#113トラップ
「さて探索し始めたのは良いけど2人とも。どっちに進む?」
私たちの前には右と左に進む道がある。
「僕は右」
リックンが左右の安全を確認すると一言。
「その理由は?」
「理由は簡単。右の方から何かを感じるから」
「なにか?」
リックンは暗殺者だから察知系スキルのスキルを上げているからかな。
「感じるというか聞こえる?って感じ……」
聞こえるって感じ……
リスの聴覚もうさぎと同じで良いのかな。
「足跡じゃないけど何かが来ている気がする。なんか小さな音でボワッ」
「「ボワッ?」」
「ポコポコっていうか……」
「「ポコポコ?」」
なんだよ、その謎の効果音的な何かは。
私は猫の獣人だから夜目があるから暗いところには強いんだけど。
「ペルさん、何か見えますか?」
「何もない」
右も左もあるのはただの通路。
「じゃあどうしますか?」
ここは正直、トラップを警戒しておけば大丈夫なのでは?
「とりあえずトラップに注意して進む?」
ココくんの顔が曇る。
ま、まぁトラップが道中にあると思われる道を進むのは気が進まないのは理解できる。
「進んで良いんじゃね」
リックンは左右の通路を交互に見てから言う。
「別にここダンジョンなんだからトラップあってなんぼなんだから」
確かにね。
ここはダンジョン、そんなトラップなんてわんさかあるだろう。
それを怯えてダンジョン攻略は出来ない!
「確かにそうだけど……」
「まぁ、とりあえずこれ以上分断されると困るから、極力離れないように攻略して行こう。とりあえず私が前後を確認するからココくんは後ろ、リックンは前を確認して」
「オッケー!」
「わかりました」
この廊下は右へ進む事にした。
私は歩きながら考えついた。
もしもこのダンジョン本来の仕掛けが時間経過ではなく、トラップの発動をキッカケにダンジョンの構造が変化するのだとしたら。
トラップが発動した瞬間、ダンジョン本来の仕掛けが発動したら、またバラバラになってしまうかもしれない。
そしたらこのショタ天国が終わってしまうではないか!
「ペルさん、前方に何か見えますか?」
「特に何も……ココくん、後ろはどう?」
「こっちも特にありません。リックン、何か聞こえた?」
「向こうの方から聞こえてたポコポコって音の大きさが少し大きくなった気がする。多分、何かに近づいてるんだと思う」
ポコポコって一体なんの効果音なんだろう。
最初は一瞬たぬきとかを連想したけど、火山ダンジョンの中にいるわけないもんなぁ……
いや、これで前方から。
「ポコポコ……たぬきだポンポコポン!」
的な感じで出てくることはないはず……
そういえばうちの村じゃ、たまにたぬきが見れた。
森が周りにあって高低差も多少あるからたぬきとか狐とかからしたら暮らしやすいのだろうか。
あの頃はたぬきをどう捕まえてペットにするか考えてたなぁ。
狐は家の前に油揚げをお皿にのせて一日中来るか見てた日もあった。
まぁ、もう10年ぐらい前の話だけどね。
「来る!」
リックンが急に叫ぶ。
敵!
我が剣の錆にしてくれようぞ!
「リックン、どっちから?」
「前から」
「前からか!じゃあ僕が先制をかける!」
「わかった。あまり遠くに行かないでよ!」
「わかってる!」
先制するって大丈夫なのかな?
いや、待て!
「ちょっと待ってリックン!」
「どうしたんですか、ペルさん?」
この状況で先制を仕掛けて、ダンジョン本来の仕掛けが発動したら分断される可能性がある。
「ペルさん、大丈夫ですよ!僕は暗殺者ですよ。暗殺者にかかればこんなの朝飯前ですよ」
「いや、朝飯前とかじゃないから!リックン、戻って!」
リックンは少し先の角を右に曲がった。
グサ……
刃物が何かに刺さったような鈍い音が通路に響いた……
リックンが何かを指した音なのか?
その瞬間、ダンジョンの壁から煙が出てきた。
これは……さっきのダンジョンの仕掛け。
ということはこれはトラップの発動は時間経過やトラップ発動時に発動するトラップではない。
これは………
「ココくん、このダンジョンの仕組みがわかったよ!」
「ほん、本当ですか……それよりも前が煙で見えません」
「ココくん!」
次回予告
次回は別視点でのダンジョン攻略状況!
次は誰の話かな?
次回もお楽しみに!