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#122賭け

「それでペルはどっちに賭けるんだ?ココたちが俺らを救出するのが早いか、それとも死ぬのが早いか?まぁ、俺は『死ぬのが早い』を選択するから必然的に……」

 この賭け(ゲーム)には確実に勝てる成功法がある。

「じゃあ私はこの二つ以外を選択するよ!」

「………いや、どっちに賭ける?」

「だから二つ以外の可能性に賭けるよ。だから二つ以外を選択するよ」

「いや、それずるいだろ」

 ずるくないよ。

「別に選択するのは何だっていいでしょ!」

 それに私は初めてを賭けてるんだから!

 対価がどう考えてもこっちの方がでかいでしょ。

「わかった。じゃあ俺はココたちが俺らを救出するか、それとも俺らが死ぬのが早いのどちらかになったら俺の勝ちだな」

「それ以外だったら私の勝ちね!」

「貴様、それ以外の可能性があると思っているのか?」

「ある!じゃあ今からスタートね」

「おお、始めようじゃないか」

 これで私の勝ちは確定した。

「もう変更なしだからね!」

「んなの選択した時から変更なしに決まってんだろ!」

 まずこの賭け(ゲーム)は明確なルールがない。

 だからココくんが助けに来てくれる前に私がクロを牢獄から引っこ抜いて探索に戻るという選択もあるのだよ。

 我を侮りおったな、クロよ。

 戦闘能力は高くても口は達者じゃないようだな。

 さて、私の偉大なる作戦を実行するとしよう。

 それはさほど難しいことではない。

 至ってシンプルで簡単なこと。

 それは私がスキル『変身』を行使して檻から脱出すればいいのだよ!

 私が脱出した上でクロを救えば賭けは私の勝ちだ。

 そうすればクロさんから戦闘技術を学べる。

 まぁ、運がいいことに檻は縦に太い円柱が並んでる型。

 人間が通れなくても猫が頭を突っ込めば無理矢理にでも通り抜けられそうな大きさだ。

 だから猫に変身して頭を出してから胴体を出せば抜けられるだろう!

「スキル発動、変身」

 私は小さく呟く。

 いや、今思ったんだけどね。

 クロさんはこの空間をかなり暗く感じている。

 つまり背後に忍び寄って脅かすことも可能だと!

 よし、外に出たついでに脅かす作戦に変更だ。

 私は猫に変身すると太い円柱と太い円柱の間に頭を突っ込む。

 ちょっと……窮屈だけど………

 よし、頭だけ出た!

 このまま身体も……ちょっとキツイ………

 やっぱりゲーム内でも太るのかな?

 もしかして昨日食べたパフェが原因でお腹が突っかかってるんじゃ………

 もう少し……もう少しなのに………

「ペル……まだ元気か?」

 急にクロはどうしたし!

 私は現在進行形で超ピンチなのに!

「……………」

 これはミケから聞いたんだけど。

 変身スキルは欠点があって変身中は人間の言葉が話せないらしい。

 さらに自分の所持してるスキルが発動できないらしい。

 ミケがドラゴンの時に話せたのはきっと喋れるドラゴンに変身したから。

 だから普通に猫や犬に変身すると猫語や犬語しか話せなくなるらしい。

 ミケはよく分からないけど人語と猫語を話せるらしい。

 その理由は一つ思い浮かぶ。

 ミケは現実じゃ本当の猫だから両方とも話せる!っ的な感じだと思う。

「おい、無視すんなよ!」

 無視してないよ。

 私は今本当にヤバイ状態なの!

「おい、生きてるか!もしかして俺よりも先に逝ったか」

 いや、逝きそうだよ。

 私、違う意味で逝きそうだよ!

 胴体が檻の柱に挟まれてもげそうだよ!

「なんとか言えよ………」

「……………………」

「おい、俺もそんな鬼畜じゃないからな。ペルの初めては別にいらねぇから!返事しろよ!」

 んなこと言われたって人語話せないもん。

「生きてるか反応してくれ………」

「…………ニャー」

 あ、ちょっと声出ちゃった。

「あれ、今なんか変な鳴き声が聞こえたな。新手の魔物か?」

「………………………」

 バレた?

 バレてないよね。

「いや、なんか変な気配がする。この気配は魔神族っぽいな」

 は、魔神族?

「こっちに近づいてきてる感じだな」

 え、じゃあこの胴体が半分しか出てない私ってかなり危ないじゃん!

 ヤバイヤバイ……早くでないと!

「そこにいるんだろ、魔神族!」

「………………」

 え、もう来てるの?

 逃げないと!

 どこに?

 考えるんだ、ペル。

 私が今逃げるために使えるスキル。

 あ、異世界転移!

 これで一旦、違う世界に転移しよう。

 えっと、転移先は……メイリアス!

 今日クロとメイリアスの待ち合わせをした噴水広場!

 いや、けど私は今猫に変身してるんだった。

 この状態じゃスキルが使えない………

 いや、まだクロの勘違いかもしれない。

「貴様、この我の気配を感じ取ったか……」

 本当マジで来てた!

「ああ、貴様らの気配はすごいわかりやすい。すごい邪悪な気配だ」

 え、そんなに邪悪な物体が近くにいるの?

 何も感じないんだけど……

というか貴様らって複数形だけど何人もいるの?

「そうか?貴様も相当な強者のようだな。ここに降りて来る途中から凄まじい強者の気配を感じたぞ」

 カタン……カタン……カタン……カタン………

 鎧がぶつかるような音が聞こえてくる。

 この声の正体が近づいて来てるのか!

 というかこの状態見られたら半分脱獄で首すぐパッサンじゃん!

 ヤバイよ、打ち首だ。

 どうしよう……

 本当にどうしよう!

次回予告

魔神族だといういかにも中二病感のあるやつが私とクロの前に現れる。

いや、私的にはこの状態でそういう危険人物との遭遇は控えたいんだけど……

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