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#134乱入

 痛い………

 お腹のあたりが焼けるように熱い。

 ミカンの五芒星がいとも簡単に突き破られ、僕の身体に大剣の鋭い刃が僕の身体を切り裂いた。

「「ココくん!」」

「魔術師、油断したな」

 油断なんてしてない……

 まさかあのモーションから回転斬りに移行するなんて。

「ミカン、ココくんを治癒して!私はココくんが復帰するまでアイツをどうにかするから!」

「え、でも!ポットじゃ勝てないよ!」

 ポット!

 このままだとポットもやられる!

「良いから!」

「貴様ら、会話している余裕があるようだな」

「「え……」」

 え、なんでもう二人の背後に!

 このままだと二人に大剣が振り下ろされる。

 二人が死ぬ!

 魔力なんて今はどうでもいい!

「空間魔術、空間置換!」

 空間置換は空間を置換して違う空間同士を繋ぎ合わせる魔術。

 繋ぎ合わせている穴の広さや距離などによって使用する魔力量が変化する。

 ピキ………

 アロイトの背中にアロイトの大きな大剣が突き刺さる。

「これは驚いた。置換魔術か………面白い魔術を使うではないか?そんな消費魔力の多い魔術を使ってでも守りたいのか?」

「ココくん!」

 声が上手く出ない。

 身体に一気に倦怠感が現れる。

 これは魔力切れだ。

 それに意識が遠のく。

 これはHPまでかなり減ってしまったのか。

 どんな状況であろう空間同士を繋げる魔術。

 きちんと準備を整えてするべきだ。

 それを法則や準備を全て無視して発動したんだ。

 魔力上限を超えたスキルなどを無理矢理発動すると足りない分はHPが魔力の代わりに消費される。

 僕は死ぬのかな。

 このまま死んだら二人が……

 まだ…まだ戦わないと…二人が………

 痛い。

 そうだ、今僕はお腹から血が出てるんだ。

 この地面に倒れた状態から体勢を変えれば出血速度が速まってHPがすぐになくなってしまう。

「貴様には魔術の才能があるとみた。だがその才能も自己犠牲のもとに感情で動けばそれはただの三流魔術師にも満たない。ただの無だ」

「ッ………」

 確かに自分を犠牲にして魔術を打っても二人に迷惑をかけてしまう。

 落ち着いて考えれば他にも二人を守る手はあったはずだ。

 二人をファイアーウォールで守ったり、アロイトの前に氷の柱を生み出してアロイトの動きを妨害して僕を狙わせたり。

 考えればいくらでも手はあったはず。

「貴様はまだまだ青二才だ。魔術師としてはまだこれからだろう。もっと修行を積めば我と同格のレベルに至る才を持っている。だが貴様は他人を優先した。他人を守るために力を振るった。それは戦う者として素晴らしいものだ」

「ココくん!」

 二人とも早く逃げて……

「だが守るのであればまず強さを求めよ!そして今の貴様に決定的に足りていないのは心の強さだ」

 心の強さ……

「すべてを守ろうとすればたちまち破滅する。すべて守るのであれば力をつけよ。だが、守りきれないのであれば片方を切り捨てるだけの心を得よ」

 そんな……

「そんな守りたいと思うのなんて普通だと思う。二人いれば二人を守りたいと思う。それが普通だと思う!」

「まだ動けるか。貴様やはり面白い。魔力切れと思っていたが、まだ立ち上がるだけの力があるとは」

 あれ……さっきまであんなに痛かった傷が塞がってる。

 どうして?

「貴方は一つ間違えている」

 この声は……

「うちのココちゃんは魔術師である前に人。人であれば困っている人がいれば助けたいと思うのが普通。その倫理に従っているココちゃんは魔術師の鏡だと思うのだけど?」

 ペルさん……

「さっきの獣人の娘、いつこの部屋に入って来たか知らんが、我に気配を感じさせないとは相当な実力者だな」

「そう?」

「だが娘。貴様の言っていることは破綻している。人を守るのであればその魔術師には力不足だ。人を守るために自らを犠牲にするなんて戦士として無駄なことだ」

「けど人間ってそんなもんでしょ」

 なんでペルさんがここに!

 だってここは構造が変化するダンジョン。

 そんな簡単にここまで来れるはずが………

「私はココちゃんを誇りに思うよ。だって人として当たり前のことを当たり前に実行してたんだから!あ、あと一つ聞きたいことがあるの!貴方って本当に強いの?」

「ペルさん、その人はすごい危ないです!」

 そんな怒らせるようなことを言ったらすぐ殺されてしまいます!

「娘、相手の力量の判断はするべきだぞ」

「貴方も相手の力量を感じ取るべきだよ。だって貴方の左腕はどうしてしまったの?こんなに容易く吹き飛んでしまったけど?」

 え、アロイトを再び見ると左腕だけ切り落とされてしまってる。

 ペルさんの左手にはアロイトの左腕が握られてた。

 というかペルさんが戦斧せんぷを使ってる。

 あれ、ペルさんって剣を使ってなかったけ?

「き、貴様……何者だ!この魔神族である我の腕を容易く吹き飛ばすとは只者ではないな」

「何者もなにも」

 ペルさんは一つ。

 呼吸をついてから言った。

「私はペル。ココくんのペットよ!」

「へ?」

「「えーーーーーー」」

 僕の……ペット……

 え!

「そんな違います!ペルさん、嘘つかないでください!

次回予告

ついに私がメイリアスに救世主となる時が来た。

さぁ、魔王軍をぶっ潰すぞ!

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