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#141雪姉さん、無事……だよね………

 え、雪姉さんが消えた?

「どういうこと?」

「ココとペルさんと離れ離れになった後、一人でダンジョンを徘徊してたんだよ」

「うん」

「そしたら泣いてる雪お姉さんを見つけたんだよ」

 雪姉さんが泣いてる?

 あの元気の塊みたいなお姉ちゃんが……

「一体何があったの?」

「使い魔のまっつーが灰になって死んじゃったんだって……」

「まっつーってどんな使い魔だったの?」

「えっと……松明の精霊だったらしい」

 松明の精霊……

 松明って松を利用した灯だよね。

 その精霊ってどんな精霊だ?

「それで雪姉さんはどうなったの?」

「まっつーの身体(灰)を回収して一緒に探索しようとしてたところで……」

「ところで……」

「消滅した!」

 え、なんで?

「なんで消滅したの?」

「わからん」

「ダンジョンの仕掛けは発動してた?」

 リックンは首を横に振る。

「ダンジョンの仕掛けが発動した感じじゃなかった」

「じゃ、じゃあどんな感じだったの?」

「どんな感じって……僕が周囲を警戒しているといつのまにか消えてた………」

 気づいたうちには消えてるってことは……何が原因なんだ。

 もしかして使い魔の能力?

 けど使い魔って主人が死んだら自分も死ぬはず。

 使い魔が死んだから主人も死ぬって能力はないはず。

 じゃあ使い魔の死んだショック死?

 けどこのゲームってショック死ってあるの?

 ないよね。

 ないはずだよね。

 仮にあったとしても雪姉さんの死体ができるはず。

 消滅は絶対にない。

 じゃあ雪姉さんはどうして消滅したんだ。

「考えられることは一つ!」

 リックンが一本指を立てて言う。

「考えられることは転移!おそらく雪さんのスキルであると考えられるだろ?ココ」

 確かに死体ができていない時点ではまだ無事。

 考えられるのは転移。

「あれ?才色兼備のココが考えつかないことを考えつくとは、僕は天才か!」

「確かに思いついてなかったけど、リックンは天才じゃないよ。才色兼備は優れた才能を持っていて、見た目の美しい女の人に使う言葉だよ」

「あってる。問題ない」

「どこがあってるの?」

「ココは優れた才能を持ち、見た目の美しく可愛い!そして女の子!」

「うん、違う」

 僕はあまり優れた才能はない。

 見た目も美しくない。

 そしてなにより僕は女の子じゃない!

「リックン、ココちゃんの性別を当てるとは何奴!」

 ペルさんが弓を下ろしてこっちに近づいてくる。

「いや、性別は当たってません!僕は男の子です!」

「うん、男のコだもんね」

 ペルさんは今なんで「男のコ」を強く言ったんだろう。

 リックンはそれを聞くとなにかを理解したような顔をした。

「まぁ、確かにココは男のコだもんね」

 リックンも「男のコ」を強く言う。

「しょうがないよ、リックン」

「しょうがないですね、ペルさん」

 一体何を意味しているんだ?

「二人ともなんでさっきから「男のコ」だけ強く言うの?」

「いやあ〜ココちゃんなら男のコの意味がわかってると思って」

「男の子って男である子供じゃないの?」

「う〜ん……」

「ココがそう思うならそうなんだよ、きっと」

「え、リックンは理解してるの?」

「当たり前だろ。僕を誰と心得る」

「運動バカ」

「その僕にわからないことがあるわけ……って誰が運動バカだ!」

「お前らそんなどうでも良いこと言い合ってるなよ」

 言い合ってるわけじゃないけど……

「男のコ」って「男の子」じゃないの?

「それよりペル。俺が来たんだからその敵よこせよ」

「別に良いけど……アロイトに聞いてよ」

「アロイト……さっきはよくも俺を牢にぶちこんでくれたな。俺ともやろうで一騎打ち。そんな三流よりも俺は強いぞ」

「良いだろう。貴様なら我の真の力を堂々と使うに値する」

 アロイトの真のスキルを堂々と使える……

 堂々と使えるってことは今までに何回か使ったスキル。

 あの相手を吹き飛ばすスキル。

「一応ペルも含めて無事か?」

「一応ペルも含められて無事だよ」

「お兄ちゃん、速くその騎士を倒して!」

「了解!さっさと済ませてメイリアスの魔王軍を潰しに行くぞ」

 メイリアスの魔王軍?

 え、魔王軍って魔王の配下の……

「クロさん、それはどういうことですか?」

「え、ああ、メイリアス(あっち)を魔王軍が荒らしてるんだよ。あ、これはペルの情報な」

「ペルさん、どうしてそんな重要なこと言わなかったんですか!」

「えっとね……みんなを心配させないようにと……それに戦闘してて喋れなかったし」

「思いっきり喋ってましたよね」

「え、いやぁ……あれは売り言葉に買い言葉的なやつだよ」

「今、しっかり説明してください!」

「それはダメだよ〜これからクロちゃんの華麗な剣技が拝めるんだよ。漆黒の剣士って呼ばれるクロちゃんの剣技、興味ないの?」

「それは興味あるけど……」

 けどそれよりももっと大事なことがあると思う。

「ミカン、あいつに何かされたか?」

「大剣で攻撃された。けどココくんが私とポットを守てくれたからダメージは受けなかったよ」

「わかった。ココ、ありがとな」

「はい!」

「さて、アロイト。貴様には選択肢すら与えぬ。貴様は俺様の妹に手を出そうとした。その罪は万死に値する。つまりわかるな?」

次回予告

次回クロさんとアロイトが正面からぶつかり合う!

ペルさんが見たいと思う剣技とはどれほどのものなんだろう……

だってペルさんだってあんなにすごい戦闘をしてたのに見たいって思うほどすごいものってすごい気になる……

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