#129クロ救出!
「はぁ……はぁ……はぁ………」
私の右手のひらは赤くなっていた。
めっちゃ熱い。
まだあの熱い感覚がするんだけど。
火炎放射使えないじゃん!
これ下手したら自分が火傷して死んじゃうじゃん。
スライムは跡形もなく蒸発してしまった。
牢獄には焦げたような臭いが漂う。
まぁ、それよりさっさとクロを檻の中から解放してメイリアスを救いに行くとしますか!
「クロ、今解放するから」
「おお、そうか……俺はもう瀕死状態だよ。お前はなんで核をすぐ潰さないんだよ!核潰せば一発だろ」
「だってスライムの核がどんなのだかわからないんだもん」
「スライムの核は丸っこいやつだよ。というかさっさとこの檻から俺を出せよ!」
こやつに感謝という二文字は存在しないのか?
「はいはい、ちなみにどうすればいいの?」
「外側からなら普通に剣で突き破れる」
「了解」
私はエクスカリバーを中段に構え、檻の鉄の柱に向かって連続で剣を振り下ろす。
檻の鉄の柱は容易く折れた。
これって檻の中から剣技放ったら十分脱出できるんじゃない?て感じ。
「よし、やっと開いたか。じゃあ早速ダンジョンマスターのアロイトを潰しに行くか!」
「いや、今ここで死んだでしょ」
「あいつはただの上級スライムだ。ダンジョンマスターであるアロイトはダンジョンの最深部で待ってるだろう」
「え、ということは本物がまだ生きてるの?」
「当たり前だろ。さっきの上級スライム如きがこんなに高度なダンジョン作れるかってんだよ!クソ……体力と魔力がそこをつきかけてんじゃねぇかよ」
んなこと私に言われても……
それより。
「クロ、それよりもメイリアスが魔王軍に襲撃されてるって!」
「ん?魔王軍…ああ、どのレベルだか知らないけど現段階なら十分な戦闘技術があれば十分対応できるな」
対応できてないよ。
なんかプレイヤー思いっきり蹂躙されちゃう感じだよ。
「全く対応できてない。メイリアスは壊滅。このままだと街が焼け野原になっちゃう」
「はあ?んなことねぇだろ」
そんなことがあるんだよ。
「本当だって。さっき待ち合わせした噴水のところももうボロボロだったよ!」
「あの噴水のところか?」
「うん」
クロが少し深刻な顔をして考えてる。
今回のダンジョン攻略でそんな深刻な顔をしなかったのに………
だいぶまずい事なのか。
「………どっちを優先する。こっちのダンジョンでパーティメンバー全員を回収した上でメイリアスに来てる魔王軍をぶっ潰すか?それとも先にメイリアスの魔王軍をぶっ潰すか?パーティメンバーの安全を考えるならこのダンジョンを攻略するのが最善手だ。けどそんなに時間をかけたらメイリアスが壊滅してしまう……どっちを取れば良いんだ?」
クロが悩んでる。
あれ、これってクロだよね。
クロってこんなキャラだっけ?
「クロ?」
「今話しかけんな」
クロの中二病系キャラが壊れた!
「どっちを選ぶ?この状況での最善手はなんだ?どれを選んでも美波との約束を守れねぇ……」
ミナミとの約束?
ミナミって誰?
ミナミって何?
急に身に覚えのない名前が出てきたんだが!
「アレを使うか?いや、けどこの状況でアレを今の魔力量で使ったら、あいつはいいとしても俺の魔力量が………それにあいつの戦闘力じゃ、魔王軍と対等に殺り合えるわけがねぇ」
さっきから度々出ているアレって何のことだろう。
それにあいつってシロさんのことを指しているのかな。
「だけどこの状況じゃどっちにあいつをやってもあいつの安全は保証できねぇ……平和主義のあいつにこっちを任せるか?けどアロイトと遭遇した時、あいつじゃ勝てない。ここには還元できるようなもんもない………ああああああああ、どうしたら良いんだよ。クソ!」
なんかクロの精神が崩壊しそうな勢いなんだけど。
なに、そんなにこの状況は深刻的な状況なの?
「クロ?」
「ああぁ?何だよ!」
それに凄いイライラしてる。
「クロが今何を考えているか私には分からないよ。けど私に出来ることがあれば最善を尽くす!だから………」
だから………
「相談して!」
「………………………」
なんか凄い静かになった!
なに、この状況ですごい場違いなこと言った、私?
クロはしばらく黙っていたが、鼻で笑ってこう言った。
「てめぇ、なんかにそんなこと言われるとは……超面白………」
「超面白って馬鹿にしてる?」
馬鹿にしてる?
じゃなくて絶対に馬鹿にしてるよね!
「いや……馬鹿にしてねぇよ。ならいっちょやってやろうぜ!」
「なにを?」
「俺とあいつの切り札だよ」
俺とあいつの切り札?
それでわかるか!
次回予告
クロの切り札とは一体?
凄い強いクロの能力の一部が明らかに!
作者より
私の夏休みは何処へ………
誰か私に休暇をください。
部活も入ってないのに何で学校ばっか行かなきゃいけないの!
おかげで小説を描く時間も少ないじゃん!
というか課題が終わらないんだけど……
誰か課題を手伝って……………