#110ダンジョンの壁
火山に入ってから色々あったけどやっとダンジョン攻略だ。
ダンジョン内はクロさんとリックンの言う通り幾何学的な模様や謎の文字が書かれている。
謎の文字を解読したらなんかイベント的なの起きないかな?
「クロはこの文字について何か知らないの?」
雪さんが先頭にいるクロさんに聞く。
「特に知らない。というかそっちはシロの担当科目だろ。俺に聞くなよ」
「じゃあシロの方を出してよ」
「ヤダよ。今あいつと入れ替わったら、次の角を右折したところの廊下を6歩進むんだあたりに仕掛けられているモンスタートラップのモンスターたちボコれないじゃん」
「あのモンスタートラップって何ですか?」
ポットがクロさんに質問する。
「ああ、モンスタートラップは発動させるとプレイヤーの周囲にトラップに指定していたモンスターを召喚する類のものだ。発動条件は複数あるが、大体の場合は床を踏む型が多い。さっき少し見てきたがおそらく床を踏む型だ」
色々な種類があるんだ〜
「とりあえずトラップを発動させたら、俺を呼んでくれればいいから」
「わかりました!」
ポットが笑顔で返事をする。
「まぁ、このダンジョンのモンスターの強さはあんまし強くないからちゃんと落ち着いて対応すれば死ぬことはないから」
「え、もうここのモンスターと戦ったんですか?」
「いや、まだ」
じゃあ何でモンスターの強さを判断できるんだろう。
やはりクロさん特有の野生の勘なのかな?
「じゃあどうしてわかるんですか?実際に戦ってみたら凄い強いかもしれないじゃないですか!」
ま、まぁ、その疑問は確かにわかる。
野生の勘よりもしっかりとした根拠が欲しい。
「それは至って簡単な事だ。これはどのダンジョンにも共通で言えることなんだが、ダンジョンの壁に注目してくれ」
壁?
この幾何学な模様が入った壁でダンジョンの何かがやはりわかるのか!
「この壁、まだ手触りが良いというわけじゃないが……なんか新しい感じがしないか?」
私たちは壁にゆっくりと手をつけてみる。
うん。
確かにちょっとザラってしてるけどツルってしてるところが多い。
けどこれってダンジョンの風化具合がわかるだけだよね。
「クロさん」
「どうした、ココ?」
「今していることってダンジョンのモンスターの強さとどこが関係しているんですか?」
まぁ、それは誰もが思うことだよね。
「これじゃダンジョンが新しいか、古いか、ぐらいしかわかりませんよ」
ココくんが壁を触りながら言う。
「ココは目の付け所が良いな。そこがダンジョンのモンスター、いやもっと簡単に言えばダンジョンの総合的な難易度に大きく関係するんだよ。わかるか、ココ?」
目の付け所はいい?ってことは新しいか、古いか、っていう時間が関係してる?
ココくんが珍しく頭を悩ましている。
これはレアケースだ!
「お、ココでもわからない。リックンはわかったか?」
「もちろんです!これは男のロマンですよね」
なに、これって男のロマンが関係してるの?
ど、どんなエロ漫画なの?
「だよな。やっぱこういうの実際体感できるって凄い良いよな」
わ、私の知らないところでみんながエロいことを体感しているのか!
もしかして二人は私以外の女の子とエッチなことを体感してたとかないよね。
人の目につかないところに立たせて手でゆっくり触りながら、全身を舐め回すように見たりしてるのとでも言うのか、リックン!
そして欲が限界に達したら喘ぎ声が周りに聞こえないように手で口を押さえるなど配慮をしていた……
あ、ありえないけどワンチャンありそうで怖い。
「ですよね。ほんと手触りが現実っぽくてすごく良いです」
どこを触っての感想なの?
胸とお尻どっち?
それともそれ以外なの?
「ミカンとポットはわかった?」
「全くわかりません」
とポット。
「わからないよ〜お兄ちゃんヒント!ヒントちょうだい!」
ミカンはクロさんを叩きながらヒントを要求する。
「ヒントも何もさっきの新しいか、古いか、がもろ答えなんだよ」
「だからそれだけじゃわからない!他に重要なところはどこ?」
「他に重要なところはさっきココちゃんが言った『風化』って単語だよ」
雪さんが水分補給をしながら言う。
一応、雪さんはわかったんだ。
もしかしてこの問題、私もわからないといけない問題?
というか雪さん、汗かき過ぎじゃない……
水の中に潜ってないのに潜ったように濡れてきてるじゃん。
なんかそれがとてつもなくエロい。
雪さんの身体が水(汗)によって際どさを増している!
エロい、とてつもなくエロいよ、雪さん!
「ねぇ、ココくん、風化って何?」
ミカンがココくん質問する。
ココくんはミカンを見て話しているように見えるが、ミカンの後ろ壁の方に意識がいっているようだった。
ま、まぁ、こうなるよね。
水着の女の子を直視なんて紳士なココくんにはできないよね。
しかしパーフェクト紳士なココくんは相手が目を見て話しているように見せている。
上手いな。
「風化とは、岩石が長い間空気にさらされて崩れる現象だよ」
「そうなんだ……私わからないや」
ミカンは完全お手上げのようだった。
ポットもしばらく考えたが答えは出なかった。
ココくんもポット同様……
「ん〜わかりません。クロさんどういうこと何ですか?」
「結局わからないか……やっぱ頭がいいだけじゃ現代社会では生きていけないぞ、ココ。今の時代、アニメ文化とかゲーム、サバイバル系統に触れてなさすぎだな。ペルは結局わかったか?顔がさっきより赤いけど大丈夫か?」
急に私に振ってきた。
というか私、今顔赤い。
いや、確かにエッチな想像してましたよ。
クロとリックンの会話の構成から!
性欲抑えきれない男子の会話から想像しましたよ、色々と。
だからって顔が赤い私にそれを聞くのは野暮だと思うな、うん。
「わ、私はわかりましたよ」
とりあえずエッチなことを考えてたと悟られないように振舞うのだ。
「おお……流石」
クロさんがこれは知ってて当たり前だろ……って顔をしながら私の方を見ている気がした。
「じゃあペルさん説明をお願いします」
ココくんが私の後ろの壁を見ながら言う。
「ココくん」
「はい」
ココくんはニコニコしながら私の説明を待っていた。
これは教えるべきか、まだ小学生には早過ぎる気がする……
あ、じゃあ私がココくんのために一肌脱げば良いんだ。
よし、今夜はココくんを寝かせないぜ!
「ココくん、そういうことは私が後で二人っきりの…じ、実践形式で教えてあげるから今夜私の部屋においで!」
「あの……ペルさん。この問題に実践形式なんてものは存在しないんだが……」