良くするためだよ!まぁ、二人が死ぬ間際になったら真の力が発揮されるでしょう!」

 ズドーン………

 すごい轟音がダンジョンに響く。

 僕たちは音のした方を見た。

 クロさんがダンジョンの壁にめり込んでいた。

「これで貴様との楽しい戦いも終わりだ!」

「雪姉さん、アレもう死ぬ寸前じゃありませんか?」

「いや、まだクロは本気を出していない!ファイト、クロ!諦めたらそこで死ぬよ!」

「死ぬよ!じゃなくて助けないと!」

「クロ、諦めたらそこで試合終了だよ!」

 いや、もう血を吐いて死にかけてるじゃん!

次回予告

次回ミケちゃんと敵の総大将とぶつかり合う!

そしてそこにペルちゃんも参戦する!はず………

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