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よみがえる記憶

 前世、私は日本の山あいにある小さな町で、巫女の家系に生まれた。

 日の神さまと、水の神さま。

 農業の要となる二柱の神様に、季節ごとの舞を奉納する事が、我が家の女性に代々伝わる勤めだった。


 本家の跡取り娘だったお祖母ちゃんは女の子には恵まれず、お神楽の演奏を担っていた分家筋からお嫁にきたお母さんや、叔母さんたちが辛うじて伝統を受け継いでいた。

 そんな中で、六十年ぶりに生まれた本家の娘。それが私だった。


 お祖母ちゃんは、自分の全てを私に受け継がせようと、乳離れが済んだ頃から私を手元に置いて、巫女になるための“英才教育”を施した。

 アニメやマンガ、絵本といった子どもらしい楽しみに触れることはなく。

 童話の代わりに日本神話。手遊びは舞の仕草。オモチャのラッパの代わりに篠笛を吹いて、私は育った。


 幼い頃は、周りの子も保護者たちも、「将来の巫女さんだから……」と、私をそれなりに受け入れてくれたけど。

 少子化と過疎化。そこにいわゆる“平成の大合併”までが重なって、私が小学五年生の年に近くの中学校が廃校になった。そのせいで隣町の中学校までバス通学をするようになると、周りの空気がじわじわ変わっていく。

 土着の信仰が存在しない隣町に、我が家のような巫女は一人もいなかった。



 流行という名の常識を知らない私は、同級生の大半から“異質な存在”とされた。

 異質な存在は、やがて“話の通じない愚か者”になり。

 クラスメートの輪から、排除される。


 そして、家の中でも。

 私が一人前に奉納の舞が舞えるようになった頃、お母さんが体調を崩した。

 お祖母ちゃんに“用済み”扱いされるようになったのが原因だと、思春期を迎えた弟が、暴力の形でお祖母ちゃんに怒りをぶつけて。足を折ったお祖母ちゃんが寝込む事態を引き起こした。

 そんなお祖母ちゃんの介護をしながら、さらにお母さんがやつれていって。

 『家事の手伝いすらできないお前は、母さんの重荷でしかない』と、弟の憎しみが私へと向かってきた。


 私さえ居なければ……。

 私が居る必要性なんて……。


 発作的に飛び降り自殺を図った私は、それでも。

 最後の瞬間に、後悔をして。


 生きたい、と願った。



 脳裏に浮かんだ光景に前世の全てを思い出した私は、冷たい石の床へと正座する。

 また、あの後悔はしたくない。


 死にたくない。

 生きたい。

 生きていたい。


 握り拳で、涙が滲んだ目を擦る。

 自分から死んだりなんか、するものか。



 ガタつく卓に置かれた食事を摂る。

 今までになく、柔らかいパン。椅子もちゃんとある。

 ゆっくり、そしてしっかりと噛みしめる。

 負けるもんか。

 負けてなんかやるものか。



 お昼ご飯を食べ終えて、壁際の寝床で膝を抱えて座り込む。

 靴下を履いた爪先を眺めていると、午前中のアレコレが頭に浮かんできて。

 くわーっと、意味のない叫びを上げて、頭を搔きむしる。

 記憶を、消し去りたい。

 無かったことにしたい。


 死に……たい。


 過ぎった考えに、頭を振る。

 ダメだ、ダメ。

 それは考えたら、ダメ。


 他のことを……。


 そうだ、歌。精霊の木に捧げる歌。

 あー。試験、どうなるのだろう。受けさせてもらえるのかな?


 ここまで来て。

 あんな恥ずかしい思いまでして。

 受けることはできません、なんて……ひどいよね?


 そんなことになるなら、

 いっそ……死……。


 ああまた、ダメだってば。

 

 考え事をしては、いつの間にか“死”に引き寄せられて。

 我に返っては、また、考え事を始める。


 窓の外で手招きしている“死の誘惑”と、力比べをしているうちに、いつしか私は前世の舞を思い出そうとしていた。


 手の動き、足の運び。

 脳内再生される笛の音は

 壊れたレコードのように

 同じフレーズを繰り返す。



 なんとなく、日の神さまへ捧げる舞の一部分が思い出せて、広くもない室内で試しに舞ってみているところに、夕食が運ばれてきた。

 お盆を運んできたのは、昨日とは違う人で。ドングリ目と顔を合わせずにすんだことに胸をなで下ろしている私を、呆れたような顔で見ると、卓に置いたままだったお昼の食器を下げていった。

 代わりに置かれた夕食は、ほのかに湯気の立つミルク風のスープと、パンが一つ。それから昼に食べ残したリンゴの半分。

 今夜のパンもやっぱり固かったし、灯りを持っていかれてしまった部屋の中は、食べている間に薄暗くなってきてしまったけど。

 温かいスープに、胸中で固まった何かが溶けたような気がした。

 


 固い寝床でこの日も眠って。

 翌日の朝ご飯を届けにきたのは、また。ドングリ目の彼だった。

「生きてた、か」

 扉を開けてすぐ。吐息交じりの一言に、唇が尖る。

 生きていたら、悪い?

