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#111きものの着方

「お客様、本当に可愛いでございますわ!」

「ホント?」

「ホントですよ、お客様!ゴスロリ最高ですわ!」

「ゴスロリ?」

 どうしてこうなった。

 あれから早くも1800秒。

 僕と狼ちゃんは洋服を次々と着せ替えられていた。

 いつになったら僕と狼ちゃんは帰れるんだろう。

 さっきから店員さんがロリータとかゴスロリとかいう謎の単語を使って喜んでいる。

 というかロリータって何?ゴスロリって何?

 何か仲間に指示を出しているのか!

「お姉さん、このお洋服の次は何を来たら良いですか?」

「次はね……きものなんていかがですか?」

「きもの?」

「はい、きものです!若草色をベースに仕上げた匠の一品がありますよ。お姉さんもぜひ!」

 店員さんは僕の手を掴んで言う。

 恐怖……恐怖だよ。

 何を考えているのか全くわからないから怖いよ〜

「お姉さんには空色のきものが似合うかしら!」

「は、はぁ……あの…いつになったら帰れますか?」

「あと何着か試着してってくださいよ。お姉さんと狼ちゃん(この子)はとても可愛いので何着かプレゼントしますよ」

 ぷ、プレゼントしてもらえるのは嬉しいけど……もうお洋服着替えるの疲れた。

「お姉さん、お姉さん」

 狼ちゃんが店員さんの肩を叩く。

「どうしましたか?」

「このお洋服も着替え方がわからない……教えて欲しいです」

「もちろんです!じゃあ手順に沿って着てましょうか?」

「はい。ほら、ミケお姉ちゃんも!」

「え、僕も?」

「うん。ほら、ミケお姉ちゃん早く」

「えぇ……」

 なんで僕は今日お洋服を買いにきてしまったのだろう。

 今思い出したんだけど、雪ってお洋服作れなかったっけ?

「じゃあ説明していきますよ」

 店員さんのテンションが謎に高い。

 それにこの人が一体何を考えているかがまったく分からない。

「はーい」

「猫のお姉さんも良いですか?」

「はい……」

 なんか半強制的にきものというものを着させられるんだけど……

「まずきものを後ろにまわし、肩から羽織ります。両肩にかけてから、両腕からゆっくり片袖ずつ通します」

「できた!」

「……出来た」

「次に衿先えりさきを両手で持ちます。下から3分の1くらいの、持ちやすい所を持ってください」

 確か3分の1って1つを3つに分けたうちの1つってことだよね。

「出来た……」

「ミケお姉、3分の1くらいってどれくらい?」

 狼ちゃんが僕に訪ねてくる。

「3分の1はこのぐらいだよ」

 僕は衿先を3分の1くらい持って見えるように見せる。

「わかった……」

 狼ちゃんは僕のを見て衿先を合わせる。

 そして合わせ終わると……

「このぐらい?」

 と問いかけてくる。

「うん……」

「はい、そのぐらいです」

 店員さんが笑顔で答える。

「では次に 持った所から下全体を持ち上げ、裾線を床すれすれの長さに決めます。裾線が床と平行になるようにしてくださいね!」

「はい……」

「ミケお姉ちゃん、平行って何?」

 平行……確かに何それ?

「平行とは、二つの線が交わらないことだよ」

「じゃあ床にくっつけなければ良いの?」

「うん」

 店員さんが笑顔で言う。

 平行ってそういう意味なんだ。

 初めて知った。

 そうだ、これが終わったら帰りに本屋さんに行って『辞書』を買って来よう。

 そして日本語の勉強だ!

「こんな感じ?」

「うん、そんな感じ。次に左の脇線が体の真ん中にくるように、上前を合わせて広げます。この時、決めた位置を動かさないように注意してください。そして少し褄先を上げて下前を巻き込みます」

 僕は思う。

 この時点で何を言っているのかわからない。

 なんか脇とか褄先とかはわかる。

 けどそれ以外が点でわからない。

「ミケお姉ちゃんわかる?」

「狼ちゃんはわかる?」

「わからない」

「僕もわからない」

 僕と狼ちゃんはただ店員さんの説明に困惑していた。

「私の説明難しかったかしら……」

 店員さんは何かを考えている。

 僕の理解力が足りないせいなのか店員さんの言っていることが難しいのか?

 それすらもわからなかった。

 僕が猫だから理解できないのかな……

次回予告

ミケと狼ちゃんがきものの着方を教えてもらっている間に、ダンジョン攻略中のペル達一行にあるトラブル発生!

そのトラブルとは?

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