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#130クロとシロの切り札!

「切り札って何?」

「切り札の名はボディデバイド」

 ぼ、ボディデバイド………

 何そのネーミングセンスがなさそうな人が作ったようなスキル。

「ボディデバイドって何?」

「ボディデバイド……まぁ、簡単に言えば肉体分離にくたいぶんりだな」

 肉体分離にくたいぶんり………あ、なるほど!

「それを使ってシロとクロの肉体を分離するってこと?」

「その通り!このスキルを使えば俺とあいつを二つに分けられる」

「おお!」

 なんか凄い便利なスキル来た!

 なんて言うのかな……

 こういう凄いスキルが唐突に出てきた時ってなんかテンション上がるよね!

「それ強すぎでしょ………」

「ああ、だがな……二つに分けるからステータスが全体の二分の一になるっていうデメリットも付いている」

「けど十分強いじゃん!」

「けどあいつの実力なんてたかが知れてるんだぞ……」

 たかが知れててもいいと思う!

「たかが知れてるって言っても二人いればどんなことでも乗り越えられるでしょ!一人よりも二人、三人よりも四人!仲間がいれば何だってできるよ」

「俺、三人にも四人にも増えられないんだけど」

「そこは残像で誤魔化して!」

「無理だ!俺に何をさせようとしてるんだよ……」

 特に何も………

「まぁ、自信を持って戦おうってこと。メイリアスのため、ココくんのため、そしてミカンちゃんのために!」

「まぁ、しょうがないな」

「それで作戦は?」

「作戦は俺がこのダンジョンでアロイトぶっ潰してる間、お前とあいつでメイリアスで魔王軍に応戦する。応戦中に怪我人を発見したら、まずプレイヤーかノンプレイヤーキャラクターかを判断しろ」

「どうして?両方とも助けないと……」

「馬鹿!どこで治療するかが問題なんだよ。この世界に入る時、厳重にゲートに結界を張ってただろ。だからこっちの世界はプレイヤーに気づかれないようにしようとしていたんだが……」

 なるほど!

 こやつ、意外と頭がキレておる。

 さっきの動揺ぶりと大違いだ。

「りょ、了解!」

「プレイヤーだったらその場で治癒をかけろ、それでノンプレイヤーキャラクターだったらお前の能力でこっちの国に移動させろ。プレイヤーキャラクターは死んでも生き返る。けどノンプレイヤーキャラクターは死んだら二度と生き返らない……はずだ。だからプレイヤーは別に見捨ててもいいからノンプレイヤーキャラクターを優先しろ!」

「わかった!」

 あれ、そういえば私って治癒魔術使えないよね……

 ということは治癒魔術を使える人を連れて行かないと。

 じゃあ一旦、国に戻ってミケを連れて行けば戦力的にも………

「あ!」

 私、忘れちゃいけない人を忘れてた!

「ど、どうした?」

「忘れてた……」

「はあ?」

「思いっきり忘れてた!」

「何を!」

「メイリアスにミケがいるじゃん!ヤバイよ、早く助けに行かないと!」

 今までのミケは猫で可愛い!っていう概念が深く根付きすぎて忘れてた!

 今日はメイリアスにミケと狼の娘が洋服を買いに行ってるんじゃん!

「クロ、さっさと分身して!早く助けに行くよ!」

「お、落ち着け……一体どうした?」

 どうしたも何も緊急事態だよ!

「今日はミケがメイリアスに洋服を買いに行ってるの!早く助けに行かないと………」

「それは知り合いなのか?」

 知り合いも何も………

「私の家族!早くしないとミケが死んじゃう!」

「落ちつけ……ら、らしくないぞ!」

 そんなこと言ってる場合じゃない。

 ミケが魔王軍に食べられたり、殺されたり、調教されたりするかもしれないじゃん!

「とりあえず早く分身して、分身!」

「だからちょっと落ちつ………」

「早く!」

「は、はい……けどその前にお前は目隠してしておいた方が………」

「良いから!」

「はい………」

 クロは深々と深呼吸をする。

 私にはその時間さえ惜しい。

 そして静かに発動させた。

肉体分離ボディデバイド発動!」

 クロの身体が白い光に包まれる。

 その光は輝きがどんどん増していく。

 そして白い光はものすごい輝きを放った。

 だが私はそれどころではなかった。

「……目が……目が………」

 目に急に強過ぎる光が入ってきて私の目を攻撃してきたのであった!

次回予告

クロと分離したシロを連れてメイリアスにミケの救出をしに向かう。

ミケ…無事だよね………

もし無事じゃなかったり可愛いメス猫に調教されてたら魔王軍を一瞬のうちに昇華させてやろう。

けどメス猫に調教されたミケとエッチなことしてみたい気持ちがどこかある!

……あ、上にいるココくんは大丈夫だったかな?

この現状には不安しかないよぉ。

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