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#112本来のダンジョンの仕掛け

 灰色の煙に包まれたダンジョン。

 そのダンジョンでは冒険者達の声が響いていた。

「クロさん、無事ですか?」

 ココくんの声がダンジョン内に響く。

「ああ…一応、俺は無事だ。みんなはどうだ?」

 煙が晴れるとそこにはココくんとリックンがいた。

 なに、今一体何が起きたの?

「ペルさんとリックンと僕は無事です」

 ココくんがこのよく分からない状況の中、クロさんの対応を答える。

「みんな生きてる〜」

 雪さんの声も上がってきた。

 他の見当たらない雪さん、ポット、ミカンの声も聞こえる。

 どうやらみんな居場所を分断されたようだ。

 今何が起きたのかって?

 おそらくさっきクロさんが罠があるって言ったやつ。

 確か……次の角を右折したところの廊下を6歩進むんだあたりに仕掛けられているモンスタートラップの影響でダンジョンの構造が変化したのでは?

「クロさん、これはさっきのトラップの影響ですか?」

 ポットがクロさんに問いかける。

「おそらく違う。これはトラップじゃない。このダンジョン本来の仕掛けだ!」

 トラップじゃない、って言っても見事なトラップでしょ、コレ!

 まんまと全員かかってるじゃん。

「クロさん。これがこのダンジョンの本来の仕掛けってどういうことですか?」

 ココくん壁を叩きながら言う。

 確かにこのダンジョンの本来の仕掛けって何だろう?

「よく聞け!おそらくこのダンジョンには時間経過によってダンジョンの構造を変化させる仕掛けがついているんだ!」

 つまりこのダンジョンはある一定の時間が経つとダンジョン内の構造が変化してしまうということか?

「クロさん、これからどうすればいいでしょうか?」

「やっぱりダンジョン探索だろ、ココ!このままここにずっといても暇だし……」

 リックンはちょっと笑顔だった。

 どうやらこの状況を楽しんでいるご様子。

 一方、ココくんはこの状況をどうしたら良いのかおどおどしている。

 ココくんは頭が良いけどすごい想定外のことになると極端に思考速度が下がるようだ。

「けどそれじゃもっと複雑になって出れないかもしれないから仕掛けがもう一度動いて……」

「よし、それじゃあこれからは別行動な!皆、健闘を祈るぞ!」

「え、ちょっとクロさん!」

 そしてクロさんの声は壁の向こうから二度と聞こえてこなかったという……

「クロさん、クロさん!」

「ココ、諦めろ…あいつはもう……」

 なんか今のリックンの台詞だと、クロさんがもう天に召されたような言い方だ。

「リックン、まだクロさんは死んでないと思うよ……」

 私は剣を鞘から抜いて何度か上下に振ってみた。

 いや、よく考えてみたら私って最近剣をあまり使ってないと思うんだよね。

 うん。

「とりあえず私たちもダンジョン内動いてみる?」

「僕は賛成!」

 私が二人に問いかけると、リックンが元気よく返事をする。

「いや、動かない方が良いよ」

 ココくんが静かに言う。

 なに、このココくんの葬式テンション。

 何があったし!

「どうしてだよ、ココ。ここはダンジョンだぜ、いざ探検だよ!」

「いや、ダンジョンだよ。ダンジョンは地下牢って意味だよ。下手に動くのは危ないよ」

 ダンジョンって迷宮って意味じゃなかったっけ?

「けどクロさんどっかに行っちゃったし……」

 どうするべきなのか?

 ん?

 ちょっと待てよ。

 そういえばミカンとポットは無事なの?

 さっき雪さんは声が聞こえたから安否の確認は取れたけど、二人は声すら聞こえてこなかった……ってそれってかなり重要なことじゃん。

 パーティメンバー7人中2人が行方不明じゃん!

「二人とも、私たちは重要なことを忘れているよ!」

 私がそういうと二人はキョトンとした顔をしていた。

 か、可愛い……

 カメラ、この状況にカメラが欲しいぞ!

「重要なこと?」

「何か僕たち忘れていますか?……あ、ポットとミカンは!」

 ココくんはどうやら気づいたようだ。

「あ、確かに!」

 リックンもココくんの声で気づいたようだ。

 二人ってそこまで存在感薄かったっけ?

 私もさっきまで少し忘れてたけどさ。

「二人とも無事ですか?」

 ココくんの声がダンジョンに響く。

 しかし二人の反応は返ってこなかった。

「リックン、ペルさん、どうしよう!」

 あ、ココくんが焦り始めた。

 可愛い。

「とりあえず私たちもダンジョン内を動いて二人を探そうか」

「そうだね。それが1番良い……ココ、どうする?」

「探そう!二人が心配だ」

 ココくんはリックンの問いかけに即答する。

 さすが男の子。

 女の子が危険に瀕しているかもしれないと思えば何だって出来るようだ。

「じゃあまずこの廊下を真っ直ぐ進もうか」

 私は剣を構える。

「そうだな、じゃあ僕とペルさんが前衛やるからココが後衛って事で!間違えても僕とペルさんに当てるなよ」

 リックンも短刀の柄を握る。

 うん、リックンも可愛いな。

 いや、私はショタならなんでも良いわけではないんだよ。

 顔が全体的に可愛い系が良いんですよ。

 リックンの場合はマフラーをいつも首に巻いてるのがかっこいいし、可愛いんだよ!

 子供っぽいかっこいいって、なんか可愛いんだよね!

「あのペルさん」

「どうしたの、ココくん?」

「まず水着からちゃんとした防具に着替えていただいても良いですか?」

 ココ君が少し顔を赤くして言う。

 あ、そういえば今の私って水着着てるんだった。

 いや、このお願いにはきっと意味があるんだ。

「どうして?」

「どうしてって……」

「ペルさんが前衛をしていると、ペルさんの水着姿が視界に入るからじゃないの、ココ?」

 おお、なるほど!

「違うよ!」

「まぁ、確かにペルさんの水着姿は凄い可愛いからね。わかるよ、ココ」

 リックンはお前の気持ち良くわかるよ、と言わんばかりにうなづいていた。

「だから違うって!」

作者より

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