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記憶を失ってしまったわたしが過ごす日々  作者: 蛍火 翠
ミーナ幼少期〜魔力測定〜
12/12

魔力測定〜2人の闇〜

「では、説明させていただきます」

「はい。お願いします」

…前話でのいろいろなことを終え、やっとディーさんの説明を聞くことができます。


はぁ、レイ君たら、なんでいきなりキスなんか…

…いえ、今は考えないようにしましょう。

ディーさんの説明をきかなくては!


「一般的に、人1人が持つ魔法属性は1〜3つ程度です。それこそ4以上なんて、滅多にいないんです。ましてや、貴女の様に精霊が見えたり、魔力がはっきり見える人なんか、すごく稀なんです。魔力が見えるだけの(・・・)人自体はそこにいる王子とかついでに王女様、私の様にいますけどね。あくまで見えるだけならですが」

「セリちゃんも魔力見えるんですか?」

「ええ。そこまではっきりは見えませんけど」

「セリアも俺も色が判別できるくらいだ。ミィみたく、そんなにはっきりは見えない」

「そうなんですか…」

「…色が判別できるくらいで充分に規格外です。魔力が目に見える人の大半がぼんやりとしか見えませんよ。私はぼんやりとしか見えません」

ふぅん…わたしは一般とは遠いんですね。


「あと、属性の位についてはわかりますか?」

「はい。お父さまから少し聞いています。確か、火・水・風・地が下位、氷・雷・光・闇が上位、そして、聖と暗黒が最上位でしたっけ?」

「ええ、その通りです。その下位、上位、最上位の中の魔法でも、更に初級、中級、上級、そして、大規模魔法という風に位が付いています。で、問題はその最上位属性の聖なんですが…」

「たしか、聖の魔力は白、わたしの適正にありましたけど…」

「えっ!?」

わたしが聖は適正にある、と言った瞬間、セリちゃんが音を立てて立ち上がりました。


「どうしました…?」

「どうしたじゃないですわ。ミィの適正に聖属性があると言うのは、本当ですの?レイヤ」

「ああ。俺はこの目でミィの魔力を見た。この色の判別ぐらいしか出来ない俺の目でも白い魔力がはっきりと見えた」

「レイヤの目でもはっきりと…!?それは、驚きですわ…」

「え、な、何が…」

「ああ、すまないな、ミィ。説明する」

レイ君は何も知らないわたしにわかりやすく説明してくれました。


「今現在、リーゼル王国には聖属性魔法、強いては、最上位属性魔法を使える人はとても少ないんだ。下手をすると、何百、何千万もいるこの国に100人いるかいないかってところだな。それに、上位属性魔法を使える人もそこまでいないぞ」

「ええっ!?」

「最上位属性でも、圧倒的に暗黒属性の方が多いんですわ。だから、聖属性は貴重なんですの」

「ひぇ〜…」

「ついでに言うと、他国にも最上位属性魔法を使える人は少ない。だから、自国以外から最上位属性魔法を使える人間を無理矢理引き抜く国もある。ミィは引き抜きなんかさせないけど」

「ええ。付け足しますと、引き抜きの例は嫁がせることですわ。戦争中に和平と引き換えの条件にした国もあったそうですわ。ミィはレイヤと婚約してますけど、狙う輩もいないとは言えませんわ。無理矢理婚約を破棄させたりして…ね」

「婚約を、無理矢理…?」

「ええ。婚約を破棄せざるを得ないことをして。例えば…婚前の女性の純潔を奪う、とかですわ」

「…っ!」


セリちゃんが放ったその言葉にわたしが震えると、レイ君がわたしを強く抱き締めます。

レイ君に抱き締められるのは緊張しますけれど、なんだか落ち着きます…

わたしがレイ君に身を委ねると、レイ君はわたしを抱き締める腕に力を入れます。

そうしてわたしが落ち着くと、セリちゃんが話を再開します。


「王族、特にレオ兄様の様な王太子の婚姻には女性の清らかさが求められる場合が多いです。ですから、純潔を失った女性は婚約を破棄せざるを得なくなる。中には、それでもいいと言う方もおりますけれど、だいたいは婚約破棄するしかないですから、意思は関係なしに純潔を奪った方に嫁ぐぐらいしか、方法はないんですのよ……!」

「・・・」

セリちゃんは、険しい顔で、そう言いました。

どうして…そんな顔をするの?

まるで…自分の事の様に。

戸惑ってわたしを抱き締めているレイ君を見上げると、レイ君もセリちゃんと似た顔をしていました。

どうして…?


「セリちゃん…?レイ君…?」

わたしが声をかけるとセリちゃんとレイ君は、はっとして困った様に笑います。


「…ごめんなさいね、ミィ」

「ううん。…何か、嫌な事、言わせちゃったかな…?」

「…いや、それはいいんだ」

2人には何かあるみたいです。でも、それは…


わたしは、レイ君の腕から離れ2人に向き合って、こう言って、笑います。


「レイ君とセリちゃんが何故そんなに辛そうにするのか、わたしにはわからないけど…」

「「・・・」」

「でもそれは、今、わたしが聞いていい事じゃないみたいだね」

「「ミィ…」」

「わたしは何も知らないし聞かない。でも、2人が辛そうにしていると、わたしも辛い。わたしは2人に笑っていて欲しいの」

「ミィ…ごめんなさい」

「いいの。わたしはたぶん、2人がそう(・・)なってしまう理由を知らなければいけない。ううん、必ず、絶対に。どれだけ時がたっても」

「ミィ…ごめん。今は、話せない」

「うん、わかってる」

「でも…いつかは、ミィにも、知ってもらいたい。…必ず話す」

「うん。2人が完全にわたしを信用して、それを話してもいいと思ってくれるまで、待つよ。いつまででも」

「「ミィ…ありがとう」」

そう言った後、セリちゃんは心からの笑顔で笑い、レイ君はわたしを強く抱き寄せてきた。


…2人とも、なんで泣いてるのかな。

正確には泣いてはいなかった。でも、なんでかわたしには、そう思えた。

蛍:今回、ちょっとシリアス気味となってしまいました。予定にはなかったんですけどね…

僕は、自分が描く登場人物に辛い過去を背負わせるつもりはありませんでしたが、結果的にこうなってし まいました。

それでも、みんなには幸せでいてもらいたいと思います。

僕自身、ハッピーエンドが好きですから。…これは僕の本心です。嘘も偽りもありません。


次回は、ほのぼのした感じに戻るつもりです。では、よろしくお願いします。

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