 何か、文句?


「生きていればこそ、先も開ける。死んだら、そこで終わりだからな」

 そう言いながら彼は、持ってきたお盆を卓に置く。そして、代わりに昨夜から置きっぱなしになっていたお盆を取り上げると、

「しっかり、食え」

 と、笑った。 


「ま、言わなくっても、食うか。残して捨てられるのは、嫌なんだもんな」

 どこかやっぱり失礼なことを言って、部屋から出て行く。

 完全に扉が閉まったあと、思いっきり舌をだしてやった。


 いぃーっだ!



 午前中は、また部屋で独り過ごす。

 古代文字を宙に書くことで、水の神さまと日の神さまに呼びかける。舞の始まりと終わりを区切る、そんな手の動きを思い出して、練習をする。

 少し、たどたどしいかな。

 今度は、右側に歪んだ。

 そんなことを考えながら、書いては消すを繰り返す。

 

 

 無心に練習を繰り返して、お昼がくる。

 午後には、お昼ご飯の食器を下げにきた人が、桶にお湯と洗い晒しの布を持ってきて。

「これで、体を清めておくように」

 と、頭から足までをジロジロ見ながら言った。

「はぁ」

 いったい、何ごと?


「歌君の試験を受けろ、とのことだ」

 思わぬ言葉に、息が止まるほど驚いた。

「受けられるの?」

「受けさせて“いただく”、んだ」

 間違えるな、と怒鳴られて、首を竦める。



 旅の汚れで、すぐにお湯は真っ黒になってしまったけど。

 それでもやっぱり、気分的にもすっきりして。昨日、返して貰った形見の櫛で、髪を整える。服も着替えた。

 迎えに来た二人に、前後を挟まれるようにして、部屋を出る。

 何も言われなかったから、荷物を詰めたカバンも背負って。

 私は二日間を過ごした建物を、後にした。



 長い長い塀沿いに、しばらく歩く。途中で門らしきものを二つばかり通り過ぎて、角も二回曲がったところで、足を止めた前の人が、門番のような人と言葉を交わして。


 大きな門が静かに開いた。


 いよいよ、だ。


 緊張で渇いた口で、絞り出すように唾を飲み込む。

 震えている気がする足で、門の中へと一歩を踏み出す。

 

「ユリア!」

「村長さん!」

 両側に五色の精霊木が植わった小道を辿るようにして、たどり着いた建物の玄関口には、村長さんがいた。

「無事だったか? ひどい目には?」

 縋り合うようにして、互いの無事を確かめる。

 村長さんは頬に殴られたような痣があったけど、『たいしたことはない』と、首を振ってみせた。


「時間だ。行くぞ」

 後ろの人に軽く小突かれて、村長さんから手を離す。

「ユリアなら、大丈夫。頑張っておいで」

 そう言って手を振る村長さんに頷いて見せて、開かれた扉の中へと向かった。



 連れて行かれた部屋には、青い袖付きのストールを纏った女の人が三人座っていた。

 死んだ母の年ごろに見える、向かって左側の人が一番若くって、右側の人は髪の大半が白くなっている。そして、そんな二人に挟まれるように座っている真ん中の人が、そのちょうど中間の、四十歳くらいの年齢に見えた。

 

 半円状に座っている彼女たちと向き合う形で、一つだけ置かれた椅子に、言われるままに腰を下ろす。

 なんとなく、昨日のやり取りが思い出されて。きゅっと胃が縮む感じがする。

 昨日とは違って、縛られてはいないけど。


「初めまして。ユリア、ね?」

 正面の優しそうな人の確認するような声に、ためらいながら頷く。

 清浄としか形容の出来ない声は、不可侵の響きを持って。

 私ごときの声で汚すのが、憚られた。


「緊張しているのかしら?」

 右側の初老の人が、そんな私を見てクスクスと笑う。

「簡単な試験をするだけだから、心配しないでね」

「は、い」

「じゃあ、少しあなたのことを聞かせてもらえる?」

「はぁ」

 さあ、始まる。


「では、水の媛さま。どうぞ」

 真ん中の人を促すように、右側の人が声を掛ける。

 “水の媛”って、なんだろう?  

