#119二人の安否
「ミカン、そこにいるんですか?」
「うん!いるよ!」
「ココくん、どこにいるんですか?」
あれ、この声はポットの声だ。
「ミカンとポットは一緒にいるの?」
「あ、ペルさんの声だ」
「はい、一緒にいます!ペルさんはココくんと一緒にいるんですか?」
「うん、私とココくんは一緒だよ」
「お二人は無事なんですか?」
一人行方不明になったけど無事かな。
特にモンスターとは直接戦闘してないし。
「無事だよ。そっちは大丈夫?」
「はい、大丈夫です!」
壁の向こうにいるのはわかった。
けどこれからどうしよう……
だって二人は壁の向こう側にいる。
迂回すれば向こうに辿り着けるかもしれないけど、迂回している間にまたダンジョンの構造が変わる可能性があるから時間はかけられない。
「ココくん、どうする?」
「少し手荒ですが強行突破するしかないと思います。ミカンもポットも女の子なので戦闘に特化しているわけではないと思います。だからいち早く壁の向こうに向かうなら壁を突き破るしかないと思います!」
けどダンジョンの壁って大体破壊ができないようになってない?
だって破壊が出来ちゃったら迷路がすごい簡単になっちゃうじゃん。
「けどそういうのって破壊できないと思うよ」
「やるだけやってみましょう!」
ココくん、なんかすごい焦ってる。
やっぱり戦いのできない女の子の方が好きなのかな。
頼れるお姉さんの方がいいと思うんだけど……
「二人とも壁から離れてくだ……」
「ココくん、無理だよ!」
ポットの声がココくんの声と重なる。
「どうしてですか?」
「ダンジョンの壁は見た目よりもとても硬くて普通の攻撃じゃ破壊できないんだよ!」
確かに現実だったら頑張れば石の壁は破壊できるかもしれない。
けどゲーム的に考えたら破壊できたらダンジョンとして面白くないからね。
破壊できちゃったらこの世は脳筋の時代になっちゃうよ。
「ココくん、他の方法を考えよう!他にも方法はあるよ…きっと!」
「そ、そうですね……」
今思い出したんだけど、私だけなら超えられると思う。
いや、スキルに変身ってあったじゃん。
あれを使ってネズミさんにでも変身すればこの壁の隙間から壁の向こうに行けるかもしれない。
いや、けどそれじゃココくんが一人ぼっちになっちゃう。
なんか使えるスキルとかないかな……
例えば透過とか!
透過出来ればどんなところにでも忍び込める!
強い、最強だ!
それに透視なんかも強いよね。
覗きし放題だよね!
あ、けどこれ18禁ゲームじゃないから、流石に無理か〜
「じゃあ超火力を叩き込んだらどう!」
ミカンの声が向こうから聞こえてくる。
「いや、ミカンちゃん聞いてた?普通の攻撃じゃこの壁は壊せないんだよ」
「普通の攻撃じゃ壊せないんでしょ。だったら超火力で壁を吹き飛ばしたら良いんじゃない!ドカーンって!」
「ドカーンって……」
確かに一理ある。
普通の攻撃で壊れないのなら、超火力を思いっきり叩き込めば壊れるかもしれない。
ん?
そういえば前に私が斬撃で木を切った時の要領で行けば、こんな壁ぶち破れるかも!
「それだ!」
「ペルさん、急にどうしたんですか?」
「超火力を叩き込んで、壁をぶち壊せばいいんだよ!」
「そんなペルさんまで……超火力を出せるんですか?簡単に言ってますけど、火力を上げるってそんな簡単じゃないですよ。僕は魔術師なのでよくわかりますが、火力を上げるために魔力ってたくさん使うんですよ」
た、確かにそうだ。
そんな簡単に火力の出せるもの……私の右手に握ってるじゃん!
「ココくん、あるよ!超火力のビーム撃てるものが!」
「あるんですか、ペルさん?」
壁の向こうから声が響いてくる。
あれ、この声の大きさで聞こえたんだ……
あ、そういえばポットはウサギの獣人。
だから小さな声でも聞こえるんだ。
「ペルさん、準備できました!いつでもどうぞ!」
「ポットちゃん、準備って何?一体何が起きるの?」
「今から目の前の壁を壊すためにすごい強力な攻撃を放つようです」
「なるほど、私たちは準備万端だよ!いつでも大丈夫だよ!」
これは放っても良いようだ。
「ココくん、撃っていい?」
「撃っても構いませんが、そんな超火力を出せるんですか?それに万が一二人に当たったら……」
それは考えてなかった。
というかあのビームってどれくらいの威力があるんだろう……
「ココくんは心配性ですね」
「私たちはちゃんと安全なところにいるよ!」
二人の元気な声が聞こえてくる。
「けど……」
「じゃあココくん」
「はい……」
「もしも二人が怪我をしたら、私が責任を取ってココくんの性奴隷になってあげるよ。それならココくんもオッケーでしょ!」
「ど、どれ………」
「「ちょっと待った!!」」
え、あ、ポットには聞こえちゃうのか。
いや、ミカンの声も聞こえた!
ポットはしょうがないけど、ミカンに至っては地獄耳なのか?
「私たちが怪我をしたら、ペルさんが性奴隷ってどういうことですか!」
「そうですよ!なんで怪我をさせた人がココくんの性奴隷になるんですか!」
地獄耳だ………
「え、だって責任の取り方って言ったら奴隷でしょ?ココくんが一番心配そうにしてるから、ココくんへの責任の取り方って言ったら性奴隷でしょ!」
「せ、性奴隷……ぺ、ペルさん。性奴隷って………」
「いや、私たちはどうなるんですか!私たちには責任取らないんですか!」
「そうです!ペルさんがココくんの性奴隷になるなら代わりに私が性奴隷になる!」
おお、やっぱりココくんはすごいモテモテなんだ〜
だってすごい可愛いもんね!
「じゃあ私がもし当てちゃったら、みんなでココくんの性奴隷になるのはどう?」
「ぺ、ペルさん……僕は奴隷なんていりませ…………」
「「賛成!!」」
よし、これで解決だ!
「ね、これで安心できるでしょ!」
「うう……」
あれ、ココくんが唸ってる。
どこか痛いのかな?
「ココくん?」
「ペルさん、エッチなこと言わないでください!」
「え〜」
久しぶり過ぎてココくんにはダメージが大きすぎたかな?
「二人も僕をからかわないでください!」
「「え〜」」
「次そんなエッチなこと言い始めたら怒りますよ!」
それはつまり飼い主として!
「ココくん、それはつまり飼い主としてだよね!」
「ペルさん、怒りますよ!」
次回予告
次回、私の渾身の一撃を壁にぶっ放す!
さて、壁はどれほど我を楽しませてくれるのかな?
というかいっそのこと、二人に当たってココくんの性奴隷になれないかな!