1話 異世界転生は突然に
人間とはこんなにも脆いものなのかと改めて実感する。
一瞬だった。刃物を持った男が近くのコンビニから飛び出し、店先を歩いていた俺、八洲樹に突っ込んできた。
街灯に照らされ銀色に輝く刃が迫ってくる。逃げなければ......脳が警鐘を鳴らしている。
だが体が反応しない。
「どけゴルァァァ!!!」
男の怒鳴り声が迫る。そのときだった。
ほかの誰かに体を突き飛ばされた。硬いアスファルトに打ち付けられた体が軋み、うめき声をあげる。
苦痛に目を細めるが、目の前の出来事を目にした瞬間痛みすら忘れていた。
紺のスーツを着たオッサンが立っていた。しかも刺されて...そして男は走り去っていった。
オッサンが倒れこむ。突然の出来事に理解が追い付かない。どこぞで見た安っぽいドラマのワンシーンみたいだ。だがそんなことを言ってる場合ではない。
足元に血溜まりが広がっていく。
夜中の路地で突如起きた目の前の凄惨な光景に頭が真っ白になる。
やばい......本気でやばい、救急車呼ばないと...。
てか、なんで俺へたりこんだまんまなんだ...。
腰に力がはいらねぇ。
改めて己の小心ぶりを痛感する。
どうにかこうにかオッサンのところまで這っていった。
背中の刺し傷からは、とめどなく鮮血が流れ出ている。
オッサンはもうほとんど息をしていない。
「おい! しっかりしろオッサン!」
急いで119番に電話する。
それにしても、すごい出血の量だ。もう助からないだろう。
そして電話がつながった。「あのっ、もしもし...」
その瞬間、俺の意識は暗闇へと落ちていった。
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初めて小説書きました。文章書くことにあまり慣れてないです。
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