#140俺も混ぜてくれよ
ペルさんって何者?
だってペルさんの使用している武器種が多すぎる!
片手剣、細剣、戦斧、弓……
今使った個数でも4つ。
このゲームではスキル欄としてセットしておけるスキルが10個ある。
他にも過去に入手したスキルは持っていられるけど、即発動可能なのはスキル欄内のスキル。
つまりペルさんは今十分の四が剣技などの戦闘系スキルが入っている。
普通の人のスキル構成であれば主で使う剣技とサブで使う魔術、あとはアシスト系スキルで構成する。
それに付与魔術と錬金術も合わせたらアシスト系スキルは加速を含めてもあまり入ってないことになる。
ペルさんの今の戦術ではありとあらゆる手段で戦えるという利点がある。
けど感覚系スキルを入れておかないと魔術の発動や罠の仕掛けられている場所を感知することができない。
ここに何のトラップがあるかもわからない状態でそれは危険だと思う。
「貴様は随分変わった戦い方をするんだな。1000年振りで面白い」
「そう?」
「貴様の戦い方とその余裕の理由はわかった。その戦術を取るのには自身の身体能力と使用する武器の利点を熟知していなければならない。貴様は完璧に理解している。それは賞賛に値する」
「やった!」
「だが貴様の戦い方は戦士を侮辱する戦い方だ」
戦士を侮辱する戦い方?
「戦士というものは己の武器と技術を極限まで高め、自身から誇りに思うからこそ素晴らしい。だが貴様の剣には誇りが感じられない」
剣の誇り?
「ただ使いこなすだけでは戦士ではない。ただの武器使いだ」
「私はただの武器使いであろう、戦士であろう、人を守れればいいと思ってるよ」
普段からハレンチなペルさんがすごいまともに感じる。
「そうか、ならばその誇りにかけている剣技で我が一撃を受けてみるがいい!」
「受けて立とう!貴様の全身全霊の剣技を前に勝利してみせよう!」
「おい、ちょっと待てよ!」
この声は……
「俺もソレ混ぜてくれよ」
「クロ、ちょっと待ってよ……」
入口の方からクロさんとリックンがゆっくり歩き寄ってくる。
「「クロさんとリックン!」」
「お兄ちゃん!」
「あ、クロとリックン!クロもやる?」
「え。ああ、そういうことか」
クロさんはペルさんを見ると少し困惑したが、すぐに納得して笑顔で言った。
リックンが僕の方に短剣を鞘に収めて歩いてきた。
「ココ、無事か?」
「なんとか無事みたい……」
「無事みたいってココでも倒せない相手だったんだ……」
アロイトは強過ぎた……
「うん。リックンこそ無事だったの?」
「僕は隠蔽スキルがあるから敵に見つかっても無事だったよ。けどクロと会えたのが1番でかいかな。あのまま会えなかったらずっとこの迷宮で迷子になってたよ」
「そ、そうなんだ……」
リックンも多少地獄を見てきたようだ。
いつもの元気なリックンが少し怯えている。
何があったのだろうか……
「それよりココ!雪お姉さんが消えちゃったんだよ!」
次回予告
雪姉さんが消えたってどういうこと!