2話 俺、結局死んだんだ...
なんだ...?
体が浮いている感じ...。真っ暗だ。
俺、死んだ...?確か強盗に襲われかけて...。
いや、違う。確かオッサンが助けてくれて......。
「あのー...」
声が聞こえる。誰だろう。
女の人の声...か?
あ、 明るくなってきた...。おっ、だんだん視界が...
気づいたら目の前に声の主らしき少女が椅子に座っていた。
「あのー、聞いてます?
さっきから死んだ魚の目をして見つめてきて、なんか気色悪いんですけど。」
なんだこいつ、っていうか、
「ここどこだよ。」
「はぁー!? あんた死んだ自覚ないの?」
えぇぇぇ!?いつだ!いつ死んだオレ!ってことはここ天国!?
「ここは冥界よ。ったく、これだからどうしようもないバカはきらいなのよ。なんでこんなやつ転生させなければならないのよ。」
んだてめーさっきから人を馬鹿にしすぎだろ!俺がなにした! って、転生??
「お前、誰?」
「私は冥界の人事部担当女神のエリスよ。」
人事部って...なんか世界観壊れる。
「9月16日午前2時にあんたはキャバクラ帰りに強盗に刺し殺されてここにいんのよ!思い出した?」
「まて、それ俺じゃないぞ?」
「はぁ? あんたの名前は、苅谷なおと、でしょ?」
「誰だよそいつ。俺は八洲樹だ!」
「えっ...、うそ...間違えた...?ってことは私、こいつ殺したの...?」
おーい、女神さーん、顔青くなってまっせー
こいつ死んでもない人間を冥界に呼び出しやがったのか?
「おいコラ、俺どーなるんだよ!まさかこのままってことはないよな? ん?」
「い、いやー、ちょっとね、ほ、ほら、あんたもたまにあるでしょ。間違えて殺っちゃったーとか」
「いや、ねぇえよ!あるわけねぇだろが!!お前人の命なんだと思ってんだよ!」
「ちっ、うっせぇな...いいだろうが、殺したぐらい。」
「いやよくねぇだろが!いいわけねぇだろ!てか逆ギレかよ!お前、お客様サービスセンターにクレームいれるぞ!!」
そんなもんねぇか...
「いやっ、それだけは、ねっ?」
ってあるのかよ。ますます世界観ぶち壊しだよ。
まぁいいや、いやよくはないけどね
「で?俺はどうなるの。お前の今までの反応みてたら帰れないことは想像つくけど...。」
「まぁ、もといた世界には帰れないけど、異世界に転生ってことはできるわよ。」
なるほど異世界ねー
「なんか特別な力とかスキルくれんの?」
「ほんとはだめなんだけど、その...お詫びってことで...。だからこのことは言わないでよねっ!」
隠蔽しやがったよ。でもマジか!これで俺も異世界で勇者デビューか!?
「それじゃ、詳しいことは現地で聞いてね!転生開始っ!」
えっ?まだ、なんも――
「きいてねぇぇええ!!」