 内心で首を傾げていると、真ん中の人が膝の上に置いていた紙を手にとる。

 ゆっくりとしたやり取りで、名前や年、家族構成などを聞かれた。 


「じゃぁ、最近はずっとあなたが、お家のことを?」

「はい」

「一緒に住んでいる……お祖母様とかは……」

「居りません」 

「そう。大変だったわね」

 真ん中の人が頬に手を添えて、ため息をつく。

 その爪は、鮮やかな青色に染められていた。



「そろそろ声もほぐれた?」

 そう言って立ち上がった右側の人が、私の横までやって来て軽く肩を叩く。

 近くで見ると、青一色に見えた彼女の上着にはグラデーションが施された糸でびっしりと、水の流れを思わせる刺繍が施されていた。 

「一度、歌も聞かせてもらうわね?」

「はいっ」

 慌てて立ち上がる。

 私とほぼ同時に立ち上がった左側の人が、三カ所の窓に掛かっている帳を順番に下ろしていった。

 

「水の媛さま、準備が整いました」

「ありがとう。(そえ)の媛」

 どうやら、正面の人の名前が“水の媛”らしい。

 “副の媛”さまの言葉に頷いた水の媛さまが、私の方へと向き直る。

 正面の三人が姿勢を正したのを見て、私の背筋も伸びる。


「ユリア。さあ」

 どうぞ、の言葉とともに、水の媛さまの手が差し招く。

 体の奥から、呼ばれた歌が溢れだす。



 丸々一曲分、精霊木に捧げる歌を歌って、息をつく。

「伸びのある、良い声だわ」

「ええ、本当に。練習で、さらに良くなりそう……」

 年長者の二人は、誉めてくれたけど。手放し、の感じではなくって。

 何かすっきりしない雰囲気が、彼女たちの声に混ざる。


「あの……」

 恐る恐る声をかけると、右側の人に

「まあ一度、お座りなさいな」

 と、椅子を指さされて、大人しく腰を下ろす。彼女の爪も、青い色。


 水の媛さまから何事かを耳打ちされた副の媛さまが席を立ち、部屋の隅に置かれた卓で飲み物の支度を始めた。

 

「先代が言われるように、ちょっと休みましょうね」

 そう言った水の媛さまへと、副の媛さまがお湯飲みを渡す。

 次に副の媛さまがお湯飲みを差し出された最年長の方は、“先代”。つまり、かつて水の媛だった人、らしい。 

 その後、私にも良い香りのするお茶を下さった副の媛さまは、席には戻らずに、そのまま部屋から出て行った。



「結論を出す前に、相談相手を呼びにやらせているから、少し待ってくださる?」

「はぁ……」 

 水の媛さまの申し訳なさそうな声に、どう返事をしたものか少し戸惑って。

 どこか中途半端な返事をした時。

 静かに扉を開けて、副のさまが戻ってこられた。



「ありがとう。副の媛」

「少し、お待ちを、と」 

 短い会話を水の媛さまと交わした副の媛さまが、改めて椅子へと座り直す。

 自分の分のお湯飲みを手にしたその爪も、青で彩られていた。



「お茶を飲む間に、ユリアから質問があれば、答えましょう」

 両手でお湯飲みを包んだ先代さまに言われて。ずっと気になっていたことを尋ねる。

「一昨日、私は何をしてしまったのでしょうか? 精霊木は?」


 三人が目と目で相談して。

「まず。この神殿の核をなすのは、“精霊樹”です。木ではなく、樹です。それを覚えてください」 

「はい」

 固い口調で副の媛さまが話すのを、洩らさず聞こうと体全体が耳になる。

「その周りでは、精霊木の苗が実生から育てられてます」

 多分、村にあった精霊木の兄弟になるのだろう。

「歌を捧げるべき精霊木をもたない、神殿の近隣に住む女性たちは毎年、新年に苗を買い求め、それぞれの家で苗木に歌を捧げるのです」

 なるほど。確かに、都の精霊木は神殿に在るわけだから……。


「そして、彼女たちの手で一年間育てられた苗は……」

「副の媛。その説明は、後でいいわ」

「あ、はい」 

 先代さまに窘められた副の媛さまの頬に血が上る。


「青の精霊樹が昨日、花をつけました」

「あの……ええっと?」

 青い精霊木は、年に二回の雨期に花を咲かせる。

 土の季節と草の季節の合間の“温の水月(ぬるみのみずつき)”、火の季節と風の季節の合間の“涼の水月(すずみのみずつき)”の二回。


 涼の水月は先月だったから……再び花が咲いたなんて、狂い咲きにもほどがある。


「そして一昨日。あなたは、広場で歌君と一緒に歌った」

 うわ。

 薄々、そうかとは思っていたけど。

 やっぱり……やってしまっていた。 


「あなたの歌に、精霊樹が激しく震えました。そして周りの苗が、ことごとく萎れました」

「精霊が怒った……のでしょうか?」

 枯れてはない、のよね? この言い方だと。 

「どうかしらね? それは、精霊にしかわからないわ」

「ごめんなさい」

 水の媛さまの淡々とした言葉に、謝るしかない私は、手にしたお茶を零さないように気をつけながら、できるだけ頭を下げた。


「水の媛さまも。意地悪はそのくらいになさいな」

 先代さまが笑いを含んだ声で言う。

 意地悪をされていたの?

