#104しゃぶしゃぶだ!
「召し上がれ!」
「「「おお!」」」
鍋の蓋を開けるとなんとそこにはしゃぶしゃぶだ!
しかし蓋を開けた瞬間、鍋は戦場となる。
しゃぶしゃぶというのは食べ物の名前でもあるが、それと同時にスポーツの一種と言っても過言ではない。
鍋に浮き沈みしている野菜とお肉を瞬時に判断してお肉をゲットして美味しくいただくというスポーツ。
このスポーツにタイムなんて存在しない。
何故なら、このスポーツは誰しもの人格が必ずしも変化するのだから。
「ホントにしゃぶしゃぶだ!」
リックンが鍋の中から白くなったお肉を掬って目をキラキラさせて言う。
「ホントにって疑われてたのかな僕……」
皙さんが苦笑いをしながら言う。
「いや、お昼に肉を食べられるか?っていうところから疑問に思ってました」
「そ、そこからか……」
「お肉好きなんだね」
美香ちゃんも笑顔で言う。
「うん、だってお肉美味しいじゃん」
リックンは野生児でいいのう〜
それに比べてココくんは見た目に反さない草食系ショタだからお肉は食べず、キャベツやニンジンなどを食べている。
女の子は疎かお肉まで食べないとは……
「ココくん、お肉食べないの?取れないなら私の分あげるよ」
私はそう言って鍋の中からお肉をゲットする。
「いえ、取れないんじゃなくて普通に野菜の方が美味しいです」
ココくんが笑顔で言う。
こ、このヒグマはお肉の味に感動せず、お野菜の方に感動しているのか!
だがしかし、それを覆して汚して行くのがまた良いではいないか!
「ココくん、しっかり食べないと大きくなれないよ」
「けど僕はお野菜の方が好きで……」
「じゃあペルお姉さんが特別にアーンしてあげよう。仕方がない……ココくんは甘えん坊さんなんだから」
私は瞬時に感じた。
この空間にいる女性全員の殺気を……
みんな表面は笑顔で会話しているが、内側では呪わんばかりの恐怖の形相で睨んでいるように感じる。
「ち、違いますよ!」
違くなくても違くてももう遅いわ!
私は箸で掴んだお肉をココくんの口元に運ぶ。
「ほら、早くしないとタレが垂れちゃうから」
「え、僕は良いですからペルさん食べてくださいよ」
「早くココくん!Hurry up!だよ」
「え、あ…はい」
ココくんは私の箸からお肉を食らう。
ウフェッヘッヘ……計画通り!
これで間接キスだ〜
(雪)『ペルちゃん呪う。呪殺…呪殺しないと…藁人形だ。そうだ、今日中に藁人形を作って杉の木に打ち付けて呪ってやる』
(ポット)『ペルさんの胸縮んじゃえ!太って肉ダルマになっちゃえ!なにか…なにか影響力の強いアイテムはないか………藁人形!』
(美香)『私のココくんにか、間接キスを…何かに呪われればいいのに!そうだ、藁人形を作ってペルさんを呪い殺してやろう……』
なんかさっきより殺気が増してる気がする。
あ、さっきより殺気が増してる……
唐突にできたダジャレ!
「ココくんもう一口いる?」
私はココくんに聞く。
ここで餌付けに成功すればいずれは私を餌にできる!
「い、いやもういいです。あと僕はお肉で……」
「ペルちゃん、ダメだよ。ココちゃんはお姉ちゃんのお肉じゃないと我慢できないみたいだから!私が夜中しっかりとその役割を果たすから安心して!」
なんか急にエッチなネタ出てきた……
「雪姉さん、僕もういらないからお肉。お昼がお肉だったので夜は魚が食べたいから魚にします」
あ、普通に回避されてる。
「私…私…私…」
「ゆ、雪さん?」
「ココくんにフラれた〜」
それはそうでしょ!
純粋な思考の持ち主のココくんにはエッチなネタなんてわからない。
だから普通に夕食の会話だと考えるに決まっておるだろうが!
「ココくんは最後にしゃぶしゃぶを食べたのはいつですか?」
ポットがおいおいなく雪さんを無視してココくんに質問をする。
「えっと…いつだろう……」
「多分去年の11月だね!」
雪さんはそう言いながら開き直ると鍋の中からお肉だけを正確に掬い上げていく。
ば、爆食いが始まった!
