#115雪さんは。
「うーん……ここどこだろう?まっつーわかる?」
「ぼぉ〜」
私の使い魔のまっつーは反応を返してくる。
「それにしてもまっつーはホント暗いところとは相性が良いね」
「ぼぉ〜ぼぉ〜」
まっつーはご機嫌のみたい。
え、まっつーって誰だって?
どんな姿してるかって?
それは……聞いて驚け、見て笑え、そして絶望せよ!
まっつーは松明の亡霊なのだ!
出会いはメイリアスから約5キロほど離れた古びた洋館だったな……
うん、あの時は亡霊クエストで使い魔になるなんて思ってなかった。
けどまっつーが後をついて来てた時はすごいビックリした。
だってなんか何かが不完全燃焼してる臭いがしてどっかで火事ってるかな〜とか思ってたら火元が後ろにいるんだから。
こいつ、自爆狙いで私の背後を!って思って一瞬冷ってしたよ。
自爆狙いの暗殺じゃなくて凄い安心したけど。
「まっつー!周囲に誰かいる?」
「ぼぉ?」
「わからない?」
「ぼぅ」
そうか〜
あ、ちなみに私はそういう探索に適したスキルは何一切取っていない自信がある。
私のスキル構成は多少剣技とかを取得しているけど、それ以外は全部生産系スキル。
衣服を作るためのスキルとか薬を調合するためのスキルしかない。
だから私は超非戦闘員なのだ!
皆の者、我を守れ!だよ。
そんな私がこのダンジョンをぼっちで攻略できるかって?
そんなの夜飯前なのだよ!
だって私には頼もしい仲間がいるんだも〜ん!
「早速だけどまっつー!どっちに行く?」
「ぼぅ……」
「いや、私って方向音痴だからまっつー!君に任せた。さぁ、右と左どっちに行く?」
「ぼぅぼぅ」
「右?」
「ぼぅ!」
どうやら右が良いらしい。
「よし、じゃあ進もうか!では、まっつーよ。あかりを頼むよ」
「ぼぅ!」
まっつーはやる気満々だ。
よし、いっちょ攻略するぞ。
とりあえずココちゃんと合流しないと、きっと私と同じでダンジョン内で一人ぼっちできっと寂しがっていることだろう。
「ココちゃ〜ん、どこにいますか?いたら返事をしてくださ〜い」
してくださ〜い……くださ〜い……さ〜い……
このダンジョン、すごい声がこだまする。
「あーーーーーーーーー」
あーーーーーーー……あーーーーー……あーーー……あーー……
声が返ってくるってことはこの先に行ったら壁がある。
きっと曲がり角か何かがあるのだろう。
声の返ってくるのにも意外と時間がかかった。
往復で10秒ちょっとかな。
ということは片道5秒ちょっとで壁に当たるってことだから………
えっと……音速は確か1秒あたり340m/sの速さで進むから、5秒で1400メートル進む。
ということはここから壁まで1400メートルもあるのかぁ〜
意外と道のりは長いのぉ。
まぁ、敵が出てきたら鉄壁くんを出して戦ってもらおう!
あ、けどここのダンジョンだと少し狭いから身長約5メートルの鉄壁が出せないじゃん。
戦ってもらえないじゃん!
どうしよう……
「私はあまり戦闘が好きじゃないんだけどなぁ〜」
前方の曲がり角からオレンジ色の明かりが見える。
明かりが少し揺らめいて見えるということはあれは誰かが持っている松明。
もしかしてココちゃん!
「ココちゃん!大丈夫〜」
全速力ダッシュ!
しかしそこにいた生命体はココちゃんとは天と地、いや神と無の差以上の生き物だった。
緑色の体。
小さな体格。
大きな目。
もやしのようなヒョロヒョロな腕と足。
そしてその腕には青銅器製の刃が欠けた短剣。
そう、ゴブリンである。
「あ、なんだゴブか。ココちゃんじゃないなら良いや。まっつ〜早く行くよ」
「ぼぉ!」
まっつ〜は前方にいるゴブリンによくわからないスキルを発動する。
ゴブリンはまっつーが横を通ると赤い炎に包まれて消滅した。
書物によるとまっつーの種族の特殊スキルらしく、固有種と固有種の間に生まれたやつに5パーセントの確率で固有種のスキルを全て引き継いだり、新たなるスキルを取得しているらしい。
種族内では王族レベルらしく、その地域を納めたりするらしい。
まぁ、力ある者が土地を支配するって感じ。
まっつーは固有種だからよくわからないけどすごい事が色々できる。
ゴゴゴゴゴゴーーーーーーーーー……………
この音はなんだろう。
すごい大きな音だけど何かがどこかで動いてるのかな〜
まぁ、私には関係ないや〜
「さぁ、まっつー!先を急ぐよ」
「ぼぉ!」
次回予告
次は戦闘狂のクロさん!
さてさて、クロさんは一体何をしているのだろうか?
次回もお楽しみに!
作者より
小雪です!ただ今家族旅行に行ってます!
勝手ながら投稿を火曜日にさせて頂きます。