#135クロのユニークスキル
クロから発せられた眩い光がおさまるとそこにはクロと全く同じ格好をした少年がいた。
これがシロさん。
いや、さっきも少し会ったけどあまり話せなかったから初めて感ある。
「おお、本当に分かれた」
「まぁ、こんなもんだよ」
「クロから肉体分離を使うなんてどうかしたの?」
「ああ、今はさっき交換したから状況はわかってるよな」
「うん、ダンジョン攻略中だよね」
「さっきペルが異世界転移であっちに一度転移したら、焼け野原だったらしい」
「え、どこの地区?」
「さっき私たちと待ち合わせをした噴水のところだよ!」
「中央区……早く行かないとお店が!」
「だからテメェとペルは街に行って魔神軍をぶっ倒してこい!」
「いや、魔神軍じゃなくて魔王軍ね」
「そう、魔王軍だ。ステータスが二分の一でもお前のユニークスキルがあればお前自身は困ることはないだろ」
「シロさんもユニークスキルを持ってるんですか?」
「え、うん。僕のユニークスキルは還元だよ」
ユニークスキル…還元?
還元ってあの科学分野の酸化と還元かな?
「還元?」
「そう、還元。化学の方の還元じゃなくて、還元は元の状態に戻すことだよ」
え、還元って元に戻すって意味もあるんだ。
「だからお前とペルで十分収拾がつけられるだろ。まぁ、こっちは秒で終わらせるから30分後にまたここで落ち合うか?」
それ秒で終わってないじゃん……
「うん。けどシロのステータスが二分の一ってことはクロも二分の一なんだよね」
「ああ、それがどうした?」
「それで大丈夫なの?」
「当たり前だろ。この天下無双のクロ様にかかれば余裕だってんだ。まぁ、それに俺にもユニークスキルがあるから大丈夫だ」
「クロのユニークスキルって何よ」
「あ?んなこと言うわけないじゃん」
なんで言わないんだよ!
「まぁ、俺は戦闘向きの剣士だからそれなりのスキルを持ってるんだな」
そう自信があるってことはそれなりに強いスキルなのか。
まぁ、私レベルの女の子になるとそういうのは今すぐ知りたいと思う人種ですから。
聞いちゃうんだけどね。
「シロさん、こいつは一体何のユニークスキル持ってんの?」
「シロ……わかってるよな」
「クロはタイムカットだよ」
「言うな!」
何そんなに言われたくないの?
タイムカット?
時間を切り取る……
「何それ、絶対強いでしょ!だって時間を切り取ることができるんでしょ!」
「いや……」
「いや、そんなことは出来ないよ。ただ魔術の発動時間とか武器とかの作成時間をなくすだけだよ」
つまり待ち時間的なアレを無くすことができるのね。
けど魔術発動時間をなくせるって随分強いと思う。
それに武器作成とかの作成時間を短縮できるってかなりすごいじゃん。
あ、けどクロ不器用そうだから武器とか作れないか。
「言うな〜」
「それってつまり魔術師か生産職を取ってる人が使うと強いよね」
「うん、まぁね。けどクロは魔術の詠唱とかが苦手だからね」
「頼むから黙ってくれ……シロ」
「魔術って別に無詠唱でもスキルとして発動できると思うんだけど……」
「それでも発動するけど、詠唱することで魔力消費を減らせるんだよ」
そうなんだ……
今度やってみよ!
「それにクロは近接戦闘の方が好きだし、ガラに合わないんだよ」
「おい、テメェら俺のユニークスキルのことはもうほっとけ!」
お、これはクロを弄るチャンスなのか。
ならば弄ろう、そうしよう。
「じゃあクロは助けてもらった恩人に嘘をついたんだ……サイテー」
「クロが助けてもらったの?クロ、助けてもらったペルさんに嘘つくなんてダメだよ!」
「あのな……テメェら今どういう状況だかわかってる?」
次回予告
次回こそ魔王軍をぶっ潰すぞ〜
どっかの中二病のせいで余計な部数ができちゃったじゃん。
素直に言えば良いのに……