「そうなんだ〜じゃあココくんはお肉料理で何が好き?」
「お肉料理ですか?」
「うん!」
ここは重要ポイント!
これはいずれお家に招き入れた時に作ってあげればココくんの心を鷲掴みにできる!
ココくんは少し考えてから笑顔で答えた。
「ハンバーグかな」
よし、ハンバーグ練習しよう。
ハンバーグの調理スキルだけをスキルMaxにしておこう。
「ハンバーグなんだ」
「うん。デミグラスソースのあの味がなんとも言えないほど美味しいよね」
「そうだね。けど私は和風ポン酢の方が好きかな」
なんかかけるものも重要そう。
ココくんは私と同じデミグラスか。
なら味の再現はできる!
「ココくん、ココくん」
「どうかしたの美香さん?」
「じゃあ私からも質問いい?」
この改まってから質問しようとする感じはなんだ?
何か新たなる発見がありそうではないか。
「いいよ」
「じゃあ言うね」
美香ちゃんが笑顔で言った。
そう、この後戦争が勃発しかねない質問をした。
「ココくんが彼女にするんだったら私とポットと雪さんとペルさんの誰がいい?」
………………………
ハッ!
なぜ食事中にそんな事を聞くの!
展開的におかしいでしょ。
ここはこうもうちょっと普通の質問をしようよ。
いずれ誰かが言うとは思っていたけどこんな時にこんな状況で撃ってくるとは美香ちゃん相当自信があるとでもいうのか!
「彼女ですか?」
「うん」
美香ちゃんが笑みを浮かべて質問をするが和室には一瞬で冷たい冷気が立ち込めた気がする。
「僕の好きな人ですか?」
「お、ココに好きな人がいるのか!」
お鍋の中に意識の行っていたリックンがお鍋の中から強制帰還させられるレベルの質問らしい。
「ココよ。普通の男ならペルさんを選ぶのが正解ルートだぜ!」
リックンがニヤニヤしながら言う。
流石、リックンは分かっている。
「だって平均より少し大きい胸に猫耳と尻尾の女子高校生が選択肢にあるのなら迷わずそれを選ぶ。それが世界の常識だ…ココ!」
リックンの思考は一般人レベルなのではないか!
確かに私は雪さんに劣っていても一応後の二人より胸は大きいしスタイルも良いはず。
それに今の私は猫の獣人。
だから負けることは絶対にない!
「僕は……特にそういうこと考えないかな………」
「ココよ。その回答はどの女子にも属さないから平和だが、感想を言われないのはないぞ。感想を言え!一人だけモテやがって!」
リックン……君は何から何まで私の理想を実現するために動いているのか!
私の望んだ通りに動いてくれる。
「感想って言っても僕なんかが評価しちゃダメだと思うんだけど」
「じゃあ大雑把でいいから」
「大雑把な感想?」
「ああ!」
さぁ、来い!
我がラブコメルート!
「普通に可愛いと思う」
「誰が?」
「全員」
次回予告
ついに皙さんの存在が明らかに!
それは誰もが一度は聞いたことのあるような病名だった。
作者より
※期末の結果が低すぎてショックのためワガママを言い出します。
描いてみた系のイラスト欲しいです。
なんか有名な小説って〇〇の〇〇を描いてみた!とかあるじゃないですか。
だから私もそういうの描いてもらいたい。
ということで猫愛好家がVRMMOに猫を連れてきました!〇〇を描いてみた!のイラストを募集します!
制限としては立ち絵が配信されているキャラクターを元に書くこと。
あと最低限隠すところは隠すこと!かな。
それで小説内のワンシーンでも想像で描いたワンシーンでもオッケーです。
とても上手なイラストは実際に小説の挿絵として使わせて頂くかも!
なので……あ、応募方法どうしよう………
そうだ!
応募はTwitterにて募集します。
応募方法は『猫愛好家がVRMMOに猫を連れてきました!(ここに描いたキャラクターの名前を入れてください)を描いてみた!』を一番最初に打って、イラストを貼ることです。
使用する時は私がそのツイートに許可を取りに連絡します!
それではこれからも猫愛好家がVRMMOに猫を連れてきました!をよろしくお願いします。
※しっかり書いたものは山田小雪でツイートしてます。