#123暗黒騎士団団長アロイトが現れた!
カタン……カタン……カタン……カタン……カタン……
鎧同士がぶつかり合う音がこちらにどんどん近づいてくる。
これは階段的な何かを下っていたのか?
すると私の視界に真っ黒い鎧を身につけた人?が入ってきた。
これは人間なのか?
身長が2メートルぐらいあるぞ。
いや、まず魔神族とは人間というカテゴリーに入れて良いものなのか?
魔神族って文字通りだったら、魔の神でしょ。
それを人間というカテゴリーに入らない気がする。
というかこの檻の柱に挟まれたこの状況。
早く離脱しないと殺されちゃう!
クロは……この真っ黒いやつを目で追ってる。
一応暗くても見えてるんだ。
「貴様、名を何という?」
「俺はクロだ。貴様こそ名は何だ?」
なに、クロは状況に合わせて会話してるの?
「我の名は暗黒騎士団団長アロイト。魔神王アリス様から貴様に言伝を話しに来た」
暗黒騎士団!
しかも団長!
心当たりは全くない存在だけど規模大きそうだ。
「言伝だと?」
「貴様の今までをずっと眺めておられた」
なにそれストーカーじゃん!
というか多分クロなら勘が良いからきっとストーカーされてたら気づくはず。
そう考えると可能性としては遠見魔法的な魔法で観察していたと考えられる。
「はぁ……」
「そしてさっきお考えをお申し付けなられた」
「ならさっさと内容を言え!眠たくなってきた」
「貴様は人族だな」
「それがどうした?」
「貴様は森人でもなければ獣人でもない。ましては竜人ですらない。たかが知れた人族の身でありながらその力量。大いに素晴らしい」
クロはそんなに強いの?
まぁ、技術面がすごくても中身がね……
「だから何だよ、結論言え!結論」
すごいせっかちだ。
これも中身の問題だ……
「そう焦るな。アリス様は貴様に魔神族になることをお望みになられている」
魔神族ってクロの言い方だと敵って感じがするんだけど。
「魔神族になれば貴様はさらなる力を得ることが出来る」
「強くなれるのか……だが断る!」
なに、その謎の展開!
というかトラップにかかって落ちてきた奴にそんな力量はないよ。
「その理由を聞こうで……………」
「なんでお前らみたいな奴の同志にならなきゃいけないんだよ。俺は人族で良いんだよ。まず俺は貴様らみたいな虐殺が好きな魔神族(ゴミ集団)とは違うんだよ」
「ほう、だが貴様は散々魔族であるゴブリンを殺したではないか?あいつらはただの魂の入った肉塊だ。貴様のいう人がいれば襲うゴミの集まりだ。それを殺していたのは誰だ?そう、貴様だ!」
「だからどうした?俺は大切な人を守る……そのためになら歯向かうものは容赦なく殺す。それが俺の考えだ!」
大切な人……………
「大切な人を守る?この世界では強いものが勝つ!ただそれだけだ」
「違う、俺はこの世界でもたった一つの大切な人を守る。そう誓ったんだ!」
もしかしてミカンちゃんかな。
「誓っただと?」
「ああ、俺は誓ったんだ。剣士として、兄として、ミカンを守ると誓ったんだ!」
おお、すごい兄貴感だしてる。
「貴様の力は守るものがあるから強いのかもしれないな。まぁ、期待している……魔神族の王、魔神王アリス様に忠誠を誓い魔神族になることを」
「誓わねぇよ!」
「誓わぬというのなら、その余興だ。貴様の仲間である獣人の少女を犯することにするか?こっちの檻に囚われているのが貴様の大切な者なのだろう」
え、なんで急にこっちに話が飛んでくる!
なんで私が犯されることになるん。
というかこっち見られたら詰むじゃん、私。
私猫だよ。
こんなところ見られたら犯されそうになってもお腹がつっかえて逃げれないじゃん。
というかなに、こういう薄暗いところだと誰でも犯したくなっちゃうの!
「止めろ!それにそいつは俺の大切な人じゃねぇよ」
「じゃあ犯しても構わないな」
「いや、そいつは俺が初めてを奪う予定なんだから犯すな!」
「そうなのか?ではその顔が歪むことを楽しもうではないか。私は人族や獣人とはまだあまり経験が少ないが、きっと貴様の恋人も私のことが好きになるように躾けてやろう」
いや、躾けるどうこうの前に私は今猫なんだけど!
これは使えないとわかっているが、このままだとこの変態鎧騎士に犯される!
「ミャー!」
私の視界が真っ白に染まる。
キター!
これでこの危機的状況からは脱したぞ!
まぁ、これからやることはまずあそこの檻に戻ってからあの変態鎧騎士の頭を跳ね飛ばしてやる。
次回予告
次回、変態鎧騎士の首をバッサリするため再びダンジョンに転移する!
あ、というかなんかすごい高位の存在っぽいからワンチャン…じゃなくてほぼ確実にダンジョンマスターじゃね!