「昨日、あなたと、あなたの後見人は」

 言いかけた副の媛さまが少し考えて。

「あの……まだ推薦人、でしたか?」

 と、年長者を伺う。肯定の返事に彼女は

「あなたの推薦人とあなたは、精霊の裁きを受けて」

 言葉を選び直した。

 つまりは、私と村長さんの意味だろう。


 それはいいとして。

「裁き、ですか?」

「精霊木の実を、飲んだでしょう?」  

 先代さまからの答えに、胸が苦しくなる。

 マーシュのお守り……。


「乾いた精霊木の実を砕いて水に溶かした液は、飲んだ人の罪を測ります」

 副の媛さまの説明が続く。

「精霊の許しがなければ、その人は死にます」

「死に……」

 前世の最期が、脳裏を過ぎる。

「一日経って、あなた方は生きている。つまりは、精霊に許された」

「だから今日、私は試験を受けさせてもらえた?」

 掠れた声で尋ねると、三人がそろって頷いた。


 そうか。

 私は、許されたのか。


 死の誘惑から私を引き留めた、前世の記憶に何重も感謝を重ねる。



 その後もささやかな質問に、答えてもらいながら時を過ごす。

 三人の青い爪は、人工的に染められているのではなく。精霊からの神託で“副の媛”、つまり“次代の 水の媛”に選ばれた時に、その証として表れるらしい。

 そして、死ぬまで色が抜けることは無いとか。

「死んだ後も精霊の伴侶として、永遠の時を過ごすのです」

「私達の死は、『精霊の花嫁になる』と言い慣わされているのよ」

 年若い二人の言葉に、

「随分と、薹の立った花嫁ですけどね」

 と、先代さまが苦笑する。



 三人が着ている衣装について質問をしようとしたところで、控えめなノックと共に扉が開く。

「お待たせいたしました」

 水の媛さまより硬質で。

 でも、同じように聞き惚れる声の人は、赤い衣装を身に纏い、副の媛さまより少し年上に見えた。


 彼女は、“火の媛”さま。一緒に来られた方は、“火の先代”さまらしい。

「我々では、どうにも判断がつきませんで。ご足労をおかけいたした次第で……」

 立ち上がった水の媛さまの言葉に

「こちらこそ、貴重品な経験をさせていただくわけですから。お気になさらず」 

 火の先代さまが、朗らかに応える。



 挨拶が交わされている間に五脚に増えた椅子に、それぞれが腰を下ろす。

「ユリア。もう一度、歌ってくださる?」

「はい」

 空になったお湯飲みを副の媛さまに預けて、立ち上がる。

 息を整えて、歌い始める。 


 一通り歌った後。火の先代さまから口伝えで教わりながら、火の精霊への歌も歌ってみる。

 水の媛さまから労いの言葉をかけていただいて、椅子へと座り直すと、新しいお茶が副の媛さまから渡された。

 喉を潤す私の前で、話し合いが始まった。


 もれ聞こえる話によると、私の歌声には“火の要素”が混じっているらしい。でも、それは“水の歌”を歌う時にだけ現れる。

 村の雑多な音に揉まれた精霊木なら平気だった私の歌声だけど、長年、歌君の繊細なまでに整えられた歌のみを糧にしてきた精霊樹にとっては、衝撃的すぎたらしい。

 そんな私の扱いについて、火の媛さまたちの意見を聞きながら、水の媛さまと先代さまが話し合いを重ねている。副の媛さまは、記録係らしい。



 やがて五人が頷きあって、座り直した。私も居住まいを正す。

「ユリア」

「はい」

 水の媛さまの静かな声に、ドキドキしながら返事をする。

「あなたが歌君になるのは、普通の人より大変かもしれないのね。でも、このまま村に帰ったとして、村の精霊木に影響が出るようなことになると、問題なの」

「それは、火の要素が……」

「聞こえていましたね?」

「はい」

 盗み聞きみたいだったかな? と思いながら頷いた私に、水の媛さまと先代さまが目を見交わす。

「火の要素を抜くことができれは、一番いいのですけど」

「は、い」

「難しいかもしれないの。頑張れる?」

「はい、頑張ります」

 前世、頑張りきれなかった。今度は。今度こそは。 

 乗り越えてやる。


 決意を込めた私の返事に、水の媛さまはふわりと笑って立ち上がる。


 大きく両手を広げた彼女は、私の顔見つめて。

 厳かな声で言った。


「ようこそ、水の館へ。私達は、あなたを歓迎します」

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